冬のキャンプが好きだ。 寒いが、空気が澄んでいる。 見上げれば夜空に星が輝き、静寂の中。 左手に酒を持って、右手にスマホ。 スマホに映る景色は『精神現象学』 焚き火を前に、昔の思想に想いを馳せる。 パチパチパチ、パチパチパチ。 炎の爆ぜる音。太古の音楽 焚火をしながら思想に沈む。ゆったりと。 ゆっくり読み進める。ワンセンテンス。意味を噛み締めながら。 ぐびりと酒を一口、飲み込んだ。体の中がじんと熱くなる。 それは思想も同じ。 文字を読みながら、体が熱を帯びはじめる。 酩酊した時間が心地よい。 じんわりと、自分が溶けるような感覚 時間が消滅したように 一体化するように このときばかりは、自分は不死になる