転倒のリスクは自宅のあちこちに
住み慣れたはずの自宅のあちこちに、転倒のリスクは潜んでいる。
2020年に消費者庁が発表した調査結果によると、65歳以上の転倒事故の50%近くが、自宅の中で起こっているという。福島県立医科大学教授で、転倒事故に詳しい安村誠司氏が話す。
「我が家ではつい気が緩んでしまうかもしれませんが、家の中のどこであっても、転倒のリスクはついて回ります。手すりなどである程度までは対策できるものの、『絶対に安全』とは言い切れないのが現実です」
ではいったい、自宅のどこで転倒事故が起こっているのか。前出の調査によると、約19%を占めているのが浴室・脱衣所だ。
使われている床材の劣化が進んだり、シャンプーや石鹸の成分が付着したりすると、ただでさえツルツルしている浴室の床がさらに滑りやすくなる。
「床だけでなく、実は浴槽内で転ぶケースもまま見られます。とくに床に滑り止めがない浴槽だと、出るときにしっかりと立ち上がれず、足を取られてそのまま転倒してしまうわけです。浴室内に手すりを取り付けて、浴槽には滑り止めマットを敷くだけでも、こういったリスクは軽減できます」(安村氏)