一目焼きそばの作り方
焼きそばは好きに作ればいいのだが、私の作り方を一応紹介しておく。
使用する焼きそばは、私にとって一番馴染みのある焼きそばである、三食入りで売られているチルド麺のやつ。メーカーごとの味の違いはよくわからない。みんなうまい。
長年の自炊生活でわかった焼きそば作りのコツは二つ。
一つ目は麺の袋に穴を開けてレンチンして温めておくこと。600Wで1分30秒くらいだろうか。これで麺が一気にほぐれやすくなる。
二つ目は麺と具を別々に炒めること。麺と具を一度に良い塩梅に炒める芸当は、私には一生無理である。
油多めでカリっとさせたり、酒を加えてふっくらさせたり、気分に応じて麺を焼き上げて、一端皿に取り出しておき、同じフライパンで今度は具を炒めて、最後に麺と合わせる。
麺に具の汁を吸わせたい場合は、具の後で麺を炒める場合もある。
一目焼きそばでは付属のソースは基本的に使わず、シンプルに塩のみ、あるいは味塩胡椒(うま味調味料と塩と胡椒のミックス)のみとした。キリっと仕上げたい場合は前者、ちょっとジャンクにしたい場合は後者。
ちなみに今回の企画は、ビリヤニのインタビューとかでお世話になっている稲田俊輔さんの「ミニマル料理」というレシピ本に載っている、具が一種類だけのスパゲティ「だけスパ」のオマージュでもある。
ということで、この夏に私が昼食か夜食にチャチャチャと作った一目焼きそばをご紹介していこう。
モヤシ焼きそば
焼きそばの具で一番ベーシックなものはなにかと考えたとき、思い浮かんだのがモヤシだった。それにしてもモヤシの一袋19円という安さは一体どういうカラクリなのだろう。モヤシ農家さんの経営は大丈夫なのかと心配になる。
そんなモヤシ一袋を水で軽く洗って、強火でシャキッと炒める。具がモヤシだけ、しかも麺と別に炒めるからこそベストな炒め具合に仕上げられるのだ。味付けは味塩胡椒でしっかりと。
19円分の具を足しただけなのにボリュームがすごい。モヤシ入りの焼きそばというか、焼きそば入りのモヤシ炒めだ。
シャクシャクと歯ごたえの良いモヤシに混ざったモッチリした麺の存在が、歯ごたえの違いで最後まで飽きさせない。これは良い一皿だ。
キャベツ焼きそば
続いてはキャベツ。夏はまったくキャベツのシーズンではないけれど、それでも普通に売っているのがすごい。
キャベツをざく切りにして、こんがりと焼き目をつける。味付けは塩だけでいってみよう。
具は焼いただけのキャベツだけだが、シャクシャクの歯ごたえと香ばしさで箸がまったく止まらない。素直に付属の粉末ソースを使って、さらに仕上げにマヨネーズをたっぷりかけることで、お好み焼き風にしてもおもしろかったか。
キャベツ自体がもっとうまければさらに最高なので、春キャベツがおいしい時期にまた作ろう。
豚焼きそば
焼きそばに豚肉がたくさん入っていると嬉しいので、たっぷりの豚肉だけを具にしてみた。麺が150グラムなのに対して、豚肉も同じく150グラムだ。
一番安い豚こまを使ったので、金額としては大したことないのだが、とても贅沢をしている気分になれて大変良い。
肉とその脂をまとった炭水化物の相性の良さを噛みしめる。野菜が一切ないからこそリセットされず、ずっと積み重なっていく幸福感。この単調な味に口が飽きてからが本番だ。
中学生だか高校生だかの頃、家の台所でこれと同じようなものと作ったことを思い出した。
鶏皮焼きそば
ここまでは普通の焼きそばの具を単品にして攻めてきたが、ここからはその枠から外れて、より自由な一目焼きそばを試していく。
スーパーに鶏皮が売られていたので、これはすごいことになるぞとジュクジュク焼き、滲み出た脂を吸わせるようにレンチンした麺を炒める。この時点での味付けは塩のみ。
むにゅカリの鶏皮と脂にまみれた麺の組み合わせが最高だ。たっぷりの黒胡椒が大正解で、ジョッキのハイボールか冷えた白ワインが欲しくなる。
家ではなく店で食べたい一皿だった。

