なぜ料金表を公開しないクリエイターがいるのか?
はじめに
「クリエイターはみんな料金表を公開してほしい」
SNSでこんな意見を見かけました。依頼する側の「相場感がわからないと依頼しづらい」という気持ち、本当によくわかります。
でも、実際には料金表を公開していないクリエイターも多い。それには理由があるんです。
この記事では、クリエイター側の事情を共有した上で、どうアプローチすればお互いに気持ちよく進められるのかをお話しします。
ちなみに、ぼく自身は料金表を公開する選択を尊重していますし、有効な手段だと思っています。予算のミスマッチが減り、問い合わせのハードルも下がる。これは大きなメリットです。ただ、公開しない選択にも合理的な理由があることを、この記事で知っていただければ嬉しいです。
なぜ料金表を公開しないクリエイターがいるのか
ぼくを含め、料金表を公開していないクリエイターも少なくありません。クリエイティブの種類や業界で異なりますが、デザインやCG、映像、イラストの分野では、公開している方が少数派という印象です。
最大の理由は何か?それは、プロジェクトごとに考慮すべき要素が多すぎて、一律の料金設定ができないからです。
依頼を受けるかどうか、いくらで受けるか。この判断には、さまざまな要素が関わっています。
どんな内容で、どれくらい難しいか
制作スケジュールはどうか
誰からの依頼か(個人、中小企業、大企業)
どんなプロジェクトか(商業利用、収益性)
応援したいプロジェクトか
権利はどうなるか(クレジット、二次利用、媒体)
クリエイター自身が興味があるか
これらを総合判断すると、同じ「ロゴデザイン」や「動画制作」でも、適正価格はプロジェクトごとに大きく変わってしまいます。
ぼくの場合でも、無料(ボランティア)で協力するプロジェクトもあれば、数百万円で引き受ける仕事もあります。逆に「いくらもらってもやりたくない」というプロジェクトも存在します。
これほど幅が広いと、料金表の提示がむしろ障害になります。興味があるプロジェクトで、安かったとしても引き受けたいのに高額が前提になってしまう。あるいは、難易度も高く、過酷なスケジュールなのに安く見積もられてしまう。こうしたミスマッチを避けるため、あえて料金表を公開しないのです。
料金表がないクリエイターにはどう依頼すればいい?
ここまで読んで、「じゃあ、どうやって依頼すればいいの?」と思われるかもしれません。「相場とかけ離れた金額を提示して失礼にならないか」「クリエイターを安く見ているように思われないか」「そもそもいくらが妥当なのか」こうした不安から、依頼を躊躇してしまう方も多いと思います。
料金表を公開していないクリエイターに仕事を依頼したい場合、以下のような流れをオススメします。
まず、プロジェクトの概要を丁寧に伝えましょう。内容、背景、目的、期限、納品物のイメージなど、できるだけ詳しく提供します。
次に、「こういった内容でお願いしたいのですが、概算でどのくらいの見積もりになりますでしょうか?」と聞いてみてください。
これなら、相場感がわからなくてもクリエイター側から適正価格を提示してもらえます。「安く見ている」という誤解も避けられますし、見積もり依頼は通常の商習慣なので負担でもありません。むしろ、プロジェクトの詳細を聞いた上で適切な価格を提案できるので、やりやすいのです。
もし見積もりが予算オーバーだった場合は、正直に伝えれば大丈夫です。「ご見積もりありがとうございます。今回は想定していた予算を超えてしまうため、見送らせていただきます。また予算が確保できた際には、ぜひご相談させてください!」このように丁寧に連絡すれば、まったく問題ありません。むしろ、こうした誠実なコミュニケーションが、将来的な良い関係につながります。
おわりに
「料金表がない = 依頼しにくい」「見積もり依頼 = 面倒をかける」そんな誤解が、本来生まれるはずだった素敵なプロジェクトを妨げているかもしれません。実際には、見積もり依頼は通常の商習慣ですし、クリエイター側もプロジェクトの詳細を聞いた上で適切な提案をしたいと考えています。むしろ、料金表を公開しないのであれば、クリエイター側は見積もり依頼にしっかり対応すべきかな?とも思います。
この記事が、クリエイターと依頼者の間にある見えない壁を少しでも低くし、素敵なプロジェクトが生まれるきっかけになれば嬉しいです。
それでは。
