沈黙が続くと空調の音がやけに大きく聞こえてくるほど空気が重い。
意見を言うたびに空気が凍る。
そのうち、みんな資料ばかりに目を落とす。
そんなある日、ふと思いつく。
うちの会議……ドリフっぽくすれば多少はマシになるんじゃね?
試しにノートPCに笑い声のSEを入れておいた。
無料素材サイトのやつ。
で、議題が少し詰まってきたタイミングで、ちょっとボタンを押してみたんだ。
\ワハハハハハハハ!!/
……沈黙。
次の瞬間、部長が吹き出した。
「……いや、いまのは面白いタイミングだったな」
そこからだ。
誰かが意見を出すたびに、笑い声を一拍遅れて入れてみた。
\アハハハ!/
\キャハハハハ!/
意見の正否よりも笑い声のタイミングが評価される世界が生まれた。
会議が進むにつれて、空気が軽くなっていった。
ミスを指摘しても、笑い声が包み込む。
「この資料、数字ズレてますね」
\ワハハハハ!/
「いや、ズレてるのは我々の人生かもしれませんね」
\ドッ!!/
最後に社長がぼそっと言った。
「……これ、次からも流そうか」
こうして我が社の笑い声常備会議が今年から始まった。
内容は相変わらずグダグダだ。
けれど不思議とみんな、ちょっとだけ前向きになった。
たぶん弊社が欲しかったのは、正しい答えじゃなく、笑っていいという許可だったのだ。
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