この画像を大きなサイズで見る約2億5200万年前、地球はかつてない危機に見舞われた。海の生き物の約95%、陸の脊椎動物の約76%が一気に姿を消し、生物の進化は新たな時代へと突入する。「ペルム紀末の大量絶滅(P-T境界)」だ。
恐竜が誕生するよりも前、まだ地球上の陸と海が一つの超大陸「パンゲア」として存在していた時代に、いったい何が起こっていたのか。
この謎に迫るため、アメリカのワシントン大学とフィールド自然史博物館を中心とする国際研究チームががアフリカ・タンザニアとザンビアで17年にわたって化石調査を続けてきた。
彼らが掘り出したのは、絶滅前夜の陸上に広がっていた多様な生態系の痕跡だった。そこには、牙をむく捕食者、土を掘って暮らす草食動物、巨大な両生類といった、今では想像もつかないような面々が暮らしていた。
この研究は『Journal of Vertebrate Paleontology』に掲載された。
地球史上最大の大量絶滅(P-T境界)
ペルム紀は、古生代の最後を飾る地質時代で、動物たちが海から陸へと進出し、森や谷にさまざまな生命がひしめいていた時代である。だが、この繁栄は突如として終わりを迎える。
ペルム紀末、今から約2億5200万年前に起こった「P-T境界」では、地球上の全生物種のおよそ90%〜95%が絶滅したとされている。
海洋では三葉虫やサンゴ、巻貝、腕足類といった多くの種が姿を消し、棘皮動物も大打撃を受けた。
陸上でも、当時繁栄していた単弓類(哺乳類の祖先にあたるグループ)を含む多くの脊椎動物がほぼ壊滅した。
この大絶滅は、古生代から中生代への劇的な転換点となった。
地球の生物はまるでリセットされたかのように姿を変え、その後、恐竜や哺乳類、被子植物といった新たな生命の形が生まれてくることになる。
この画像を大きなサイズで見るアフリカ南部で掘り起こされた絶滅直前の新たな化石
こうした歴史の空白を埋めようと、ワシントン大学とフィールド自然史博物館の研究者を中心としたチームは、アフリカ南部にある3つの堆積(たいせき)盆地(タンザニア南部のルフフ盆地、ザンビア東部のルアンガ盆地、南部のミッド・ザンベジ盆地)で大規模な化石調査を行ってきた。
現在ではそれぞれ独立した国に位置するこれらの地域だが、約2億5000万年前のペルム紀には、すべてが「パンゲア大陸」という一つの巨大な超大陸の一部だった。
パンゲア大陸とは、地球上のすべての大陸が合体して形成された超大陸で、古生代末から中生代初頭にかけて存在していた。
この画像を大きなサイズで見る調査は2007年から始まり、これまでに9回の現地遠征が行われた。
研究者たちは、乾燥した地を徒歩で移動しながら地層を掘り進め、村に滞在したり、時には野営したりしながら化石を収集した。ある夜には、テントの近くを象の群れが地響きを立てて通り過ぎるという出来事もあったという。
こうして集められた化石の保存状態は極めて良好であり、これまで南アフリカ・カルー盆地が担ってきたような絶滅前後の比較研究を、地理的に広い範囲で可能にする貴重な記録群となっている。
この画像を大きなサイズで見る大量絶滅前の豊かな生態系が明らかに
研究チームが明らかにした新たな動物たちは、まさに絶滅前夜の生態系の豊かさを物語っている。
たとえば「ディキノドン類(Dicynodonts)」は、クチバシ状の口と2本の小さな牙を持つ、爬虫類に近い草食動物で、地中を掘って生活していたと考えられている。
学名は属によって異なるが、代表的なものに「リストロサウルス(Lystrosaurus)」などがある。ペルム紀中期に登場し、大量絶滅の時期には陸上の主要な植物食動物として広く分布していた。
彼らはペルム紀の中期に登場し、やがて陸上の主要な植物食動物へと進化していった。
一方、「ゴルゴノプス類(Gorgonopsians)」は、鋭いサーベルのような牙を持つ肉食性の単弓類で、生態系の頂点捕食者として恐れられていた。まるで古代のサーベルタイガーのような姿だったと想像される。
さらに、「テムノスポンディルス科(Temnospondyls)」は、大型のサンショウウオに似た両生類で、水辺を好み、当時の湿地帯に生息していたとされる。
これらの生物たちは、パンゲア南部の大地に広がる原始的な森林、乾燥した谷、水辺などに適応しながら共存していた。
だが、その繁栄は、やがて地球規模の環境変動に飲み込まれ、姿を消していくことになる。
この画像を大きなサイズで見る世界を比較することで見えてくる「絶滅の境界線」
これまで、ペルム紀の大量絶滅に関する最大の化石記録は、南アフリカのカルー盆地に集中していた。しかし今回の研究によって、同様に詳細な記録がタンザニアやザンビアにも存在することが明らかになった。
実際、研究チームは2018年にこれらの地域の絶滅「後」の化石について包括的な分析を行っており、今回発表された一連の論文では、その時代をさらにさかのぼり、絶滅「前」の生態系に光を当てている。
地理的に異なる地域の化石記録を比較できることで、「どの種が生き残り、どの種が消えたのか」、そして「なぜそうなったのか」という問いに、より明確な答えを出すことが可能になる。
これは、進化の分岐点となった“地球の試練”を理解するための、大きな前進といえるだろう。













岐阜愛知県の境を流れる木曽川の
河原でまさにこの時代の地層が見られます。
が、化石は顕微鏡で見るような微小な
ものしかないようです。
マジかよ一宮市民だから行ってみようかな
あの時は大変だったなぁ、、、
小さな巣箱で虫を飼っていると、餌の調整をミスるとすぐ箱いっぱいまで増えて、その後食べるものがなくなって死滅する
結局生物はそこにあるリソースを最大限まで利用するし、利用し切ると一斉に死ぬしかなくなる
大量絶滅の原因として様々な説が考え出されるけど、数学的に当然の帰結としての絶滅があるんじゃないだろうか
数理生物のモデルでは、一定の環境収容力の中で複数の個体群が共存、安定して個体数を保つことを予測する場合があります。絶滅が当然の帰結と言うのは尚早かと思います。
地球という巣箱は結構大きいと思うが、、
地球的規模の大絶滅はなんらかの原因が
有ると思う。
スケールを地球規模にすると人間も例外ではないですよね
今はまだ最大限に向かっている最中でも、どこかで均衡するか縮小するかですね
古生代後期の陸上動物は同じ種がパンゲア大陸の各地に生息していた。ペルム紀末の酸素濃度低下はハビタブルゾーンが標高300m以下という事態を引き起こしたので、結果としてちょっとした小山が生息地を分断して種の分化を促したとか。
哺乳類型爬虫類ってなんかもうその名称だけで浪漫を感じる
6本足の昆虫って
いつ地球に来たの?