「ラブブ」バブルの栄光と崩壊
この記事では「ラブブ人気失速、ポップマート株下落」というニュースの解説を行います。
ポップマートの株価は15日の香港市場で一時約9%急落し、4月以来の大幅な下げを記録した。JPモルガン・チェースは材料不足と魅力的ではないバリュエーションを理由に同社の株式投資判断を引き下げた。それでも、ポップマートの株価は年初来で180%超値上がりしており、依然としてハンセン指数のトップ銘柄だ。
このポップマートという企業は、「ラブブ」というIPによって急速に業績を伸ばしてきた会社です。では、なぜこの企業はここまで勢いを得ることができたのでしょう。そして今、なぜその勢いを失ってしまったのでしょうか。
本稿では、このニュースの背景にある、中国発のキャラクター「ラブブ」をめぐるバブル崩壊とも言える現象について解説します。ラブブはなぜ流行し、どのようにバブルを形成し、そしてなぜ弾けてしまったのか。その原因を探ります。
最初に、中国でのポップマートと「ラブブ」の熱狂を理解するため、業績をご紹介します。
不動産に匹敵するガチャ経済
ポップマートは2025年6月に発表した中間決算で、利益が46億元に達したと発表しました。

今年の上半期、ポップマートは主力とするガチャ製品(ブラインドボックス型商品)の販売で138.76億元を稼ぎ、前年同期比204%の伸びを達成しました

そして粗利(毛利)は97.61億元に達し、粗利率は70.34%。つまり、100元の商品のコストは30元程度にすぎないのです。
不動産企業と比較すれば、時代の変化がよく分かります。不動産業界は数千億元規模のビジネスをしても、最終的に残るのは数十億元です。

58.7億元の純利益は約45%の減少となる見込み
それに対しポップマートは、わずか百数十億元のビジネスで同じくらい稼ぐのです。いまや「マンションを売るより、ガチャを売った方が儲かる」時代が到来しています。
なぜポップマートはここまで業績を伸ばすことができたのでしょう。
本稿では、その要因を表面的な理由と背後にある理由に分けて解説します。まずは表面的な理由として、主力キャラクターであるラブブに注目します。
ラブブ人気の社会的背景
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