https://anond.hatelabo.jp/20250727120239
《民國紀事本末》(2013年)
いわゆる「共和国時代」の出来事を時系列に整理しつつ、従来の教科書的な叙述を批判的に再解釈した作品。史実の列挙にとどまらず、当時の政治的・思想的背景を浮かび上がらせ、国共内戦期から国民政府期に至る人脈や権力構造の連続性と断絶を明らかにする。
「華夏」という文明単位から「中國」という近代ナショナル・ステートへの移行過程を史的にトレース。劉仲敬独自の「文明圏分析」の下、周秦以降の冊封体制、清朝の版図拡大、近代ナショナル・アイデンティティの醸成をリンクさせ、「中国」という概念がいかに後付けの政治装置として形成されたかを論じる。
アイン・ランド(Ayn Rand)の伝記的考察。従来の思想史や伝記とは一線を画し、ランドの個人主義思想を中国や東アジアの文脈で再評価。彼女の小説『肩をすくめるアトラス』の世界観と、劉仲敬が批判する中央集権的体制との対比を鮮やかに描き出す。
儒教経典(「經」)と史書(「史」)が中国文明の自己叙述をいかに形作ってきたかを分析。『春秋』『史記』から始まり、後世の史観・儒学解釈が政治体制の正当化になった過程を追う。文字通り「経典」と「歴史」の相互作用に着目し、文明の自己神話化メカニズムを解剖する。
劉仲敬自身の思想的羅針盤を示す論考集。先行する思想・制度(「守先」)を理解した上で、新たな時代構造(「待後」)を構想するという二段階モデルを提示し、中国内部の制度変遷や外部文明の衝撃に対処する方法論を提起している。
東アジア近現代の主要人物を題材に、それぞれの生涯を通して「文明の堕落」を読み解く評論シリーズ。
《晚清北洋卷》:清末の北洋官僚をめぐる権力と腐敗の構造分析。
《國共卷》:国民党と共産党指導者層の思想的相違と利害駆け引き。
《民國文人卷》:黎明期共和国の文化人・知識人が抱えた矛盾と理想の断絶。
いずれも「近代国家の没落」をテーマに、政治家・知識人の個別事例から大局的な文明批判を行う。
ヨーロッパの国際秩序(ウェストファリア体制、産業革命後の列強均衡)が東アジアにもたらした制度や価値観を検証。清末以降の不平等条約から中華民国、共産党政権への制度移植過程を、構造主義的に解剖し、「外来」と「内向」の相剋を描き出す。
《中國窪地:一部內亞主導東亞的簡史》(2017年)
「窪地(低地)」概念を用い、ユーラシア内陸アジア勢力(モンゴル、満州、中央アジア部族)が東アジア世界に与えた影響を再考。従来の漢民族中心史観を覆し、「内亞(シベリア・モンゴル・満州)からの視点で見た中国史」を示す、劉仲敬の代表作のひとつ。
《滿洲國:從高句麗、遼金、清帝國到20世紀,一部歷史和民族發明》(2019年)
満洲国を単なる傀儡政権とみなすのではなく、高句麗→遼・金→清帝国へと続く「北方遊牧文明」の連続性を強調。20世紀の満洲国成立を「民族発明」の一例として論じ、ナショナル・アイデンティティ形成のダイナミズムを浮き彫りにする。
いわゆる「阿姨學(劉仲敬思想)」の内幕を語る、自著解説書兼思想史。各文明の興亡パターンを「源代碼(ソースコード)」として抽象化し、文明間の普遍的法則を提示。連載講義をまとめたスタイルで、初心者から上級者まで劉仲敬の全体像を掴むのに最適の一冊。
劉仲敬(リュウ・チュウケイ)とは? 劉仲敬は中国出身の歴史学者、思想家、作家であり、東アジアの歴史・民族問題、政治思想に関する独自の視点で知られています。特に「中国史の...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 《民國紀事本末》(2013年) いわゆる「共和国時代」の出来事を時系列に整理しつつ、従来の教科書的な叙述を批判的に再解釈した作品。史実の列挙にとど...
1. 基本コンセプト:秩序輸出論(Order‑輸出論) 劉仲敬は「西洋の国際秩序」がどのように東アジアにもたらされ、中国や周辺地域でどのように再生(=輸出)されたかを、1912年以降の...
劉仲敬は《遠東的線索》のなかで、日本を次のように位置づけています。 西欧秩序の最初期の「輸入国」 – 明治維新以降、日本はいち早く欧州のウェストファリア体制(主権国...
劉仲敬(リウ・ジョンジン)の著書《中國窪地:一部內亞主導東亞的簡史》は、漢族中心の「中国史観」を根底から問い直し、「中国」とは本来「窪地(デプレッション、Basin)」であり...
1. 全体構成 本書は大きく5部構成(+序論・結論)で、古代から20世紀までの「滿洲(満洲)」地域をめぐる勢力と、その中で生まれた「満洲国」――20世紀の民族・国家発明――を一...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬と従来の中国反体制派の違い 項目 従来の中国反体制派(民主派・自由主義派) 劉仲敬の主張 中国の国家観 既存の「中華人民共和国」を民主的に改...
諸夏主義(しょかしゅぎ)とは? 「諸夏主義」は劉仲敬が提唱した概念で、中国大陸を「単一の中華民族国家」としてではなく、複数の独立した文化圏・文明圏(=夏)からなる連合体...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬から見た日本の特徴と位置づけ 1. 日本は独自の文明圏(「夏」の一つ)として捉える 劉仲敬の「諸夏主義」の枠組みでは、中国大陸以外の地域も...
https://anond.hatelabo.jp/20250727121621 劉仲敬は、日本を「アジアのイングランド」として捉える 「帝国システムからの脱却」 — ヨーロッパでは、神聖ローマ帝国の解体(1648年のウェス...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬から見た台湾の位置づけと評価 1. 台湾は独立した「夏(文明圏)」の一つ 劉仲敬は台湾を中国大陸の一部として一律に扱うのではなく、歴史的・...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬から見た香港と反送中デモ 1. 香港は独自の文明圏(「夏」の一つ)として捉えられる 香港は歴史的に中国本土とは異なる植民地時代を経て、独自...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬が語る中国が民主化できない理由 1. 中国は多民族多文明の連合体であり単一民族国家ではない 中国は「中華民族」という単一民族で統一された国...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬の米中対立観 1. 米中対立は単なる国家間の力関係ではない 米中対立は単なる二つの大国の争いではなく、文明圏や政治体制、価値観の衝突である...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬の考える「脱中華」とは? 1. 「中華」の枠組みを根本から疑い解体すること 劉仲敬は「中華」や「中華民族」という概念を政治的な神話・プロパ...
~ワイの脱中華~ 「昨日もラーメン、おとといもやがな…😔」 「よっしゃ、今日はココイチにしよ!😋」
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 劉仲敬思想と日本の反中保守派の相性・補完性 1. 共通点:対中批判・警戒の姿勢 劉仲敬は中国の中央集権的な大中華主義や中華民族統一神話を強く批...
https://anond.hatelabo.jp/20250727120239 日本・台湾・香港・アメリカの反中言論人の違い 項目 日本の反中言論人 台湾の反中言論人 香港の反中言論人 アメリカの反中言論人 主な動機・背景 安全...
https://anond.hatelabo.jp/20250727122739 項目 劉仲敬の特徴 反中言論人(日本・台湾・香港・米国)との違い 相性・補完性 思想的深さ・視点 歴史的文明圏論、多民族多元連合体「諸夏主義」重視...
日本の反中言論人との相性 日本の保守派言論人は、安全保障や経済・技術の現実的リスクを重視し、「中国」という単一の大国モデルに立脚して警戒を表明します。一方で劉仲敬は中国...