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3000年の眠りからよみがえる、イタリアの湖に沈んだ村

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(著)

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湖に沈んでいた村の痕跡を発見 / Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube
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 イタリア中部の静かな湖の底に、3000年前の村が眠っていた。

 かつて火山のふもとで暮らした人々は、湖近くに家を建て、青銅の道具を作って日々の暮らしを営んでいたが、村は湖に飲み込まれ、人々の記憶から消え去っていた。

 イタリア文化省の水中考古学者たちがメッツァーノ湖に潜り、泥に埋もれた木柱や遺物をひとつずつ掘り起こしたことで、失われた高床式の村の姿が少しずつ浮かび上がってきた。

湖底に眠っていた高床式の村

 イタリア・ラツィオ州北部には、火山の噴火でできた小さな湖「メッツァーノ湖」がある。

 イタリア文化省ラツィオ州考古学・美術・景観監督局の水中考古学部門に所属するダイバーたちは、この湖に潜り、水面下の調査を行った。

 吸引ホースを使って粘土質の堆積物を少しずつ取り除いていくと、湖底の泥の中から、かつて高床式の家々を支えていた木の柱が次々と姿を現した。その数は600本を超えていた。

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Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube

 中には、長い年月のあいだに上から石や土に覆われていながら、先端が現在の湖岸に近い高さまで伸びていた柱もあった。

 ダイバーたちはこれらの木柱の位置をもとに、村の構造を地図に描き出していった。これまでの作業で、集落全体の約3分の1が記録されている。

 木柱の深さは2.5mから10mに及び、村が存在したおよそ600年間のあいだに、湖底の地形や水位が変化していたことを示している。

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Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube

青銅の道具と火災の痕跡

 湖底の粘土の中からは、25点を超える青銅の道具が見つかった。斧や槍の穂先、ブローチ、指輪、留め針、鎌などがあり、どれも3000年前のものとは思えないほど形がくっきり残っている。

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Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube

 さらに、青銅を溶かして道具を作るときに使う鋳塊(インゴット)も発見されたことから、この村には金属を加工する工房があったと考えられている。

 見つかった青銅器のいくつかには、火に焼かれたような痕が残っていた。

 専門家は、建物の火事で焼け落ちた道具が湖に沈んだか、あるいは火災のあとに使えなくなって放置された可能性があるとみている。

 ただし、 この火災が火山の噴火によるものなのか、村で起きた火事だったのかは、まだわかっていない。

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Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube
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Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube

火山湖に閉じ込められた村の記憶

 粘土と水に包まれた湖底は、まるで村を丸ごとタイムカプセルに閉じ込めたかのようだった。

 発掘の最中、溶岩石のすき間から青銅製品が見つかることもあり、古代に地滑りが起きていた可能性も示されている。

 この村は、紀元前1700年から1150年ごろに栄えた青銅器時代の集落だった。火山の噴火でできた湖の上に高床式の家々を建て、人々は湖とともに暮らしていた。

 やがて村は水に沈み、約3000年のあいだ眠り続けた。湖の粘土が村を包み込み、道具や木の柱を今もほとんどそのままの形で残している。

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Image credit:SABAP provincia Viterbo ed Etruria Meridionale Youtube

湖の底で語られる古代の暮らし

 研究チームは今後も発掘と記録を続け、村の正確な位置や構造、そして当時の人々の暮らしをより深く理解しようとしている。

 調査の様子を映した映像はYouTubeで公開されており、湖底で作業を進めるダイバーたちの姿や、発掘された遺物の様子を見ることができる。

 3000年の時を経て、湖の底からよみがえった村。木柱も青銅の道具も、水に沈んだまま時を刻み、遠い昔に生きた人々の息づかいを今に伝えている。

 この研究は、イタリア文化省ラツィオ州「考古学・美術・景観監督局(Superintendence of Archaeology, Fine Arts, and Landscape)」によって報告された。

References: Cultura.gov.it / Archaeologists Mapped a Lost Village That’s Been Hidden Beneath a Lake for 3,000 Years

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. 琵琶湖の湖底にも遺跡が沢山眠ってるよ。

    • +11
  2. ローマより前ですよ
    ローマ建国は紀元前750年ぐらい
    この遺跡はエトルリアよりもさらに前ですね
    湖だったからその後の文明が同じところに街を作らずに残った貴重な遺跡だ

    • +19
  3. 日本も弥生時代はこんな感じのデザインセンスだった。
    国が違っても似通る文化や進化の共通点おもしろいな。

    • +16
  4. 日本の場合は、大陸棚にこの手の集落がありそうな気がするけどなあ。
    ずっと前に、福岡県の沖ノ島の海底に円柱が見つかったが、確か「場所が分からくなった」というすごい理由で調査は打ち切られたんだよな。
    おそらくそれは方便で、禁忌の島だから調査をさせない、ということなんだろうけど。

    • +14
  5. 奴はとんでもないものを盗んでいきました…

    • -2
    1. 「私の心です」
      「ウフフ捕まえてごらんなさ~い(ハァト)」
      「待てぇ(ハァト)」
      キャッキャウフフ(ハァト)

      • 評価
  6. 安全ピンは古代ミケーネ文明で発明されたというけれども、この湖のは現代のものとほぼ同じ形をしている。文化的交流がうかがわれて興味深い。

    • +7
  7.  考えて見るとヨーロッパってイタリア以外ほとんど火山ないのね。 フランスにピュイ・ド・ドームとその付近に火山があるようだけど、火山関連の情報あんまりなくて活発な活動期には人はその辺にいなかった? ヨーロッパの火山ネタってほとんどイタリアってあたりが古くから文字で残せる人たちが住んでいたからなのかなとかね。 とても興味深い記事でした

    • +1
    1. ギリシャにもありますよ
      リゾートで有名なサントリーニ島は先史時代の遺跡があるけど島の火山爆発で全滅したらしい

      • +3
    2. イタリアよりもアイスランド。たまに噴火してヨーロッパ便の航路変えられる。
      そもそも火山は基本プレートの縁に出来るものだから地中海沿岸、スペインにもある。

      • +6
    3. そりゃあ初めてのCMソングが火山観光の登山列車だもの
      ♪行こう 行こう 火の山へ
       行こう 行こう 火の山へ~

      • +1
    1. 空気にさらされた途端に錆びたり急激に劣化しそうだから、やるなら相応の下準備が必要。
      水中遺跡は低温無酸素のお陰で形を保っているものが多いからね。実際に水が引いてしまって保存に問題が出ている遺構や、崩れてしまった土器、鉄器などの話を聞いたことがある。

      • +6
  8. 湖の中に柱を立てて湖の上に住んでたってこと?
    昔の人はすごいことするなあ

    • +2
  9. こんな大規模浸水が起きてしまう災害があるなら
    ノアの大洪水みたいな伝説が伝聞されるのもうなづける

    • +1

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