米ブルームバーグ通信は21日、トランプ米政権が米半導体大手エヌビディアに対し、人工知能(AI)向け半導体の中国への販売許可を検討していると報じた。これまで米国は先端半導体の対中輸出を厳しく規制してきたが、大きな方針転換となる可能性がある。10月の米中首脳合意で貿易措置を巡る対立が解消に向かう中、中国に対する友好的な姿勢が継続している。
報道によると、トランプ大統領が率いるチームがここ数日、エヌビディアの先端半導体「H200」のアジア向け出荷について協議している。検討は初期段階で、実際に許可に至らない可能性もあるという。
米政府は2022年、最先端半導体の対中輸出を規制する新たな枠組みを導入。大量破壊兵器の開発など軍事利用防止を理由に、中国のハイテク企業などに販売する際には米政府の許可が必要となった。
エヌビディアは現在、米政府の販売許可を得るために性能を大幅に落とした「H20」を中国に販売している。H200は主力製品であるAI向け半導体「ブラックウェル」より1世代前のシリーズだが、現行のH20と比べると高速なデータ処理ができる。
H200の対中販売が実現すれば、エヌビディアとしては巨大市場での商機拡大となる。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は輸出規制の緩和をトランプ政権側に精力的に働きかけてきたという。
米政府の今回の動きは中国への大幅な譲歩となる。輸出許可が決定されれば米議会に加え、政権内の対中強硬派からも反発を招くのは必至だ。【ワシントン浅川大樹】
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