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【特集】追跡!「こんなに効率よく増やすことができるとは…」復活作戦で1羽から300羽?!中央アルプス・ライチョウ調査の舞台ウラ【長野】

2025年11月26日 19:00
 【特集】追跡!「こんなに効率よく増やすことができるとは…」復活作戦で1羽から300羽?!中央アルプス・ライチョウ調査の舞台ウラ【長野】

復活作戦で数が増えた中央アルプスのライチョウ。絶滅危惧、レッドリストのランクダウンを見据え生息数の追跡調査が続いています。

ハイマツの海に、雷鳥を探します。

信州大学名誉教授中村浩志さん「天気が悪い方がライチョウ良く出てきますからね。調査日和です」

急斜面に…「いたー。この下」

無線連絡が飛び込む…「飛来雌見つけました」

散った羽…天敵による捕食跡。厳しい自然の掟。カメラが見たのは…

中央アルプス標高約2900mは強い風と雨。

空から天敵が襲ってこないこんな日は、ライチョウが姿を見せる「調査日和」。

調査を率いる信州大学名誉教授、中村浩志さん78歳に雨風を気にする素振りはなく…

「(足環が)黄色赤赤赤。他にも1匹いるね」ライチョウ鳴き声「グエー翌週も、「調査日和」。

「いたー、この下」急斜面を下る中村さん。

ライチョウを追って年間100日前後、山に入る78才にカメラはついていくのがやっと。

調査は雪が来る11月中旬まで毎週、続きました。

1969年の目撃を最後にライチョウが絶えた中央アルプス。

2018年、1羽の雌の発見で環境省が復活事業に乗り出します。

乗鞍岳から19羽を運んで自然繁殖に成功。

野生のヒナを一か月、ヒトが付きっ切りで守るといった積極策で数を増やしました。

生息数を追跡する調査は復活事業を指揮してきた中村さんの研究所が担っています。

ライチョウを探し出しては、これまで1羽、1羽に付けてきた足環を確認。

付いていないライチョウはほぼ、今年生まれた「新顔」です。

見つけると…特製の道具で素早く捕獲。

洗濯ネット入れて体重測定。

左右に2個ずつ、足環をつけます。

4つの色の組み合わせが生まれた年や場所の記録になります。

足環を付け終わった中村さん「はい放鳥します」

夏以降、足環を付けたのが124。見つけたものの作業できなかったのが25。春に確認した成鳥190と合わせると中央アルプス全体で300羽に達したと推定されます。

中央アルプスは雷鳥に会える山へと変わりました。

登山者「…4、5、6、7、8、9、10くらい。こんなにライチョウ見られたの初めて」

ただ、全部が生きのびられるわけではなく…

「キツネっぽいなあ」

散らばった羽が天敵に襲われたことを物語ります。

別の調査地点から連絡が飛び込んできました。

環境省職員「飛来雌見つけました」中村さん「ほんと?ヒナ連れてる?」環境省職員「連れてます」中村さん「良かった…飛来雌」

飛来雌(ひらいめす)とは2018年に見つかったあの1羽です。乗鞍岳北アルプス方面から「飛来」したのが呼称の由来です。

中村さん「僕より年上だよ。もう、すでに。ふふふ」

いました…飛来雌です。ライチョウとして異例の長寿。中村さん「今年までに(5年間で)7羽育てた。17羽が中ア全体に分散して子供つくってますから、飛来雌の子孫本当に多数」

飛来雌に付けた足環は赤4個。子供数を正確に把握できるのも調査成果のひとつです。

親離れ直前のヒナ2羽は体も大きく冬の保護色、白い羽が目立ちます。

足環はまだ、でした。

風雨が強まる中、飛来雌のひな2羽も捕獲し、体重測定をして足環を付けます。

飛来雌は、作業終わりを待っていたかのようにひなに寄り添いました。

夏の天気が良かった今年は沢山のヒナが育ったことも調査で裏付けられました。

1羽から300羽へ。

中村浩志さん「(復活事業で)こんなに効率よく増やすことができるとは思ってませんでしたね。早かった」

中央アルプスが安定した生息域と認定できれば、環境省は2029年にもライチョウのレッドリストを1ランク下げる見込みです。

調査は春に再開します。

最終更新日:2025年11月26日 19:00