A:勝因
・「入手可能Affordability」への焦点。マムダニ氏の選挙運動は、ニューヨーク市の高騰する生活費への対策に焦点を当て、家賃の高騰とインフレが続く中、労働者階級の家庭、若い有権者、そして有色人種コミュニティの共感を呼んだ。
彼はブルックリンとクイーンズで進歩派の支持基盤を動員し、出口調査では45歳未満の有権者と初めて市長選に立候補する有権者(クオモ氏に2対1の差)から過半数の支持を得た。
・草の根運動と歴史的な連携:多民族のボランティア主導のキャンペーン(5万人以上のボランティア)は、南アジア人(インド系を含む)、イスラム教徒、そして進歩主義者の間で支持を築き、バーニー・サンダース氏やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏からの支持も獲得。
・体制側候補の拒否
有権者は、2021年のスキャンダルに汚点を付けられたクオモ氏の復帰と、スリアワ氏の「法と秩序」を掲げる主張を拒否し、マムダニ氏を腐敗と現状維持の政治に対する新たな選択肢とみなした。
・高い投票率と民主党支持:ニューヨーク市における民主党の優勢がマムダニ氏の予備選勝利を後押しし、2024年選挙後の全国的な進歩主義勢力の勢いも選挙への熱意を高めた。
B:政策提言
マムダニ氏の政策は「フィオレロ・ラガーディア(1934年〜1945年の3期に渡りニューヨーク市長、ニューディール政策の支持者として民主党のルーズベルト大統領を支え、替りにルーズベルトはニューヨーク市に多額の資金援助を行う)以来最も野心的」と評され、経済的正義と公共サービスを重視、富裕層への課税(例えば、億万長者と法人への高税率)と法人税の引き上げ(州の承認が必要)によって財源が賄われる。
・住宅:家賃が安定している100万戸の住宅の家賃を凍結し、NYCHA公営住宅の修繕に投資する(「再び光を輝かせる」)。
・交通機関:市バスを無料化し、MTAとの協力を通じて地下鉄の運賃無料化を推進。
・育児と家族支援:生後6週間から5歳までのユニバーサル保育。就学前・3歳児向けプログラムを拡充。
・賃金と経済:2030年までに最低賃金を30ドルに引き上げ、食料不安に対処するため市営食料品店を設置
・公共の安全と公平性:地域密着型の警察活動、移民の保護、反ユダヤ主義と分断との闘い。
"C:米国政治全体への影響 マムダニ氏の勝利は、トランプ政権2期目における2024年選挙後の最初の大きな試金石として全米に衝撃を与え、都市部における民主党の底力を示し、2026年の中間選挙を前に進歩派を活気づけている。
これは、政党間の分断の深まり、人口動態の変化、そして政策上の争点を浮き彫りにしている。
進歩派の勢いとDSAの影響:アメリカ民主社会主義者(DSA)は、これを「マムダニのような」候補者の青写真と捉え、民主党支持の都市における左派の運動を活性化させている。
これは、穏健派民主党員が「世間知らずの左派」を恐れる声に対抗し、激戦州で重要な役割を担う若者、イスラム教徒、南アジア系の人々の投票率を押し上げている。
共和党の妨害とトランプの反発:トランプはクオモ氏を支持し、連邦政府の予算削減をちらつかせ、マムダニ氏を「社会主義者」の脅威と位置付けた。これにより、共和党は中間選挙で都市の「混乱」を攻撃する布石を打った。
アイデンティティ政治と代表性:初のイスラム教徒/南アジア系市長として、多様性の推進に貢献する。
連邦と地方の緊張:聖域保護や反トランプ姿勢といった政策は、資金(例:移民執行)をめぐる対立を激化させ、全米の都市部の抵抗を試すことになる可能性がある。
参考:ニューヨークの人口構成
白人(非ヒスパニック) 30.9% 欧州系が中心。
ヒスパニックまたはラティーノ( 28.3%
黒人 20.2%
孫崎享のつぶやき
ニューヨーク市新市長にインド系イスラム教徒が当選。経済的正義と公共サービスを重視、富裕層への課税と法人税の引き上げによって財源を確保し、家賃凍結、市バス無料化、生後6週間から5歳までのユニバーサル保育。市営食料品店等を図る。トランプと対決姿勢。
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ニューヨーク在住の富豪の中の一部はニューヨークを捨てるでしょう。又、企業の一部はデラウエア州その他に移転登録するでしょう。又、富豪に買収された市議会議員との対立が激化します。
一方、ニューヨークが持つ他に代替不能のインフラストラクチャーとマンハッタンの洗練された社会はニューヨークの強みです。
マムダニ氏たちはそのトレードオフの落着点をしっかり見通していて、それでも行けるという計算が成り立っていると私は楽観視してます。
米国民の救済か、米国民の自立を育成するか、二つの視点でみるべきでしょう。
マムダニ氏は社会の民主主義かによって貧困米国民を救済しようとしている
①富裕層に対する課税強化
②法人税の引き上げ
③家賃の凍結
④市バスの無料化
⑤ユニバーサル保育
⑥最低賃金30ドルに引き上げ
⑦市営食料品店の設置
米国民に対する補助金額が多額になりどの程度実施できるか。
トランプ氏の方策は海外に去った企業を米国内に復帰させ雇用を確保することである。
自立した米国民の育成を目指しているが、米国の賃金は他国に対して4倍ぐらい高く、また材料費も高い。普通に考えれば付加価値の高い商品でなければ他国に太刀打ちできない。米国政府がどのようにして企業を育成するかも問われているのでしょう。
11月5日のMoon of Alabamaは少し辛辣なゾーラン・マムダニ氏評であった。
「この騒動は、バラク・オバマが冷酷で悪徳な大統領になる直前の騒動を思い出させます。彼の口先だけの目的や意見に疑念を抱かせます。」
https://www.moonofalabama.org/
実は私も、この一報を聞いてオバマのことを思い出したのであった・・・。
>>2
マムダニ氏はニューヨークのエッセンシャルワーカーとその家族の困窮救済に乗り出したのです。米国民とは大げさですよ。言うなれば、大坂の大塩平八郎ですよ。
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