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日経アートからのお知らせ

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大阪・関西万博で《いのち輝く》ミャクミャク博多人形

大阪・関西万博が開幕しました。

各国パビリオンの様子はとても興味深く、行きたい気持ちが日々募っています。

 

週末にニュースを見ていると、「ミャクミャク博多人形」の文字。

 

日経アートでもご紹介している博多人形師・中村弘峰氏のインスタで

先に見ておりましたので、すぐに「あれだ!」と分かりました。

 

万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、

中村弘峰氏の作品のタイトルは「いのち輝くコブラツイスト」。

 

覆面レスラーが、公式キャラクターのミャクミャクをコブラツイストで締め上げています。

ミャクミャクには目が複数あるのですが、苦しそうにギュッとつむっていたり、

半泣きで涙をこぼしていたり、それでも負けるまいと覆面レスラーを睨みつけたりと、

目の表情だけで「いのち輝く」さまが伝わってきます。

 

プロレスはスポーツなので、本当のいのちのやり取りには決してならないものの

ユーモアをまじえつつ、ギリギリを攻めあう緊張感がテーマにぴったりであると感じました。

 

 

 

昨年のことになりますが、天王洲アートウィークで開催されていた

「Beautility: The Betweenness of Kogei」で展示されていた中村弘峰氏の作品をご紹介します。

 

240704_021s.jpg

中村弘峰『Legend of Cobra Twist』

 

赤のマスクを被ったレスラーがコブラツイストで相手を締め上げ、

技をかけられている緑のマスクのレスラーは右手を少しあげて

タップアウト(降参)しそうなものの、表情からはまだ負ける気がなさそうです。

 

 

240704_021s.jpg

裏側にまわってみますと、緑(以降略)の背中がぐっと寄せられているところや、

倒れるまいと踏ん張った脚の様子がわかってとても面白い…!

 

また衣装(マスク・タイツ)も赤は獅子、緑には孔雀が描かれているのですが

タイツは特に足が絡んでいるため、獅子と孔雀も睨み合っているように見えます。

 

 

 

こちらを拝見してから「いのち輝くコブラツイスト」の写真を見て気がつきましたが、

ミャクミャクもタップアウト?間際のようで、手をあげていますね。

小さい手を懸命にあげているのが大変かわいらしいです。

 

何げない仕草やポーズのようで、身体的・精神的リアリティに基づいているからこそ、

氏の人形からは「いのち輝く」様子が伝わってくるのだと改めて感じました。

 

アニメーションやキャラクター文化が発達している日本、

人形師はまさにそういった、人のかたち・命のかたちを立体的に具現化する先駆者。

伝統技術としての「人形」の奥深さを、私たちも応援・発信していきたいと思います。

 

 

web企画『注目のアーティスト』では、中村弘峰氏に貴重なお話を伺っています。

写真も豊富に掲載していますのでぜひご一読くださいね!


人形を制作する中村家の4代目・中村弘峰さんを訪ねました。伝統工芸の正統な後継者であり、気鋭のアーティストです。2009年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、11年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。野球やアメリカンフットボールなどのスポーツ選手を五月人形にした「アスリートシリーズ」、可愛く不思議な姿の「動物シリーズ」などが代表作です。