特別企画

国立環境研究所一般公開でダイソーTCG「蟲神器」のコラボイベントが開催!

交流会や大会だけでなく展示も充実、新レアリティのプロモカードが配布される

【国立環境研究所一般公開2025】
日時:10月25日10:00~15:00
会場:国立環境研究所
参加費:無料

 2025年10月25日、茨城県つくば市にある国立環境研究所の一般公開が行なわれ、普段は見ることができない研究所の施設が公開された。研究者との対話や実験体験、展示やトークイベントなど盛りだくさんの内容で、多くの来場者で賑わっていた。その中でもちょっと変わったイベントが、ダイソーTCG「蟲神器」とのコラボイベントである。

 会場では蟲神器に登場するアリやミツバチなどの生態がよくわかる展示をはじめ、蟲神器の体験会や大会も行なわれ、盛り上がっていた。国立環境研究所の一般公開は入場無料であり、体験会や大会に参加しなくても展示を見るだけで、誰でも蟲神器のオリジナルプロモが2種2枚(合計4枚)もらえるということもあり、開場直後から行列ができた。筆者も大会に参加してきたので、その様子をレポートする。

国立環境研究所一般公開でなぜ「蟲神器」のイベントが開催されたのか

 蟲神器は、100円ショップ大手のDAISO(ダイソー)が2022年11月7日に発売を開始したオリジナルTCGで、スターターセットもブースターパックも税込み110円で購入でき、気軽に始められるTCGとして人気がある。特に今年の夏は、カイコ繋がりで富岡製糸場コラボイベントを開催したり、モーリーファンタジーやヴィレッジヴァンガードともコラボしたりするなど、絶好調だ。

 蟲神器はその名の通り、虫をテーマとしたTCGであり、実在する昆虫が多数登場する。国立環境研究所は、その名の通り、広く環境に関わる研究を行なっており、その一つに「生物多様性領域」がある。生物多様性領域では、昆虫も研究対象であり、ハナバチ(ミツバチなど)やアリなどの生態を研究しているチームがある。

 もともと、ハナバチを専門に研究しているチームの中で蟲神器が流行っており、一般公開にあわせて蟲神器とのコラボイベントをやりたいと打診したのがきっかけだという。今回のイベントの参加者に配られる限定プロモカードは、ヒアリとニホンミツバチだが、特にニホンミツバチは、すでに登場しているニホンミツバチの絵違いではなく、新たなレアリティURとして生まれ変わったカードである。

 プロモカードのURニホンミツバチは熱殺蜂球とウイング・スラッピングという2つのワザを持っている。ウイング・スラッピングは、ニホンミツバチが巣に侵入するアリを羽根で弾き飛ばして巣に近づけないようにする行動であり、2024年9月に国立環境研究所によって命名された。一般公開にあわせてプロモカードを配布するなら、ウイング・スラッピングをワザ名として採用したカードを配布したいというハナバチ研究チームの要望に対し、様々な提案と相談を重ねることで、URニホンミツバチのプロモカードが実現したのだ。

【国立環境研究所一般公開2025の蟲神器コラボイベントで配布されたプロモカード】
「ヒアリ」のプロモカード。いわゆるフルアート仕様だ
「URニホンミツバチ」のプロモカード。蟲神器初の先行プロモであり、レアリティも初のURとなる
【【ウイング・スラッピング】ニホンミツバチがアリを弾き飛ばす!~ギタースラップに乗せて~】

アリやニホンミツバチなどに関する展示が充実、ヘラクレスオオカブトの生体も展示

 国立環境研究所一般公開2025では、研究所内のいくつかの建物を使って、展示や実験体験、トークイベントなどが行なわれている。蟲神器コラボイベントは、大山記念ホールの2Fで開催された。開場は10時だが、10時前から受付をすませた来場者が大山記念ホールの入口に集まり、10時半頃にはかなり長い入場待機列ができた。大山記念ホールの入口横には、今回プロモカードとして配布されたニホンミツバチとヒアリの顔ハメパネルが用意されていたほか、富岡製糸場とのコラボイベントで登場したカイコ関連の顔ハメパネルも別の場所に置かれており、顔ハメ写真を撮る来場者も多かった。

【国立環境研究所一般公開2025の様子】
国立環境研究所の入口
10時前には受付に行列ができた
蟲神器コラボイベントはこの大山記念ホールの2Fで開催された
「ニホンミツバチ」と「ヒアリ」の顔ハメパネル
富岡製糸場コラボイベントで使われていた「カイコ」「蚕玉の加護」「カイコ(幼虫)」の顔ハメパネルも置かれていた
10時40分頃にはかなり長い入場待機列ができていた

 蟲神器コラボイベントが開催された部屋の中央には、一度に32名が蟲神器で対戦できる対戦スペースが設けられ、体験会や大会以外の時間帯は自由にフリー対戦ができるようになっていた。壁際にはアリやミツバチに関する4枚のカード「蟻の収穫」「ヒアリ」「蜜蝋の壁」「ニホンミツバチ」の巨大カードが設置されており、それぞれのカードに関連した展示が行なわれていた。

【蟲神器コラボイベントが開催された部屋の様子】
部屋の中央にはプレイスペースが用意されていた
蟲神器に登場する4枚のカードに関連する展示が行なわれていた

 「蜜蝋の壁」と「ニホンミツバチ」関連では、ミツバチの巣の実物や、巣から作った蜜蝋が展示されており、実際に触ることができるようになっていた。また、先ほど紹介したウイング・スラッピングの動画も大型モニターで放映されており、ニホンミツバチの動きに感嘆の声を上げる来場者もいた。

【「蜜蝋の壁」と「ニホンミツバチ」関連の展示】
「蜜蝋の壁」関連の展示
実際のミツバチの巣やそこからとれる蜜蝋の展示。手で触ることもできる
「蜜蝋の壁」の実物カードと実際のイメージ
ミツバチの巣の様子

 「蟻の収穫」と「ヒアリ」関連では、要緊急対処特定外来生物に選定されているヒアリの実物標本や、ヒアリ採集のための装備や機器などの展示に注目が集まっていた。また、ヒアリ以外の侵略的外来アリとして、アルゼンチンアリやアカカミアリの標本が展示されていたほか、クロヤマアリやクロナガアリ、オオハリアリ、クロクサアリなど、さまざまなアリの生体展示も行なわれており、多様性に富むアリの世界を知ることができるようになっていた。

【「蟻の収穫」と「ヒアリ」関連の展示】
「ヒアリ」関連の展示
左下の3つのビンにヒアリの標本が入っている
国立環境研究所には、日本初のヒアリ飼養研究施設が設置されている
ビンに入ってるヒアリの数は左から約100匹、約500匹、約1000匹である
ヒアリの侵入状況。2025年は過去最多ペースである
ヒアリの通常カード(左)と今回配布されるプロモカード。絵は異なるが効果などは同じだ
ヒアリ画像判定用AIなどの展示
ヒアリの大きな模型
ヒアリなどを採集するための道具
安全を守るためのヘルメットや腕章
ヒアリ以外の侵略的外来アリについての説明
蟲神器にも登場しているアカカミアリも要緊急対処特定外来生物である
「蟻の収穫」繋がりで、アリの多様性についての展示が行われていた
さまざまなアリが生体展示されていた
蟲神器にも登場しているクロヤマアリ
クロナガアリの生体展示
オオハリアリの生体展示
クロクサアリの生体展示
トビイロシワアリの生体展示
トビイロケアリの生体展示
蟲神器にも登場しているクロオオアリの展示
アミメアリの生体展示
ハリブトシリアゲアリの生体展示
キイロシリアゲアリの生体展示
サクラアリの生体展示

 そのほか、国立環境研究所生物・生態系環境研究センター 生態リスク評価・対策研究室特命研究員の五箇公一さんが描いた蟲神器に登場する虫の精緻なイラストの展示や第1弾のLRカードとして登場した世界最大のカブトムシであるヘラクレスオオカブトの生体展示などもあり、来場者の注目を集めていた。

【精緻なイラストや「ヘラクレスオオカブト」の展示】
国立環境研究所生物・生態系環境研究センター 生態リスク評価・対策研究室特命研究員の五箇公一さんが描いた蟲神器に登場する虫の精緻なイラスト
国立環境研究所生物・生態系環境研究センター 生態リスク評価・対策研究室特命研究員の五箇公一さんの原寸大パネル
ヘラクレスオオカブトの精緻なイラスト
セアカゴケグモの精緻なイラスト
ヒアリの精緻なイラスト
セイヨウミツバチの精緻なイラスト
セイヨウオオマルハナバチの精緻なイラスト
第1弾のLRカード「ヘラクレスオオカブト」
世界最大のカブトムシであるヘラクレスオオカブトの生体展示
今回のイベントで配布された2種類のプロモカード
部屋の入り口で、プロモカードが配布されていた
展示を熱心に見る来場者

研究員が参加した体験会とバトル大会も盛り上がった

 本イベントでは展示以外に、蟲神器の体験会とバトル大会も開催された。どちらも、事前申込者が優先のイベントだが、当日のキャンセル待ちで参加された方もいた。各対戦テーブルには、今回のイベントのために作られた特製プレイマットが置かれていた。ミツバチとその生態をモチーフに縄張りやエサ場、山札、捨て札、場をイメージしたお洒落で使いやすいプレイマットであり、是非売ってほしいという声が多数聞かれた(非売品で販売予定はない)。

【今回のイベントのために作られた特製プレイマット】
今回のイベントのために作られた特製プレイマット。ミツバチとその生態をモチーフに、縄張りやエサ場、山札、捨て札、場をイメージしたお洒落で使いやすいプレイマットになっており、欲しいという人が続出した
アイリスラーメンチャンネルが作成した、処理に戸惑いやすい効果の解説シート

 体験会は、基本的に蟲神器を初めてプレイする小学生以上が対象である。主催者のめんだこさんによる丁寧なルールの説明の後、スターターデッキを使って白衣を着た国立環境研究所のメンバーと対戦する形で行なわれた。

【体験会の様子】
体験会でのルール説明の様子
動画も交えた分かりやすい解説であった
研究所のメンバーと対戦を行なう
女の子の参加も多かった
体験会終了後、大会までフリー対戦が行なわれていた

 バトル大会は、参加者32名によるスイスドロー5回戦で行なわれ、国立環境研究所のメンバーも4名参加しており、熱戦が繰り広げられた。大会の上位6名には、賞品として特製プレイマット(1名)や非売品のニホンミツバチの蜂蜜(2名)、非売品の国立環境研究所オリジナル手ぬぐい(3名)が贈られた。大会参加賞として、オリジナルの金太郎飴が参加者に配られた。

 大会の運営は、蟲神器動画などを公開しているアイリスラーメンチャンネルのメンバーが担当しており、スムーズに進行していた。なお、この大会では、当日配布された2種類のプロモカード(ヒアリとURニホンミツバチ)を使ってもよいとされており、ヒアリが入ったデッキを使っているプレイヤーの中には、早速プロモのヒアリと交換して参加している方もいた。

 筆者も事前申込に当選したので、大会に参加してきた。使うデッキは迷ったのだが、せっかくならその場でもらえるURニホンミツバチを使いたいと思って、ハチ科の虫とハチ科サポートのカードで作ったデッキにURニホンミツバチを入れて参加した。この大会でURニホンミツバチを使った参加者はあまりいなかったようだ。結果は2勝3敗とイマイチだったが、対戦相手に「そのカード使っていいんですか?」と驚かれることもあった。

【バトル大会の様子】
大会の最初に「ニホンミツ、バチ!」のかけ声をみんなで練習した
大創出版の西田社長(右)とデザイナーのNIZAさん(左)が挨拶をした
イベントを主催した国立環境研究所のメンバー
上位6名には上位から賞品を選ぶことができるが、一番人気はやはりこの特製プレイマットである
こちらは3名に贈られるオリジナル手ぬぐい
大会参加賞として配布されたオリジナル金太郎飴。金太郎飴はアンケートに答えた先着500名にも配られた
1試合の制限時間は15分。対戦報告やマッチングにはトナメルを使っており、前方のスクリーンにも表示されていた
筆者はもらったばかりのURニホンミツバチを入れたハチデッキで対戦

 決勝戦は、赤単アリデッキのネギオさんとオソレサバクデッキのカズマッゾさんの戦いとなった。最後の縄張りから飛び出した「ヤブキリ」が勝敗を分け、ギリギリの激戦を制したのはネギオさんだ。

 決勝戦終了後、優勝者のネギオさんは大創出版の西田社長と、準優勝者のカズマッゾさんは蟲神器デザイナーのNIZAさんと、それぞれエキシビションマッチを行なった。こちらも白熱した戦いが繰り広げられたが、西田社長とNIZAさんが見事に勝利。開発元の面目を保った形となった。西田社長もNIZAさんも、月刊コンプティーク11月号の蟲神器特集で自分のおすすめデッキとして紹介されているデッキを使っていた。西田社長が使ったデッキは「そこそこ強くなった蟲主向けよくばりコントロール」、NIZAさんが使ったデッキは「リュウオウアグロワンショット」である。

【決勝戦とエキシビションマッチの様子】
決勝戦の様子はスクリーンに投影された
白衣を着ているのが研究所のメンバーだ
決勝戦の様子。左奥がネギオさん、右手前がカズマッゾさんだ
激戦を制したのは赤単アリを使っていたネギオさん
休憩後、西田社長とネギオさんのエキシビションマッチが開始
こちらはカズマッゾさんとNIZAさんのエキシビションマッチ
西田社長が、カイコとゴクラクトリバネアゲハ2体を出し、盤石の盤面に
2ハンデスを受けたNIZAさんだが、冷静に反撃を行ない、有利な盤面を築く
西田社長が見事に勝利を果たした

 現時点では、来年の一般公開で蟲神器イベントを行なうかどうかは未定とのことだが、とても素晴らしいイベントだったので、是非来年の開催も期待したい。