【特別企画】

「ロマサガ3」が30周年! 300年に一度訪れる死食が世界を破滅させるのか、はたまた救うのか……8人の主人公が四魔貴族とその奥に潜む闇に立ち向かう

【ロマンシング サ・ガ3】
1995年11月11日
発売
画像はHDリマスター版の公式サイトより

 スクウェア(現スクウェア・エニックス)より1995年11月11日に発売されたスーパーファミコン用RPG「ロマンシング サ・ガ3」(以下、「ロマサガ3」)が、発売から30周年を迎えた。

 本作は、「サガ」シリーズを手掛けた河津秋敏氏が中心になり制作。伊藤賢治氏による音楽や小林智美氏による美麗なキャラクターデザインなど、「ロマサガ」シリーズを彩ってきた布陣によるシリーズ3作品目となる。

 初代「ロマサガ」で採用された、ゲーム開始時に8人の男女から任意のキャラクターを主人公に選択するフリーシナリオ方式で、どの主人公でもオープニング時の発生イベントはある程度共通となっている。また、シリーズでは主人公ごとに複数のエンディングがある初めての作品となっている。

 どの主人公でもアビスゲートから復活した「四魔貴族」を倒してゲートを閉じることが目的となっている。初代「ロマサガ」、「ロマサガ2」のシステムをさらに進化させており、シリーズ全作品でもファンからの人気が非常に高い作品である「ロマサガ3」の思い出を振り返ろう。

 なお本稿では「ロマサガ3」のネタバレにも触れているので、その点については注意してほしい(なにせ今後「ロマサガ3リメイク」が出ないという保証もないので)。

【『ロマンシング サガ3』HDリマスター版トレーラー】

300年に一度起こる「死食」

 …死食… それは300年に一度訪れる災厄。
 死の星が太陽を覆い隠すその時、全ての新しい生命が失われる。
 今から600年前に起こった最初の死食で、ただ一人生き残った赤子は魔王となり、世界は荒廃した。

 それから300年後の死食で生き残った赤子は聖王となり、邪悪な者を全て打ち倒し世界に平和をもたらした。
 そして300年の時が経ち、3度目の死食が世界を襲った。
 今回現れるのは魔王か聖王か、それとも…?

 聖王と魔王
 8人の主人公
 立ちはだかる宿命
 時代を超えて物語は結ばれる―――


「ロマサガ3」公式サイトより

 現在サービス中のiOS/Android用RPG「ロマンシング サガ リ・ユニバース」(以下、「ロマサガRS」)でもこの「ロマサガ3」の300年後を舞台としているため、死食については知っているという人も多いのではないだろうか。

 また、魔王亡きあと4体の強大な魔物である魔貴族が世界を支配しており、聖王がこの四魔貴族をアビスへ追い返してゲートを閉じて世界の復興に尽力した、ということも知っている人は多いと思う。

 そして3度目の死食から15年後の世界が「ロマサガ3」の舞台となる。

 ロアーヌ侯国で反乱が発生し、辺境の地シノンの開拓民ユリアン、エレン、トーマス、サラは、逃亡中の侯女モニカを流浪の剣士ハリードと共に護衛しつつモニカの兄ミカエルのもとへ向かう。ミカエルは妹を安全な場所に避難させた後、護衛の剣士カタリナらと共に反乱の首謀者を討ち、クーデターを鎮圧。ユリアンたちは事件解決の功労者としてロアーヌ宮殿へ招かれることになる。

 この事件をきっかけに8人はそれぞれの道を歩み始め、世界中を旅することになる。その中で死食を生き延びた宿命の子を求める四魔貴族を阻止し、アビスゲートをひとつずつ閉じていくのが本作のストーリーの”とりあえず”の最終目標である。

 しかし、これまた「ロマサガRS」で知っている人も多いと思うのでバラしてしまうと、4つ目のアビスゲートを閉じる時に、異変が生じる。

 サラと、サラが出会った謎の「少年」がアビスゲートに反応し、捕らわれてしまう。3度目の死食で生き残った「宿命の子」は2人で、サラと少年だったのだ(サラは16歳となっているが、本当の年齢は15歳)。

 サラが主人公であれば少年がサラを助け、他の主人公であればサラが少年を助け、宿命の子のいずれか片方がアビスへと消えてしまう。

サラ

 5つ目のアビスゲートが存在することを知った主人公たちは、アビスへ消えたサラ(少年)を助けるために、第5のアビスゲートへとたどり着く。

 第5のアビスには四魔貴族の「本体」が待ち構えていた。この本体を倒し(倒さなくても進めるのだが)アビスの奥へと進む一行。しかし助けを拒むサラ(少年)。本来あってはならない「2人の宿命の子」が同時に存在することは、宿命の子の力が死と破壊に偏ってしまう。だからこそサラ(少年)は、アビスで死を迎えるつもりでいたのだ。

 だが2人の「宿命の子」がそろったことで、死と破壊の力の具現である「破壊するもの」が誕生してしまう。破壊の力を止めるため、「破壊するもの」へ最後の戦いに挑む主人公たち。無事に「破壊するもの」を倒した一行だが、「破壊するもの」に蓄積された力は止めようがなく、アビスと世界は崩壊した。

 しかし宿命の子のもう一つの側面である生と再生の力をもって、一度破壊された世界を再生することができたのだった。

 そしてもう死食は起こらないはずの世界となったのだが、「ロマサガRS」の第一章ポルカ編のストーリーでは再び死食が起こってしまう。

 ……と、完全にネタバレありきで語ってしまったが、もちろん各主人公によって様々なイベントが起こり、様々な仲間が加入する。「四魔貴族を打倒しアビスゲートを閉ざす」という大目的はあるが、ほとんどのイベントは自由に攻略できるので、アビスゲートを無視して進めていくこともできればストーリーを進めずにひたすら武具開発をするなど、自由な遊び方ができるのが本作の魅力なのだ。

 今、さらりとストーリーの大半を語ったが、「ロマサガ3」のストーリーはわかりにくい、と評されることが多い。また四魔貴族を倒すことにはなっているがなぜ四魔貴族を倒しにいくのがこの8人なのかといった動機付けも少々弱い。サラが宿命の子だと最初からわかっていると色々なことが解決される気もするのだが、そうすると終盤での「な、なんだってー!」というサプライズはなくなってしまう。ここについては難しいところだが、筆者は「サガ」シリーズのフリーシナリオシステムが好きで「よくわからないけど、なんだかやることになっていた!」みたいなシナリオでも全然かまわないタイプなので、「ロマサガ3」はやはり名作なのだと思う。

 実際こういう不満点も上がることはあれど、最後までプレイしたプレーヤーはこぞって「名作だった!」と声をあげる作品だった。

イラストやBGM……「ロマサガ3」といえば「四魔貴族バトル」

 「ロマサガ3」といえば小林智美氏による美麗なキャラクターデザインを忘れてはならない。先ほどサラのイラストを掲載したが、筆者の最推しはミカエル様である。

ミカエル

 ミカエルは、絵柄からもわかる通り容姿端麗なロアーヌの侯爵で、領民からの評価も高い。つまり有能。

 冒頭で臣下のゴドウィン男爵に反乱を起こされるが、これも以前から男爵の目論見に気が付いていたミカエルがわざと反乱を起こしやすい状況を作り出して、男爵はそれに乗ってしまっただけという、策略家でもある。つまり有能。

 だが反乱の知らせを大事にしている妹のモニカが知らせに来ることだけは想定外だったのだが、これはミカエルがポンコツだったのではなくモニカの大胆な行動はミカエルですら読み切れないというだけで、ミカエル自体は有能のままである。

 うーん、眉目秀麗とはまさにこのこと。ミカエルが主人公以外の場合は仲間にできるタイミングが遅く、装備だけはがされてポイされるだけの運命に近い存在だとしても筆者だけは最後までミカエルを使い続けるのだ。

画像はHDリマスター版のもの

 あと「ロマサガ」シリーズといえばもうひとつ忘れてはならないものがある。それは伊藤賢治氏によるBGMだ。

 なかでも「バトル2」が特に好きな筆者。バトル曲だというのに、なんという美しい旋律なのか。それでいてバトルの雰囲気と全く合っていないとかではなく、ちゃんとした戦闘曲。でもボスの重厚感というよりは、禍々しい雰囲気を漂わせる曲調と言えばいいのかもしれない。

画像はHDリマスター版の公式サイトより
【【Video Soundtrack】バトル2(ロマンシング サ・ガ3)】

 また、もうこれは語るまでもない名曲だが、「四魔貴族バトル1」と「四魔貴族バトル2」。

【【Video Soundtrack】四魔貴族バトル1(ロマンシング サ・ガ3)】
【【Video Soundtrack】四魔貴族バトル2(ロマンシング サ・ガ3)】

 「四魔貴族バトル1」はかなりハイテンションで気分が盛り上がる。イントロのギターと、バックに鳴っているハープが非常に対照的かつ印象的で、伊藤氏のライブでも大人気の一曲だ。

 「四魔貴族バトル2」は1分に及ぶ長いイントロがあり、まだかまだか……と溜めたあとに爆発する怒涛のロックで、これまたファンからの支持が厚い曲となっている。だが実はこの曲の流れる四魔貴族との戦いは必須ではないので、人によっては聴く機会がないという恐ろしい名曲だ。

 いわゆる「イトケン節」と呼ばれる曲調が完全に確立したのは、この「四魔貴族バトル」あたりからではないかと思う。もちろん、「ロマサガ2」の「七英雄バトル」などを経てこそではあるが、これまで「サガ」の曲では「七英雄バトル」が一番、と言っていたプレーヤーたちを一気に心変わりさせてしまうだけの力がある楽曲が「四魔貴族バトル1」と「四魔貴族バトル2」だったと思っている。

 本作はこれまでの「サガ」シリーズの中でも様々な要素がてんこ盛りとなっており、やれることはとにかく多いのだが、全体的な難易度は「サガ」シリーズとしてはかなり低く、「サガ」入門編にもぴったりと言われているほどだった。

 現在は昨年発売された「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」があるので、こちらのほうが入門編にはぴったりな内容になっていると思うが、「昔ながらのサガをやってみたい」という人には、やはり「ロマサガ3」がぴったりなのではないだろうか。

 さらにリマスター版では一部イベントなど様々な要素が追加されているので、より一層遊びやすくなった。3DCGではなくドット絵で遊びたいという人には圧倒的におすすめだ。PS4、Switch、Xbox One、Windows 10、Steam、PSVita、iOS/Androidと多様な機種で遊べる点も良い。

 ちなみに、筆者は「ロマサガ3」も大好きなのだが、「ロマサガ3」の実質続編と言っても過言ではない「ロマサガRS」も大好きな作品なので、「ロマサガ3」の世界観が好きだった人にはぜひ「ロマサガRS」も触れてみてほしいと思っている。

 特に第一章のポルカ編を経て第二章のジョー編がこれまた最高に面白いので、これらも何卒、ぜひに。せっかくの30周年のこの機会に言わせてもらいたいのであった。

【ロマンシング サガ リ・ユニバース】

□PS4版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ
□Switch版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ
□Xbox版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ
□Windows版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ
□Steam版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ
□iOS版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ
□Android版「ロマサガ3」(HDリマスター版)のストアページ