寝そべり族と「清朝末期2.0」:中国が直面する現実と認知の断層
今回の記事では、このニュースの解説を行います。
寝そべり族をめぐっては最近、自身のライフスタイルを記録することで知られる複数のブロガーから、動画の削除やアカウントの禁止が報告されていた
「寝そべり族(躺平)」とは2021年に生まれた流行語で、日本でいう「働いたら負け思想」の中国版です。この言葉は断続的に規制されてきた経緯がありますが、今では中国の誰もが知る当たり前の言葉です。
本稿では、なぜ今になって大規模な制限がされているのか、現状とその理由について考察します。
消された「寝そべり族」
今年の8月から9月にかけて、多くの寝そべり族系のアカウントが凍結されました。本稿では、その代表の一例として「小A在上网」を取り上げます。

この70.5万のフォロワーがいるインフルエンサーが投稿した動画は簡単に紹介できます。
「若者が働かずに街のネットカフェでゲームをし、次の日は別の街のネットカフェでゲームをする」

このインフルエンサーの動画は何の起伏もない日常の記録です。
夜に起き、十数元で食事を済ませ、ネットカフェで一晩中ゲームをし、少し配信を見て、夜が明けたらログアウトして、どこかで寝る。シナリオなし、演出なし。BGMは、ほぼありません。
しかし、そんな退屈な記録が数十万人のフォロワーを惹きつけたのです。コメント欄には「羨ましい」、「これこそ本当の生活」、「代弁者」などの言葉が並びました。
そして今年9月、各プラットフォームから彼の動画はすべて削除されました。

同時に多くのフォロワーを持つアカウントの投稿も相次いで一斉に削除されました。
いずれも何の思想的背景もなく、ただ淡々と人畜無害な日常を配信していたアカウントです。

このあたりで、多くの人はようやく気付き始めました。問題は動画の内容ではなく、彼らが体現していた「姿勢」そのものなのです。
中国において現代社会の人生のシナリオは完成しています。
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