究極エネルギー粒子ビーム

超弦理論、量子重力や大統一理論が顕になるプランクエネルギー(10^19GeV)の現象を実際に検証するには銀河サイズの粒子加速器が必要で現実的には到達不可能というけど、予算はともかく現代の技術でどこまで可能だろう。現在最高の加速器は1000GeV程度、プランクスケールの現象を見るにはエネルギーを16桁あげる必要がある。16桁と簡単に言うが、16桁は結構難しい。

エネルギー

このくらいのエネルギーになると円形加速器で無限にぐるぐる回して徐々にエネルギーを上げるという方法が使えない。というのも荷電粒子が軌道を曲げるとき、荷電粒子から運動量を受け取って実体化した光子による(エネルギーの4乗に比例した)放射が発生するからだ。そのため直線加速器で一度に加速してやる必要がある。仮に10[MeV/m]の加速装置が出来たとしてプランクスケールに到達するには約10万光年、丁度、銀河系と同じ程度のサイズだ。

宇宙空間に建造することの困難さは無視して100億円/1kmで作成できたとして10^28円。日本の国家予算を全部投入すれば120京年もあれば造れる。銀河系サイズの加速器の冷却システムとか資源の調達とか宇宙船の値段はどうなるという話もあるが電力や予算は計算しても意味が無い数字だ。

明るさ

ビームのエネルギーは何万光年も加速菅を接続すればなんとかなる。むしろ十分な輝度のビームを得るほうが難しいかもしれない。

エネルギーがいくら上がっても、しょぼいビームしかつくれないのでは意味が無い。プランクスケール加速器はルミノシティも恐ろしく高い物が必要になる。というのも(大雑把な議論では)不確定性原理によりエネルギーに反比例して粒子は小さくなり、つまり断面積はエネルギーの自乗に反比例するため、エネルギーを16桁上げて同じ反応率を出すには32桁ビーム輝度を上げる必要がある。無論、長い時間を掛けて統計をためればよいだけだが、3年を3億年にしたところで高々8桁しか改善しない。

重力が量子化するほどのエネルギーを持ったビームだ。実に適当な計算で信頼してもらいたくないのだが

L〜10^80[W/m^2]

といったあたり。ちなみに超新星爆発のエネルギーは10^44Jくらいである。見えている全宇宙の物質をエネルギーに変換すると10^70Jくらいにはなる。太陽は10^26Wだ。[W/m^2]であるのでどれだけビームを絞れるかにかかっている。かりに魔法の技術で原子核幅(10^-15m)まで細くビームが絞って正面衝突させられたとして(この技術は現代の技術をはるかに超えている)、必要なのは10^50Wといったところ。

S/Nとか耐久性とか

建設に何年かかるかはさておき、実験自体は荷電粒子が両端から衝突点に到達するまでに5万年、それなりに息の長い研究体制が必要。衝突点で発生する放射線やシャワーは膨大なものであり、装置が耐えられるか微妙なところ。ビームのもつエネルギーは銀河系の1つや2つ軽く消し飛ばすぐらいはある。

シグナルの反応断面積が10^-70[m^2]程度しかないのにたいして、ゴミ散乱が鬼のようにあるので状況によってはS/N=10^-50という面倒なことになる。

ビームが発生させる重力の影響も無視できない、エネルギー密度は質量換算でメートル辺り地球質量程度でブラックホール化しないまでも加速菅の強度が重力に耐えられるか微妙なところ。1秒あたり1000太陽質量に相当するエネルギーが通過していく、これによる周囲の時空の引きずり効果は無視できない。装置全体のエネルギーは100万銀河質量に相当し周囲のあらゆる天体を引き寄せる。装置全体にも相当な応力が加わるだろう。

これらの状況下で加速器を正常に作動させるのは至難の技


[注意]この文章は空想○学読本的で実に適当な議論なので真に受けないように。加速器の物理とかよくわからないし。(特に輝度の計算あたりがあやしい)