チャイナパワーはクラシック音楽も席巻中……その中で現れた若干17歳のピアニスト界の「大谷翔平」とは?

ショパン・コンクールをチャイナパワーが席巻した。その中でも17歳の怪物の実力は恐るべきものがあった!

ピアノ界で大活躍

このコラムは、「中国に関することなら何を書いてもよい」という条件で引き受けている。それに甘えて今回は、思いっきり自分の趣味の話を。

それはピアノである。五十の手習いで、いまも隔週でレッスンに通う日々だ。

そんな私は先月、超寝不足だった。5年に一度の「ピアノ界のオリンピック」こと「ショパン・コンクール」が、故国ポーランドで開かれたからだ(2〜23日)。84人の世界の若き俊英が連日腕を競い、YouTubeでライブ配信された。

19回目となる今回の最大の特徴は、チャイナパワーだった。何と中国人が28人! 他にも3人の台湾人、9人の中国系欧米人、マレーシア華人らを含めると、約半数が中国系だったのだ。

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毎晩、寝惚け眼でライブ演奏を観続けるうち、一人の「怪物」を発見した。北京の中央音楽学院附属中高出身の呂天瑶。コンクール中に17歳を迎えたほぼ最年少の可憐な少女だ。

中央音楽学院とは私も縁がある。北京駐在員をしていた3年間、同校の先生に習っていたからだ。

'08年の北京オリンピック開会式で、郎朗が華麗な生演奏を披露し、ピアニストが「儲かる職業」であることを魅せつけた。以来、空前のピアノブームが巻き起こり、中国じゅうの親たちが、一人っ子に習わせるようになった。

おかげで中央音楽学院もバブルに沸き、1台100万元(約2100万円)もするスタインウェイのピアノを約300台購入。本社から社長が飛んで来たほどだった。

ショパン・コンクールでは'00年、当時18歳の李雲迪が、神がかった演奏で優勝した。だが彼はその時がピークで、北京時代に国家大劇院音楽庁で生演奏を聴いて失望した。おまけに、ひどい中国語の訛りにも。ついには4年前に買春で拘束されてしまった(涙)。

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