メインコンテンツにスキップ

オーストラリアの砂漠で宇宙からやってきた、内部が燃えた黒い物体が発見される

記事の本文にスキップ

21件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
砂漠に落下した謎の燃える物体 Pilbara District – WA Police Force
Advertisement

 西オーストラリアの広大な砂漠に、まだ燃えている状態のドーム型の奇妙な物体が落ちているのを、現地の鉱山労働者たちが発見した。

 黒くすすけた繊維状の外殻に包まれ、内部からはオレンジ色の炎が見えており、まるでSF映画の世界に無理やり引き込まれたかのような光景に驚いた目撃者たちはすぐに警察に連絡した。

 警察はただちに現場を封鎖し、宇宙庁までが出動する騒ぎとなった。そう、この物体は宇宙からやってきたのだ。

そこだけ奇妙な光景、砂漠に落下した謎の物体

 2025年10月18日午後2時ごろ(現地時間)、西オーストラリア州ニューマンから約30km離れた鉱山近くの砂漠地帯の道路を車で走っていた鉱山作業員たちは、黒く焼けた物体を発見した。

 それはドーム状の構造物で、内部からはまだ炎が上がっていた。

 何もない砂漠にポツンと黒い物体がある状況は非常に奇妙だ。彼らはすぐさま警察に連絡した。

 通報を受けた警察が現場を封鎖し、オーストラリア宇宙庁、西オーストラリア州の消防・緊急サービス局、鉱山会社などが連携して調査を開始した。

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:Pilbara District – WA Police Force

宇宙から落ちてきたスペースデブリ

 警察はこの物体の調査結果について、「炭素繊維を使用した複合材で覆われた複合材被覆圧力容器(COPV)やロケットタンクの構造に一致する」と発表した。

 これは宇宙船などで高圧ガスを貯蔵するために使用される、極めて耐久性の高い装置で、打ち上げの衝撃や宇宙の極低温、大気圏再突入の熱にも耐えられる設計になっている。

 つまりこの物体は、宇宙から降ってきたスペースデブリ(宇宙ゴミ)の可能性が非常に高いという。

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:Pilbara District – WA Police Force

正体は中国のロケットか? 

 この物体の正体については、複数の宇宙専門家が見解を示しており、中国のロケットであるという点では一致しているが、詳細に関しては意見は割れている。

 オーストラリア・フリンダース大学の准教授、アリス・ゴーマン博士は、「この物体は捷竜3号ロケットの第4段である可能性がある」と語っている。

ゴーマン博士によれば、捷竜3号ロケットが地球を周回したのち、予測されないタイミングで突然再突入した可能性があるという。

 一方、オランダのデルフト工科大学の講師で宇宙軌道解析の専門家、マルコ・ラングブルーク氏は、自身のブログでより詳しい分析を行っている。

 ラングブルーク氏は、この物体が「複合材被覆圧力容器(COPV)」である可能性を認めつつも、「写真が示すサイズの大きさから見て、捷竜3号の第2段(上段)全体が落下した可能性がある」と指摘している。

 ラングブルーク氏の解析によれば、2024年9月24日に中国が黄海の海上プラットフォームから打ち上げた捷竜3号ロケットの上段が、落下当日(10月18日)の早朝にオーストラリアのニューマン上空を北北東から南南西へ通過した軌道と一致しているという。

 さらに氏は、「発見時にまだ物体が燃えていたという点は、宇宙ゴミとしては非常に珍しく、非常に最近落下したことを示している」とも述べている

 通常、宇宙デブリは再突入後に冷えて発見されることが多く、今回のようにまだ燃えている状態で発見されるケースは極めて異例だという。

この画像を大きなサイズで見る
オーストラリアの砂漠にポツンと落下物 / Image credit:Pilbara District – WA Police Force

増え続ける宇宙ゴミ、落下のリスクは今後も高まる

 欧州宇宙機関(ESA)のヨーゼフ・アッシュバッハー博士は、宇宙ゴミが地球に落下するリスクについて警鐘を鳴らしている。

 ESAは「ゼロ・デブリ憲章(Zero Debris Charter)」を掲げ、各国の宇宙機関に対し、ミッション終了後に軌道を離脱させる仕組みの導入を促している。

 これには燃料の残量確保や、再突入時に安全に燃え尽きる構造設計などの技術的な工夫が必要とされる。

 ゴーマン博士も「ロケットを打ち上げる以上は、寿命終了後の“出口戦略”を持つべき」と訴える。

 落下が避けられない場合でも、南太平洋にある宇宙機の墓場「ポイント・ネモ(Point Nemo)」のような海上エリアに向けて制御再突入させることが、人や財産を守るために必要だという。

Facebookで開く

増加する宇宙ゴミの落下

 今回のようなケースは初めてではない。

 オーストラリアのように人の少ない広大な大地は、宇宙ゴミの着地点として機能しやすい地理条件を持っている。

 今回の物体も、誰にも見つからなければひっそりと砂に埋もれて終わっていたかもしれない。

 警察は現在も調査を続けており、「物体は安全に確保されており、現時点で公衆への危険はない」と発表している。

 宇宙からの落とし物は今後ますます増えていくことはわかっている。くれぐれも直撃されないよう、常に上空の安全を監視することにしよう。

 とはいえ上ばかり気にしているわけにもいかない。道路には車があるし、横からいきなり何かが飛んでくる可能性だってある。全方向注意でいきたいものだ。

References: Mysterious smoldering wreckage in Australian Outback is likely part of a Chinese rocket / Possible Space Debris found near Newman, Australia on Oct 18, might be Jielong 3 upper stage remains / Space debris found on fire near WA mining town suspected to be from Chinese rocket

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. 2070年代になったら、プラネテスみたいにデブリ屋という職業できるかな。

    • +9
  2. たとえごみだろうと、宇宙帰りだとちょっとワクワクしちゃう

    • +10
    1. 砂漠といってもそれなりに通行量がある道路のど真ん中なんだよね
      だから、火がついている状態で発見された
      自動車での移動中だろうから命中しても問題なかったのかもしれないが
      オーストラリアは森林火事が良く起こる場所が多いので
      大きな火災の原因になった可能性はあるんだよね

      • +6
  3. ファーストインプレッション
    「クリープショー?」

    宇宙庁ってのが有るんや(・д・)

    • -3
  4. 宇宙落下物は落した国が責任もって回収するのが義務とされてるが
    この国の場合そういう親糞を守るのか、全く未知数だ

    • +15
    1. 長征5号Bというタイプが、そもそも燃え尽きずに落下する仕様というトンデモ設計らしいね。それで各国に落ちまくってるらしい。

      • +16
  5. ほんの数日前の記事でもラジオゾンデの測定部分が航空機と接触なんてあったしスペースデブリは大気圏内でも問題だな

    • +6
  6. オーストラリアのような広大な無人な土地があるとゴミ捨て場にされそうな気がする。
    だからといって大海ならいいってもんじゃないが

    • +1
    1. 役目を終えた人工衛星やロケットの第2段や第3段ブースターなど、
      宇宙から地球に落下させる人工物は、制御できうる限りは
      “ポイント・ネモ (スペースクラフト・セメタリー)”と呼ばれる
      ニュージーランドの東側の南太平洋に落下させるように取り決めがある
      それができていないのは制御をミスったか。何らかの問題があった

      打ち上げに使われる第一段ロケットは流石に違うけどね

      • +7
  7. 普通に相当アカンことよな 案の定中国だし
    森に落ちても山火事ぞ

    • +16
  8. 中国製なのに(大気圏突入時に)爆発しなかったとは驚き

    • +2
  9. 海外SFドラマ、謎の円盤UFOで
    宇宙ゴミの話があったな

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。