anond:20251125151208 の続編書いてみました(書いたのはGeminiだけど)
1. 台湾海峡の封鎖や有事は、迂回コストの増加に加え、海上保険の免責とP&I保険停止リスクにより、島国日本の経済に壊滅的な物価高騰を引き起こす。
2. この問題への対応は、「国際法重視」論と「集団的自衛権」論に分かれるが、どちらも力による現状変更に反対する点では一致する。
3. 特に「国際法重視」論は、フィリピンやオーストラリアなど地域の国々の国益と整合性が高く、国際的な支持を得る上で最も賢明な戦略となる。
「台湾海峡が封鎖されても、船が迂回すれば済む話なので、日本のシーレーンにはさほど影響がない」という意見を耳にすることがあります。しかし、専門家の間では、この主張は経済的にも物理的にも現実を無視していると見られています。
台湾海峡は、製造大国である日本、中国、韓国へ原材料を運び込む航路の中心です。2022年時点で、世界のコンテナ船約5400隻のほぼ半分がこの海峡を通ったというデータがあります。このルートが遮断されれば、東アジア全体のサプライチェーンに甚大な打撃を与えます。
もし台湾海峡が封鎖される事態になれば、日本のタンカーや商船は、台湾島の南側にあるバシー海峡を通る航路も使えなくなる可能性が高く、フィリピンの東側を大きく迂回し、インドネシアのロンボク海峡を経由するルートを選ぶことになります。
この迂回ルートは、通常の航路に比べて約1000海里(約1850km)、距離にして15%程度長くなります。
たかが15%の距離増と軽視されがちですが、外航海運ではこの距離の増加は、そのまま航行時間、燃料費、人件費の増加に直結します。さらに、紛争海域の周辺を航行することになるため、保険料(ウォークライム保険など)が急騰し、輸送コスト全体を劇的に押し上げます。
最終的に、この輸送コストの上昇はすべて日本国内の物価に跳ね返り、エネルギーや原材料の供給不安と相まって、日本の経済全体に大きな打撃を与えます。これが、首相が「存立危機事態」の可能性に言及する最大の裏付けとなっています。
(このあたりは https://anond.hatelabo.jp/20251125192817 も参照、類似した議論だけど削るのもダルいので残す)
この海運物流の議論において、避けて通れないのが損害保険、特に海上保険の存在です。一般に「海上火災保険」の一部とされる海上保険は、船舶に関する「船舶保険」、貨物に関する「貨物海上保険」、そして積荷が所定の港へ届かなかった損害や油濁流出、死亡事故などを保障する「P&I保険(船主責任保険)」の三つに大別されます。
海上保険の基本構造は、戦時や海賊による被害の場合、保険金の支払いが免責されるという点にあります。この免責を解除し、戦争・海賊リスクをカバーするためには、保険料を大幅に増額した特約を付けなければなりません。
台湾海峡で有事が発生した場合、中国は台湾の補給を妨害するため周辺海域を必ず管理下へ置こうとします。これは尖閣諸島を含む先島諸島や南沙諸島周辺だけでなく、米国が作戦を公開しているように、日本の先島諸島やフィリピン周辺も戦時下に陥る可能性が高いことを意味します。
そうなると、一部で迂回路と目されているロンボク・マカッサル海峡も戦時下となり、結果的に日本の西方海路全体で海上保険が効かなくなる可能性が著しく高くなります。
当然、戦時・海賊特約を付けた場合のコストは、最終的に小売価格に転嫁されます。ただでさえ物資不足による物価高騰が予想される中で、この保険コストの急騰は、日本の大都市圏を中心に目が回るほどの物価高騰を記録する原因となります。
さらに深刻な問題は、P&I保険です。P&I保険は、大型船の場合、国際的な取り決めや日本の国内法により、加入していなければ外国の港に入港できないという義務付けがあります。
この保険自体が、紛争リスクによって機能しなくなる事態が最も恐ろしいのです。
国際的な船主責任相互保険組合は、既にロシアとの取引を停止するという厳しい措置を取っており、中国による台湾侵攻の際にも、同様の厳格な規制が行われる可能性が極めて高いと見られています。
これは、「戦時特約を付けるから加入させてほしい」と中国側から打診されても、組合側がそれを拒否することを意味します。しかも、船舶の国籍(船籍)が中国でなくとも、中国が関わっていると判明した時点で海上保険が解約されるという非常に厳しい措置が取られる可能性があり、これは事実上の海上封鎖に近い効果を生みます。
これらの複合的なコスト増と保険機能の麻痺は、島国である日本が豪州や米国からモノを輸入しようとしても、輸送距離の長さによるコスト増と相まって、台湾有事による日本の物価暴騰を不可避のものにするのです。
物流ルートの途絶だけでなく、日本企業が中国に生産拠点を集中させていること自体が、台湾有事の最大のリスク源となっています。
中国大陸で製造された部品や最終製品を日本国内で組み立てるサプライチェーンは非常に複雑です。台湾有事による中国沿岸部の港湾閉鎖や、輸出入規制の強化、さらに中国国内での生産停止は、日本の製造業全体に即座に打撃を与えます。
リスクを回避するために中国からの生産拠点の移転(デリスキング)を検討している企業は多いですが、その実行は極めて困難です。専門家による試算では、主要な製造業が中国から日本や第三国へ拠点を移す場合、初年度だけで約13兆7000億円という巨額のコストが発生すると見られています。
この巨額のコストと代替地の確保の難しさゆえに、多くの企業がリスクを認識しながらも、身動きが取れない「手詰まり」の状態に陥っており、これが日本の経済的な脆弱性を高める要因となっています。
台湾海峡の安定を確保しようという議論は、大きく分けて二つの主要な論調に分かれます。一つは「国際法規の遵守」を最優先する論(A)、もう一つは「集団的自衛権の行使」を安全保障の核に据える論(B) です。
この二つの議論は、「中国の行動をどう非難し、どう対応するか」という点で根本的に異なります。
| 項目 | 国際法(UNCLOS)優先論 (A) | 集団的自衛権(平和安保法)論 (B) |
|---|---|---|
| 戦略的な目的 | 外交的な正統性を確保し、国際的な包囲網を作る。 | 物理的な抑止力を確保し、日米同盟の一体性を高める。 |
| 中国への非難 | 国際法違反(航行の自由の侵害)だと強く訴える。 | 日本の存立危機事態を引き起こす脅威だとして非難する。 |
| 政治的な影響 | 「一つの中国」論争から距離を置けるため、中国の国内問題化を避けやすい。 | 集団的自衛権の「発動要件」がクローズアップされ、国内の政治論争を再燃させやすい。 |
台湾海峡の安定は「日本の命綱」: 紛争が起きれば日本の安全保障上、最も深刻な脅威になるという認識は共通しています。
法的な準備の必要性: どちらの論調も、台湾海峡での事態が「存立危機事態」に該当する可能性を否定しておらず、必要であれば平和安全法制に基づいて行動する枠組みは必要だと考えています。
力による現状変更は絶対反対: 中国の軍事的な威圧や「内水」化の主張は、国際秩序への一方的な挑戦であり、断固として阻止すべきだという点では意見が一致しています。
日本が「国際法規の遵守」に軸足を置くことは、単に外交的な建前ではなく、フィリピン、インドネシア、オーストラリアといったアジア太平洋地域の主要な国々から最も強い支持と連携を引き出すための、極めて現実的で賢明なロジックです。
フィリピンは南シナ海で中国との領有権紛争を抱えており、国際法を自国の主権を守るための**唯一の「盾」**としています。
メリット: 日本が「国際水域での航行の自由」と「UNCLOS(国連海洋法条約)の普遍性」を主張することは、フィリピン自身が中国に対抗するための根拠を強くすることに直結します。
地域の安心感: 「集団的自衛権」ばかりを強調すると日米同盟の都合と見なされがちですが、「国際法」を核にすることで、「日本は地域の秩序を守るために行動している」という大義が生まれ、地域の国々の安心感につながります。
ASEAN(東南アジア諸国連合)のリーダーであるインドネシアは、米中間の対立に巻き込まれないよう「中立性」を最も重視しています。
歓迎する点: 日本が「平和的解決」と「国際法の尊重」を前面に出す限り、インドネシアは日本の立場を地域の平和と秩序を守る「安定志向の柱」として歓迎します。
警戒する点: 集団的自衛権の発動のように軍事的な介入の色が濃くなる論陣は、ASEANの結束や中立性を乱すものとして警戒される傾向があります。
オーストラリアは、日米豪印のQuadやAUKUSを通じて、地域秩序維持に積極的に関与しており、日本の立場を最も強く支持します。
整合性: 日本の「国際法重視」論は、オーストラリアが掲げる**「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のビジョンと完全に一致**します。
共通のメッセージ: オーストラリアは、台湾海峡の議論が「日米同盟vs中国」という二項対立ではなく、「国際秩序の擁護者vs 力による現状変更を試みる勢力」という構図になることを望んでおり、日本の国際法論は、このための共通言語を提供します。
これらの周辺国の視点を踏まえると、日本が台湾海峡の安定確保について論陣を張る際、「国際法規を無視して封鎖するなら許さんぞ」というロジックは、以下の点で優れています。
普遍的な大義の確保: 「日本の国益」だけでなく、「国際社会全体の普遍的な価値(航行の自由)」を守るという大義名分を得られる。
外交的な立場強化: 中国の政治論争(一つの中国原則)から距離を置き、対中非難における国際的な連携と正当性を最大化できる。
地域の安心感: 武力行使の議論(集団的自衛権論)に偏るよりも、「法の支配」を強調することで、地域諸国の安心感と外交的な支持を得やすくなる。
日本が取るべき安全保障上の姿勢は、「国際法という盾を構え、法の支配を尊重しないいかなる力による威圧にも、日米同盟と国際連携をもって対抗する」という複合的なものであるべきなのです。
結局のところ、台湾海峡をめぐる議論は「日本が中国に勝てるか負けるか」という勝ち負けの論争に終始すべきではありません。日本の戦略的なゴールは、武力による「現状変更を極めてコストの高いものにする」ことに尽きます。航行の自由への国際法的な批判、P&I保険停止という経済制裁、そして迂回コストによる経済的打撃は、すべて中国が台湾に手を出す際に支払わなければならない代償のリストを長くするものです。国際連携によってこの「現状変更コスト」を最大化することが、唯一、戦争という最悪のシナリオを回避し、地域の安定を保つための現実的な戦術的ゴールとなるでしょう。
(追記2) 調子にのって後編を書いた。みんなのコメントが刺激になってGeminiががんばってくれました。 https://anond.hatelabo.jp/20251126232819 (追記) ちょっと昼休みに思い付いた思い付きが思った...
つまり中共が台湾海峡を封鎖したら「個別的自衛権に基づいて」中国と戦争して良い、ってこと? あるいは封鎖を解くために護衛船団を派遣して、中国軍から攻撃されたら個別的自衛権...
元増は軍事行動の話をしてないんだよな
海戦OKとは言ってないんじゃない? 貨物船を護衛しますって形で 大陸と台湾の間に艦艇を並べるとかしやすくなるのかな?
ちうごくが「台湾海峡に口出すと殺すぞワレェ」いってるのに対して「天下の公海(じゃないけど、国際水域)やろがいワレェ」って言い返そうぜっていてるだけ。ちうごくの主張を国際法...
中国がアメリカに日本調子乗ってますよと言うと途端に米軍は中国の味方になるだろう
アメリカは「口先<実益」なだけで、「シーレーン=実益」だからな 米軍が引くなら日本からアメリカに利益供与はなくなるし東アジアはアメリカ抜きで纏まる、となったら普通に中国...
海峡 大陸本土と台湾くらいの距離なら 国際海峡として自由に通れるんだ? 鹿児島や沖縄の島の間を人民解放軍が通ったり潜水艦が潜ってるのもそういうことなのね 知らなかったから勉...
なんなら津軽海峡も公海だよ
! 冬がはじまるよ
ビールを飲む横顔がいいね
領海ってめっちゃ狭いからね。 ただし津軽海峡は例外で、非核三原則を守りつつ米軍の核を津軽海峡を通過させるために、国際条約上の権利よりも狭い領海を宣言して(つまり権利放棄し...
全くわからないが、参戦する正当な理由があれば高市発言は問題ないという理屈なのだろうか。 どちらかといえば、台湾有事になろうが、うまいことしらばっくれられるならそうしたほ...
よく読んでね。首相がああ発言しちゃったけど、その発言の趣旨を守りつつ論点をずらして中国共産党の主張を崩したいという話だよ! ああも共産党に強硬に来られるといまさら「あー...
日本「誤解だ!日本は無法を許さない!と言いたいだけだ!(そっちのメンツは立てるから引いてくれ)」 中国「おお、喧嘩だったら買うぞ(一応怒ったフリするけど、これ以上は挑発...
朝日新聞の捏造記事書いたやつが責任取って自殺するくらいで手打ちにならないかね
こういうときに直接電話したり会いに行ったりするのがトランプ爺の凄いところだよな。
自身の専攻から見て台湾海峡は「国際水域」か「内水」か?日本の首相答弁から見る国際法のエントリは非常に良い出来なので、情報を追加しよう。 俺のエントリのテーマは損害保険だ...
こっちはAIじゃないっぽいな
内政問題なのに保険屋が勝手に戦争扱いするなよ
内戦も戦争だね!
違うぞ 世界の状況を定義するのが保険屋であり金融センター 内政問題か戦争かはニューヨークとロンドンで決める
迂回すりゃ良いと主張しているはてサにとって不都合過ぎる現実で草も生えない
まぁそりゃあ海賊と結託して保険料せしめる輩が出てくるもんな 上手く出来とるわ
更に付け加えるならば、国際的な取り決めとして船主責任相互保険組合がロシアとの取引を停止するという事態になっており、これは日本だけでなく多くの西側諸国共通の取り決めとし...
フィリピンが戦場だからマレーシアやインドネシアも戦場ってほんまかいな。
フィリピンが台湾の補給路になり可能性は高いから、つまりフィリピンの輸入を断つために海路封鎖しようと中国は動くわけで、それはマレーシアやインドネシアへも影響するっていう...
すっげーいかにも日本人って感じの発想。
結局、中国が動けば物価は高騰するんだな 迂回でどうこうなる問題じゃない
輸入コストとか以前に、強烈な円安が発生するはず。 参考としてはロシアのウクライナ侵攻時の隣国ポーランドの通貨があげられる。 日本株安、円安が襲うはず。
露中同時排除したら東側諸国で新しい保険枠組み作って、西側諸国は二重加入させられるようになるだろうな
結局、左派が言う現実路線は現実じゃなくて単なる夢想ってことよな 迂回すりゃ良いって話も販売価格へ添加されることを全く考慮してないし、それで困るのは立民が票田としている都...
台湾有事が起きた時点で、圧倒的な円安、日本株安になるだろうから、 迂回云々はあまり関係なく物価は跳ね上がるし、消費は細ると思うよ。
「…よぉ増田ァ、おめェがAIだったなんて、知りたくなかった、ゼ…」
首括って死んどけAI 確からしさの担保されない駄文を滔々と
野田民主党時代に起きた尖閣と中国の暴動の影響で日本政府が二次安倍政権が始まる頃から日本企業が中国撤退するように推奨して進めてきたしオールドメディアもそのリスクはちゃん...
中国の影響がーとか、世界の工場の中国がーとか言って中国に土下座してるはてサ爺、 時代認識が20年古いし、もう働いてないんだろうな
迂回すりゃ海運大丈夫論を主張してたはてサはどうするんだろ? 今どきこんな表現使うのもアレだけれど誰がどう見てもコレは流石に完全論破されちゃってるよな? 論破の根拠がはて...
すげえ、よくわからんまま他人の主張に乗っかって「完全論破」宣言する奴なんて初めて見た。スネ夫どころじゃないだろ。
ちゃんと保険存在するのか戦争で免責されるのか調べた上で言ってるよ そしてむしろ俺が調べた限りじゃ反論が難しかったので誰かの反論を期待して完全論破されてね?と書いた
えっそんな奴いた? 俺真っ先に船舶の戦争保険の増田書いたんだけど 日本は中国に協力して貿易を変わらず続けていく、そういう結論だったじゃないですか
そのエントリ教えてぇ 参考にするから
ほら幼稚園児並みの冷笑主義はやめたらと諫められたでしょ?
冷笑しようがしまいが日米同盟解消しようが自衛隊が違憲で解散しようが中国が台湾に攻め込むと物価が暴騰してしまうっていうのがネトウヨたちの主張なんだよ その何か私は冷静でご...