私はメイド喫茶で働いている。
だからといって顔が可愛いわけでもなく、人手が足りてないところにたまたま受かったような感じだ。
働き始めて約一ヶ月ほどが経ち、猛烈に悩んでいることがある。
お客さんと話すことが思い浮かばないのだ。
メイド喫茶に通っている人のイメージが今どのようなものになっているかは分からないが、少なくとも平成頃の『電車男』のようなオタクはもういないということをお伝えしたい。女性と話したことがなく、内気で趣味に没頭している男性というのはほぼいないのだ。今メイド喫茶に来るお客さんのほとんどは「メイド喫茶のオタク」だからである。メイドという属性の女性と話すことが好きで、様々なメイド喫茶に通い詰める、そういった方がメインなのだ。つまりコミュニケーション力に明らかに難があるような人は見受けられず、メイドの見た目の可愛さやトークスキルを吟味しに来るような人が大半である。
そうなってくると困るのが、お客さん側に明確に話したいこと、聞かせたいこと、というものがないことである。それがあるなら、私達メイドはそれを聞くに徹すればいい。程よく相槌をして気持ちよく喋ってもらえばいい。ただそうはいかない。お客さんはメイドのトークを待っている。最近あった面白い失敗、他のメイドと遊んだ話。何かメイドからのアクションが求められているのだ。
しかし、明確に話したいことがなくても、お客さんはメイドさんと「お話がしたくて」来ている。メイド側は上手に相手が話したくなることを引き出さなければならない。
そこがとにかく難しい。
初めて会った人には、「何でこのお店に来てくれたんですか?」「趣味は何ですか?」と聞けばいい。ただ2回目以降はそうはいかない。「今日は何してきたの〜?」「最近の推し活はどう〜?」「最近暑いね〜」などと話しかけ、運が良ければ今日はこんなことをして〜と話してくれるが、全ての質問に「まぁ、普通」と返されることもしばしば。私が嫌われているのかもしれないが、話題が続かないと本当に焦る。新人メイドはまだ出来ることも少ない為、お喋りすることが仕事。話を途切れさせることはあってはならないのだ。
そういう時に私は頭が真っ白になってしまう。本当に話が思いつかず、このあと雨降るみたいですけど傘持ってきてますか?みたいなつまらない話を切り出してしまう。そしてこいつはつまらないと思われると余計に私と話してもらえなくなる。それがここ最近立て続けに起こっている。
元々コミュニケーションに自信はなく、それを克服しようという意志のもと始めたバイトでもあったが、お金を貰いながら苦手を克服しようなんて考えが甘すぎたのかもしれない。最近は考え込みすぎて普通の友達との会話ってどうしてたっけ?と色々なことが何も分からなくなってしまっている。会話が続かないとき、頭が真っ白になってしまうとき、どうしたらいいのだろうか。
不思議ちゃん的に脈絡もなく自分の事話しまくれば