2025-09-04

でっちあげの末路

電車ホームで「この人、弱者男性です!」って叫んだのは、ほんと軽い気持ちだった。けど、次の瞬間、世界はひっくり返った。

その男はただの冴えないサラリーマンに見えた。でも、私の「でっちあげ」の言葉トリガーに、異能戦場が展開されたんだ。

空間ねじれ、周囲の乗客は全員静止した。まるで時間が止まったみたいに。

「……俺を弱者男性と断じたな」

男の瞳が光った瞬間、俺――いや、私の足元が歪んだ。気づけば、知らない闇の領域に引きずり込まれていた。

彼の能力は《Position Shift》。相手立場強制的に入れ替える力。私は告発から被告人へ、強者から弱者へと転落させられた。社会的立場だけじゃない。肉体も、精神も、すべて「下」にシフトさせられる。

私は必死抵抗して、自分の隠し能力Lost Sanctuary》を発動した。これは「罪を帳消しにする」聖域。空間を張って、あらゆる追及や攻撃無効化する。

「ここにいれば、私に罪は届かない!」

そう叫んでシールドを張ったが、男は冷たく笑った。

無駄だ。《Antimatter》」

彼が放った黒い粒子が私の聖域を侵食していく。物質概念問答無用で打ち消す破壊の力。私のロストサンクチュアリはたちまち崩壊し、私は再び闇にさらされた。

「まだだ……!」

私は最後の切り札、《不老不死》を解放した。何度でも蘇る。殺されても死なない。そうすれば、どんな弱者男性の力にも屈しないと思った。

だが、甘かった。

Position Shiftによって「死なない存在から永遠に苦しみ続ける存在」へと立場ねじ曲げられた。私は確かに死ななかった。だが、身体は焼かれ、切り裂かれ、崩壊し続ける地獄に閉じ込められたまま、生き続けさせられた。

「お前が“弱者男性”をでっちあげた報いだ」

彼の声が頭の中に響く。

「本当に弱者男性として苦しんでる者たちの痛みを、永遠に味わえ」

その瞬間、私は悟った。これが天罰

弱者男性を軽んじ、嘘をつき、貶めた私に与えられたのは、果てなき罰と孤独

そして彼は、最後にこう呟いて姿を消した。

「俺は弱者男性代弁者。お前の不死は、俺が望む限り終わらない」

こうして私は、不老不死地獄をさまよう存在になった。

でっちあげの代償は、命どころか永遠自由すら奪うものだった。

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