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恐竜時代、7300万年前の新種のサケの化石を発見、魚類の歴史を塗り替える

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(著)

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現在のサケ科 Photo by:iStock
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 アラスカ北部の白亜紀地層から、世界最古となるサケ科魚類の新種の化石が発見された。およそ7300万年前、恐竜が生息していた時代にあたる。

 この発見により、サケの進化の歴史は従来より2000万年さかのぼることが明らかになった。

 アラスカ大学フェアバンクス校を中心とする国際研究チームは、この魚を「シブルリウスアルモ・アラスケンシス(Sivulliusalmo alaskensis)」と命名し、サケ科の起源が北極圏にあった可能性を示している。

恐竜の時代、すでにサケの祖先が存在していた

 アラスカ北部のコルビル川沿いにあるプリンス・クリーク層で、新種のサケ科魚類の化石が発見された。

 プリンス・クリーク層は恐竜の化石でも知られ、白亜紀後期の北極圏の環境を知ることができる貴重な地層だ。

 当時のアラスカは現在よりも北極に近く、気候は比較的温暖だったが、季節による温度差や日照時間の変化は激しかったと考えられている。

 アラスカ大学ノース博物館の館長で論文の筆頭著者であるパトリック・ドルッケンミラー博士は、「この化石は、これまでに見つかった中で最も古いサケ科魚類です」と述べている。

 研究チームは、このサケ科に加えて2種のパイク(カワカマスの仲間)と、コイやフナの祖先にあたる魚類の新種も発見している。

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こちらは現代を生きる北海道のサケ科 Photo by:iStock

世界最古のサケ科の先祖、北から進化した

 今回発見された新種のサケ科「シブルリウス・アルモアラスケンシス(Sivullius almoalaskensis)」は、イヌピアット語とラテン語を合わせて「最初のサケ」を意味する。

 今回の発見により、サケ科の化石記録は従来より2000万年古くなる。

 これまで最古とされていたサケ科の化石は、カナダのブリティッシュコロンビア州やアメリカ・ワシントン州で見つかっていたものだった。

 アラスカ大学ノース博物館の魚類学者で、論文の共著者でもあるアンドレス・ロペス博士はこう語る。

サケ科は冷たい水を好む魚ですが、白亜紀の温暖な北極でも繁栄していたことがわかりました

当時も現在と同じように季節の変化が大きく、サケの祖先はそうした環境に適応して生き延びていたと考えられます

 ドルッケンミラー博士は、高緯度の北方地域こそが、サケ科の進化の始まりの場だった可能性があるとみている。

 今回の化石の存在は、サケの一族が北から進化したことを裏づける有力な証拠となった。

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コルビル川沿いでプリンス・クリーク層で発掘調査/ Image credit:UAF photo by Kevin May

ほんの小さな化石から新種のサケ科を特定

 プリンス・クリーク層には多くの魚の化石が含まれるが、ほとんどが非常に小さく、現地では肉眼で見分けることが難しい。

 研究チームは現場から砂や小石を持ち帰り、アラスカ大学ノース博物館の研究室で顕微鏡を使い、骨や歯の化石を慎重に探し出した。

 今回の発見は、鉛筆についている消しゴムほどしかない、化石化した下あごの骨を探し当てたことにある。

 その小さな化石を、オンタリオ州のウェスタン大学とコロラド大学ボルダー校の研究者がマイクロCTスキャンを使って内部構造を三次元的に再構築した。

 その結果、サケ科特有のアゴの形状や歯の特徴が確認されたのだ。

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アラスカの白亜紀後期の地層から見つかった新種のサケ科魚類「シブルリウス・アルモアラスケンシス(Sivulliusalmo alaskensis)」の下あご(上)を、現生のニジマス(Oncorhynchus mykiss)とキタカワヒメマス(Thymallus arcticus)の下あご(下)と比較したもの。 / Image credit:Papers in Palaeontology

恐竜時代、北極圏に広がっていた豊かな生態系

 プリンス・クリーク層は、恐竜や鳥類、哺乳類などの化石も多数発見されており、白亜紀の北極圏における生態系を復元するうえで重要な資料とされている。

 ドルッケンミラー博士は「小さな脊椎動物の化石は見過ごされがちですが、彼らを理解しないと当時の生態系を正しく描けません」と語る。

 今回のサケ科化石の発見は、恐竜時代の北極圏に多様な生物が生息していたことを示す証拠でもある。

 約7300万年前、サケの祖先は恐竜と同じ水辺を泳いでいたのかもしれない。

この研究成果は『Papers in Palaeontology』誌(2025年5月7日付)に発表された。

追記(2025/10/29)新種のサケの学名を「シブルリウス・アルモ・アラスケンシス(Sivulliu salmo alaskensis)」 から「シブルリウス・アルモアラスケンシス(Sivulliusalmo alaskensis)」に訂正して再送します。

References: Onlinelibrary.wiley.com / “First Salmon”: 73-Million-Year-Old Fossil Rewrites Fish History

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1.  すごい発見! 次はイクラの化石を! ってのは脇に置いといて、回遊というのかな、淡水の川から下って海で成長してまた川に帰るってのは当時から持っていた性質なのかなとかその辺もどういう進化の過程でそうなったのか知りたいです。 サケって今の魚の中では割と大きいほうだと個人的には思っているのですが、当時の魚の中での大きさの比率の位置なんかも体系立てて知らないもんだから疑問に思ってしまいます。 いろいろな発見、面白いですね

    • +6
  2. むしろサケ科のアゴってわかった人がスゲーわ。

    • +10
    1. タイムトラベルしてその時代の海の幸を食べてみたいという思い、私もあります。

      • +3
  3. 魚類学って、ほんの小さいものから始まり街中の魚屋の店先まで
    やたら視野を広げないと成り立たない奥深い学問だ
    下手すると朝食に出てくる焼き魚や煮干しの中にも新種がいる
    可能性が十分あるからな

    • +6
  4. サケは軟骨魚類だから、化石に残りにくいのかな、、

    • -5
  5. たぶんSivulliusとalmoで区切らないと思う
    Sivulliusalmoで一語にしないと二名法から外れちゃう
    salmoがラテン語でサケなのでシブリウサルモ・アラスケンシスとかになるんじゃないかな

    • +5
  6. 日本の北海道で2m超えのイトウが捕獲された例があったりアイヌ伝説でクマを飲み込み喉に詰まって窒息したイトウがいたとかの伝説もあるので、イトウだけでも2~3mかそれ以上の大きさの個体がいたと推測されているけど太古のサケってどのくらいの大きさがあったのだろうかと夢想させられる

    • +4
    1. 金カムのアレじゃん

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