報酬ミックスにおける変動報酬比率は約6割と年々拡大 経営陣の適切なリスクテイクと成果に応える報酬制度の導入が進展

~日経225構成企業の役員報酬調査の結果公表~

HRGL

 HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂、 以下 「HRGL」)は、日経225構成企業の役員報酬に関する調査を行いましたので、調査結果を公表いたします。

【調査実施目的】

  • 日経225構成企業の役員報酬制度における報酬ミックス、業績評価指標、クローバック条項の導入開示状況を明らかにする

  • 企業の皆様をはじめ多くのステークホルダーの方に日本のトップ企業の報酬プラクティスへの理解を深めていただく

【調査概要】

  • 調査対象:各年6月末時点での日経225構成企業(日経平均株価算出の対象となる225銘柄)

    注)1. 調査対象企業数は、2021~2024年は225社、2025年は6月末時点で有価証券報告書未開示の企業1社を除く224社

  • 調査媒体:有価証券報告書(各年6月末時点における最新のもの)

【主な調査結果】

  • 報酬ミックス(ターゲット構成比)の平均値をみると、報酬全体に占める基本報酬の割合は年々減少しており、2025年は変動報酬比率(短期インセンティブ(STI)+中長期インセンティブ(LTI))が55.9%に達している

  • 業績評価指標として採用されている財務指標をみると、STIでは営業利益(89件)や当期純利益(84件)、売上高(52件)といった利益や収益に関連する指標の採用が多い。LTIではTSR(70件)とROE(66件)の採用が特に多く、両指標とも年々採用件数が増加している

  • 業績評価指標として将来財務指標を採用する企業は年々増加しており、STIは98社(45.2%)、LTIは94社(43.9%)に達している

  • 将来財務指標のテーマ別(E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)、サステナビリティ/ESG、その他)の採用割合をみると、STIでは「S」が49社(50.0%)と最も多く、次いで「サステナビリティ/ESG」が47社(48.0%)である。LTIでは「E」が55社(58.5%)と最も多く、次いで「S」が39社(41.5%)である

  • STI、LTIともに、クローバック条項の導入を開示している企業は年々増加しており、STIでは約2割、LTIでは4割超となっている

■報酬ミックス(ターゲット構成比)

 報酬ミックス(ターゲット構成比)を開示している企業は182社(81.3%)であり、2023年以降横ばいとなっています(図表1)。また、そのうち基本報酬、STI、LTIの3つの基準割合を記載している企業を対象に報酬ミックス(ターゲット構成比)の平均値をみると、報酬全体に占める基本報酬の割合は年々減少しており、2025年は変動報酬比率(STI+LTI)が55.9%に達しました(図表2)。

(図表1)報酬ミックス(ターゲット構成比)の開示状況

(図表2)報酬ミックス(ターゲット構成比)の平均値

■業績評価指標の採用状況

① 財務指標の採用状況

 STIの支給額決定に用いる業績評価指標として採用されている財務指標*1上位5種類をみると、営業利益(89件)や当期純利益(84件)、売上高(52件)といった利益や収益に関連する指標の採用が多く、次いでROE(38件)やROIC(31件)といった資本効率性指標*2の採用が多くなっています(図表3)。利益や収益に関する指標の割合は未だ多数を占めているものの、その割合は横ばいまたは減少傾向となっています。一方、ROICの採用割合は増加傾向にあります。

 同様に、LTIの支給額決定に用いる業績評価指標として採用されている財務指標をみると、TSR(70件)とROE(66件)が特に多く、両指標とも年々採用件数が増加しています(図表4)。一方、営業利益の採用件数は過去4年間で年々減少しています。

※1 財務指標…企業の財務諸表から算出される、企業の財務状況を表す指標

※2 資本効率性指標…企業が資本を活用してどれだけ効率的に利益を生み出しているかを表す指標

(図表3)STIにおける財務指標採用件数(上位5種類)

(図表4)LTIにおける財務指標採用件数(上位5種類)

② 将来財務指標の採用状況

 STI、LTIの双方において、業績評価指標として将来財務指標*3を採用する企業は年々増加しており、STIは98社(45.2%)、LTIは94社(43.9%)に達しました(図表5)。

また、STIの業績評価指標として将来財務指標を採用している企業を対象に、テーマ別(E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)、サステナビリティ/ESG、その他)*4の採用割合をみると、「S」が49社(50.0%)と最も多く、次いで「サステナビリティ/ESG」が47社(48.0%)となっています(図表6)。経年での変化をみると、「E」「S」「G」の個別テーマの採用割合が年々増加しています。

 同様に、LTIの場合は、2025年は「E」が55社(58.5%)と最も多く、次いで「サステナビリティ/ESG」が52社(55.3%)となっています(図表7)。経年での変化をみると、「E」「S」「G」の個別テーマが前年比で増加している一方、「サステナビリティ/ESG」は4年間で年々減少しています。

※3 将来財務指標…サステナビリティに関連した指標をはじめ、中長期的な企業価値の源泉である未実現の財務価値を表す指標

※4 E,S,G,サステナビリティ/ESG,その他の各テーマに含まれる具体的な指標の例はAppendixを参照

(図表5)STI/LTIにおける将来財務指標導入状況(2022~2025)

(図表6)STIにおけるテーマ別将来財務指標採用割合

(図表7)LTIにおけるテーマ別将来財務指標採用割合

■クローバック条項の導入開示状況

 重大な法令・社内規則違反や財務情報の訂正、自社の評価・企業価値を著しく毀損させる行為に対して、報酬の全部または一部の返還を求める規定をクローバック条項といいます。STI、LTIともに、同条項の導入を開示している企業は年々増加しており、STIでは約2割、LTIでは4割超となっています(図表8)。

(図表8)STI/LTIにおけるクローバック条項の導入開示状況

 本調査の結果について、HRGL代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂は次のように述べています。「役員の報酬ミックス(ターゲット構成比)における変動報酬比率が年々拡大しており、経営陣による適切なリスクテイクを促し成果に報いる報酬制度とする企業が増えていることが確認できた。業績評価指標については、LTIにおいて株主価値を示すTSRや資本効率性指標であるROEを採用し、資本市場の目線と経営者のインセンティブを整合させる動きが継続している。また、STI、LTIともに将来財務指標を採用する企業の割合も年々増加しており、サステナブルな企業価値向上のための指標を役員報酬と紐づける傾向も継続している。今後は、「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンス」で示されているように、各社が自社の経営戦略と報酬ポリシーを連動させ、自社にとって適切な報酬ミックスや業績評価指標について議論を行い、価値創造ストーリーと紐づけた報酬制度を開示していくことが肝要である。併せて、価値創造ストーリーを磨き上げていくための強靭な経営チーム創りに貢献するオリジナルなインセンティブ設計も求められている。今回の調査結果を踏まえつつ、各社において役員報酬を通じた「稼ぐ力」を強化するための議論が一層進むことを期待する。」

 

 HRGLは、今後も強靭な取締役会を起点としたサステナビリティ経営の実現に向けて、クライアント企業の多様なニーズにお応えし、企業の成長ストーリーをともに描く、コーポレートガバナンスの“かかりつけ医”としての役割を担ってまいります。

【HR ガバナンス・リーダーズ株式会社 概要】

設 立 :2020 年 4 月(事業開始:2020 年 10 月)

所在地 :〒100-0005 東京都千代田区丸の内 1-4-5

代表者 :代表取締役社長 CEO 内ヶ﨑 茂

事業内容:サステナビリティガバナンスコンサルティング

ボードガバナンスコンサルティング

指名・人財・報酬ガバナンスコンサルティング

サステナビリティ経営・人的資本経営コンサルティング

上記コンサルティングに関する商品開発および調査研究・オピニオン発信 信託代理店業務

URL :https://www.hrgl.jp/

■Appendix

Appendix 1:将来財務指標 具体的な指標例

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会社概要

URL
https://www.hrgl.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区丸の内1-4-5
電話番号
03-6822-5963
代表者名
内ヶ﨑 茂
上場
未上場
資本金
2億4500万円
設立
2020年04月