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「富士通はこのままじゃダメになるぞ」「これでいいのか」──。
ある富士通関係者によれば、時田隆仁社長は2019年に社長に就任した頃、集った国内外の幹部を前にそう檄(げき)を飛ばした。「それまでの富士通は馬なりで、『メインフレーム(大型汎用機)でもうかってきた財産がある限りは崩れない』という雰囲気があった。時田社長はそれを破壊した」とこの関係者は振り返る。
企業の基幹システムに使われてきたメインフレームは、富士通が半世紀以上にわたって展開し、「屋台骨」となる事業だった。官公庁や大企業を顧客に持ち、文字通り日本の情報システムを支えてきた。
「ゴルフや飲食をするだけ」
一見すると盤石な事業基盤だが、危うさも見え隠れしていた。ある富士通幹部は「時田社長の就任前後の頃は、営業担当者は顧客との関係を維持することだけを考えて、毎週ゴルフや飲食をともにするだけ。顧客の理解が全く足りていなかった」と振り返る。
こうした状況下で時田社長が打った手の一つが、20年に始めた富士通全社のデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクト「Fujitsu Transformation(フジトラ)」。時田社長自らが当時、CDXO(最高デジタルトランスフォーメーション責任者)として旗を振った。事業やマネジメント、データ基盤など150ものテーマを掲げ、変革を目指してきた。
マネジメント分野では、社内の財務データを一括管理できる統合基幹業務システム(ERP)を導入した。それまで社内システムはおよそ4000にも上っていた。
並行して人的資本の観点からも改革を進めた。20年から段階的に(職務内容を明確に示す)ジョブ型雇用制度を導入。新卒一括採用や学歴別の一律初任給を廃止した。
時田社長は、事業ポートフォリオの入れ替えでも大なたを振るった。

22年から段階的に、スキャナーを手掛けるPFU(石川県かほく市)株を売却し、同社はリコーの完全子会社となった。虎の子でもあった半導体基板の新光電気工業や、空調を手掛ける富士通ゼネラル、電池事業のFDKなどハードウエアを手掛ける子会社の株式売却を進めてきた。
社内の再編も加速した。24年、サーバーやストレージなどの富士通エフサスを母体とするハードウエア専業会社「エフサステクノロジーズ」を発足させたのに続き、25年に光伝送装置などネットワーク機器事業を統合し、子会社「1FINITY(ワンフィニティ)」を設立した。これらの動きについて、市場関係者からは「将来的にスピンオフすることを前提としているのではないか」と推察する声も上がる。
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日立製作所・執行役常務の細矢良智氏が登壇 12月11日に生成AI活用イベントを開催

日経ビジネスは、一般社団法人Generative AI Japanの協力を得て、12月11日に生成AI活用に関するイベントを開催します。生成AIの社会的インパクトや事業化への道筋、現場で突き当たるリアルな課題など、多角的な視点から議論を深めます。日立製作所 執行役常務 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット最高経営責任者(CEO)の細矢良智氏が基調講演に登壇します。参加費用は無料(事前登録制)です。ぜひご参加ください。
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■日時:2025年 12月 11日(木) 10:00~18:20(予定)
■登壇者:
細矢良智氏(日立製作所 執行役常務 AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット CEO)
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■開催形式:リアル(TODA HALL & CONFERENCE TOKYO)
■主催:日経ビジネス
■協力:一般社団法人Generative AI Japan/日経BP 総合研究所
■参加費用:無料 ※事前登録制
