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途絶えたはずの存在が続く理由。量子不死仮説とパラレルワールド

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(著)

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 ロシアンルーレットの引き金を引いて銃弾が発射されてしまった。それでもあなたの意識は別の世界で生き続けているかもしれない。

「量子不死性」は、「死んだはずなのに生きている」という矛盾した状況を説明しようとする、奇妙な量子力学の思考実験だ。

 この仮説は、すべての出来事が分岐したパラレルワールドで同時に起こっているという「多世界解釈」にもとづいており、私たちの意識はその中の「死ななかった自分」にだけつながっていくと考える。

 つまり、世界が分かれ続けるかぎり、主観的な自分は“永遠に死なない”ということになる。ここでは、その不気味で魅力的な思考実験「量子不死性」について、もう少し詳しく見ていこう。

量子不死性のはじまり:ロシアンルーレットと生き残る自分

 想像してみてほしい。あなたはロシアンルーレットという危険なゲームをしている。6つの弾を入れる穴があるリボルバー式の拳銃に、1発だけ弾を入れ、シリンダーを回し、引き金を引く。

 もし6分の1の確率で弾が発射されれば即死するという、まさに「運まかせの生死のゲーム」だ。

 ところが、量子力学の考え方に従えば、この状況で「死んだ自分」と「生きた自分」が同時に存在する」ことになる。

つまり、一回引き金を引いた時点で、世界は2つに分かれる。

  • Aの世界では、あなたは死ぬ。
  • Bの世界では、あなたは生きている。

 では「あなたの意識」は、どちらの世界にあるのだろうか?

 「量子不死性(Quantum Immortality)」という考え方では、それは必ず“生きている方の自分”にしか続かないという。

 例えAの世界であなたが命を落としていたとしても、その世界には「あなたの意識」はもう存在しない。意識とは“生きている自分”が感じるものだからだ。

 一方、Bの世界ではあなたは生き延びており、意識もそのまま続いている。

 つまり、主観的なあなたから見れば、どれだけ危険なことを繰り返しても、毎回“生き残った自分”としてしか現実を感じることができない。

 この現象こそが、量子不死性と呼ばれる思考実験の核心なのである。

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すべての可能性が起こる「パラレルワールド」の仕組み

 ここで登場するのが、「多世界解釈(たせかいかいしゃく)」と呼ばれる量子力学の仮説だ。

 これは、何かが起きるたびに、宇宙はそのすべての結果ごとに分かれていくという考え方で、わかりやすく言うと「パラレルワールドが無限に生まれている」と言える。

 例えば今日、朝ごはんにパンを食べたとする。でも別の世界では、ごはんを選んだ“もうひとりのあなた”がいる。さらに別の世界では、寝坊して食べなかったあなたもいる。

 このように、あなたがするあらゆる選択や偶然が、新しい世界を次々に生み出しているというのが、多世界解釈だ。

そして、この考え方が「量子不死性」の土台になっている。

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image credit:Pixabay

「生きている意識」だけが続いていくという不思議

 では、あなたが実際にロシアンルーレットで亡くなったとしよう。家族や友達から見れば、あなたはもうこの世界にいない。

 でも、あなたの意識は、死ななかった“別の自分”の世界に残っているとしたら?
あなた自身には、「死」という出来事をまったく体験しないことになる。

つまり、死んでも、自分では死んだと気づけない。なぜなら“死ななかった自分”として、世界が続いているからだ。

これが「量子不死性」の本質だ。

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シュレーディンガーの猫との違い

 量子力学で有名な例に、「シュレーディンガーの猫」という思考実験がある。

 箱の中に猫と毒薬、放射性物質を入れた状態で、原子が崩壊すれば毒が出て猫が死ぬ。崩壊しなければ猫は生きている。

 このとき、箱を開けるまで猫は「死んでいる状態」と「生きている状態」が重なり合っている。これを「量子の重ね合わせ」という。

でも、「量子不死性」の場合はそれとは違う。

 猫が死ぬ世界と生きる世界が、どちらも実際に分かれて存在すると考える。

 そして観測する前からすでに「2つの世界」ができていて、あなたの意識は「猫が生きている世界(死んでいない世界)」にだけつながっているということになる。

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私たちの意識は永遠に死なないのか?

 と、ここまで読むと「じゃあ人間は永遠に死なないの?」と思ってしまうかもしれないが、これはあくまで「思考実験」だ。

 この理論を証明する方法は今のところなく、実際にロシアンルーレットをしたら、現実世界ではちゃんと死ぬ。

 この話は、「もしも世界が無限に分かれていて、自分の意識が生き残った方にしか残らないとしたら……」という量子力学と哲学が合体した、空想的な問いかけなのだ。

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それでも、私たちは「生きている自分の世界」を生きている

 量子不死性は、まだ証明も否定もされていない理論だけれど、「今ここに生きている自分」が、たくさんの選択や偶然をくぐり抜けてきた結果だと考えると、どこか不思議な感覚になる。

 コロンビア大学の天文学者、デイヴィッド・キッピング博士は、「もし世界が分かれるとしたら、自分の意識はどちらか一つにしかいられない」と言う。

 つまり、どちらも起きるけれど、自分が感じるのはいつも「生きている方の世界」だという考え方になる。

 「量子不死性」は、量子力学の仮説に基づきながら、私たちが“自分”という存在をどう考えるかという深いテーマにもつながっているのだ。

 科学と哲学のあいだにまたがるこの思考実験は、単に「不死が可能か」という話ではなく、「生きている自分とは何か」「意識とは何か」といった、見えないけれど大切なものを考えさせてくれる。

 あなたが今こうしてこの記事を読んでいる世界は、数えきれない分岐の中から選ばれた、特別な“今”なのかもしれない。

References: Some Version of You Always Beats Death, According to This Scientific Theory

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この記事へのコメント 47件

コメントを書く

    1. その通り!生物は必ず老化する。寿命が尽きた時に、まだ生き残った自分がいるという大矛盾にぶち当たるwそしたら、永遠に死ぬないじゃんww

      1. 寿命って人生におけるほぼすべての活動に影響してるから仮に寿命を迎えたとしてもそこまでたどり着くパターンがほぼ無限にあるってことじゃない?

      2. 肉体は死んでいるが精神は死んでない
        自身の死を認識していない幽霊状態になるのでは

    2. 禁酒、禁煙、よい食事、適度な運動、やりがいのある仕事を選ぶことで
      延命は出来るけど最終的に死ぬのは仕方ないね。

    3. 偶然若返るかも知れない。量子レベルの不確定性が原因だから何でも起こり得る。
      ただ、この手の話は、幾らなんでもおかしいからどこか間違ってるはずだぜって言う問題提起のためのものだから、マジでそうなってるとは思わない方が良いわね。
      こちらは、かの猫問題と違って、わかんないけど観測者には影響ないし良いやとはならない点がちょっと深刻かも

  1. 面白いけどね
    この世界は寿命があるわけだけど、自分が永遠に生き続ける世界があるかもしれないと言う事?

  2. ん~ん~ん~、ん~~~
    すみません理解できませんでした。

    これ系の映画は好きなんですけどね。

  3. 難しい事は良くわからないけど、なんとなく自分が生きてる世界では自分は死なないんじゃないかと昔から頃から思ってた。 なんか感覚的にその考えがしっくりきてた。 かといって命知らずな事が出来る訳でも無いけど

    1. 自分の意識が突然消えるとは想像出来ないのよね(したくないとも)
      もう少し違う形かもしれないけど存在し続けてる気がして…

  4. 意識が量子的な質量を持ってたら多世界解釈も成り立つ可能性はあるけど
    意識ってあくまで五感や言語との関係性で生じた実体のないものだから他世界に都合よくリンクするなんてことはなさそうに思えるけどなあ

  5. 「肉体は死んでるけど意識だけの存在になってる」って可能性は考えないの?

  6. ジョジョ7部の大統領のスタンドのことを科学的に記事にしたってことだな!

  7. 寿命とか飛行機事故とか、どう考えても逃れようのない死の場合は、そもそも「生き残った世界線」が存在しないから、その時が本当の終わりってことなのかな

    1. 乗り物による事故の場合は『乗らなかった世界線』は考えられる

  8. 仮にパラレルワールドが無限にあるなら寿命による死を乗り越えた世界線もあるのか

    1. そこ今回の説でのポイントになりそう
      事故と寿命が渾然一体という場合もよくあるし

      確かに、私たちが知っているのは常に他人の死だけ

    1. 仏教は知れば知るほど科学的よな……。
      バラモン教の理不尽に対抗するために生まれた『学問と精神論』の融合なのを考えれば納得はできる

  9. こういうのは好きなので自分以外ではどうなのかという世界を考えたこともある
    誰かが死にかけて生き残ったとする、それは生き残った世界が選ばれたと想定する
    しかし死んだ場合の世界と起きることは同じであるとして、両方で解釈してみたりできる

  10. 寿命がなくなったら人口増加で諸々の問題が生じるじゃん
    いやまてよ、日本は現在寿命が伸びて人口減少が起きてる
    その世界では上手くバランスが取れてるのかな、、

  11. > ところが、量子力学の考え方に従えば、この状況で「死んだ自分」と「生きた自分」が同時に存在する」ことになる。
    >つまり、一回引き金を引いた時点で、世界は2つに分かれる。

    こういうふうに勘違いしている人が本当に多い
    量子力学とは「死んだ自分」と「生きた自分」か不確定だけであって、同時に存在するわけではない

    1. いや同時に存在するんだよ
      単に不確定なだけなら二重スリット実験とか説明できない

  12. 『質量=エネルギー=情報』という考えもある。その『情報』が意識の一部であるとすればこういう考えもなんとなくわかる。食べたものの情報が無意識に積み重なって文化の違いが生まれているのでは・・・とか。証明はとても難しいが考えるのは楽しい。

    1. 10年前の福岡伸一さんのチームの研究で
      遺伝子マーカーした食べ物をマウスに食べさせてそのマーカーを追う観察をしたら、ちゃんとそのマウスの体の一部に食べ物の遺伝子が取り込まれたってのがあったな、確か写真付で
      食べ物は食べた体と精神に作用するのはマジかも、と思えた内容だった

  13. んん?シュレーディンガーのネコと同じだと思うが?
    蓋を開けるまで原子が崩壊して毒は放出されて死んでる世界と生きてる世界が両方存在してるので同じなんだけど?
    蓋を開けたら猫が犬になってるパラレルワールドも存在するかも知れないし

  14. アキレスと亀みたいなものだから、現象として捉えるのは違う

  15. 流石に100歳まで生きて老衰で死んだらどのパラレルワールドにも
    生きてる自分はいないだろうから意識は完全消滅するだろう。

  16. ドラえもんで食ったもん吐き戻してもう一度食うっていうばっちい話があったの思い出した

  17. Bの世界・別の世界が”あったら”という、タラレバの話。実際にあるわけじゃないのね。まあ、この世の中で誰も死後の世界を証明する事は出来ないんだから、こういう話しを見て惑わされたらダメよ、霊感商法とかに引っかかる。

  18. ついに行く道とはかねて聞きしかど
    昨日今日とは思わざりしを

  19. 量子力学を感覚的に理解するのが難しいのは、あまりにもギャップがありすぎるから
    素粒子は余裕で壁を通り抜けるけど、素粒子が集まった物体になった途端に絶対に壁を通り抜けることない
    量子は壁を通り抜けるのが当たり前の世界
    人間は通り抜けることが出来ないのが当たり前の世界
    両方事実だからこそ感覚的ギャップが生まれる
    さて、意識はどちらに属すのでしょうか?
    量子ならこれはワクワクするね
    この記事は要するに、そういう類の話

  20. こういう並行世界仮説見るたびに思うんだけど分岐の度に生まれる新世界の質量はどこから生まれるんだ?ビッグバンの時点から宇宙が無限並列に別世界として生まれているってこと?その無限の並列世界を生み出す質量はどこから…あーだめだ頭痛くなってきた
    仮説Aに仮説Bで説明して、その仮説Bは仮説Cと仮説Dが前提で、仮説C、仮説Dには前提としてそれぞれ…みたいなこと多すぎて頭おかしくなりそう

  21. どちらにせよ考えるだけ無駄なのが悲しい。
    これから50年程度で確認されると良いな。
    生きてる内に、今現在の未知が解明された時代を生きたい

  22. ロシアンルーレットで脂肪が確定した時、観測がされるので、しななかった未来は淘汰されるべき。という事は、観測されなかった、命が続いている未来は消失する。

    1. >という事は、観測されなかった、命が続いている未来は消失する。

      観測者である私たちにとってはロシアンルーレットを失敗した世界で物事が続く。
      しかし、本人視点では成功した世界で生き続けるのではないかな。

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