3Dプリンターを持つと、世界はこんなふうに見え始める
お疲れ様です。りょぐ(@ryog_gadgets)です。
3Dプリンターに手を出してから数年と数ヶ月、結構いろんなものを作ってきたと思うんですが、ただモノを手に入れたという事実以上に学んだこと、考えが変わったことが結構あることに気づきました。
これから「3Dプリンター買ってみようかな」と界隈に足を突っ込む方が増えたら良いなと思っているので、今回は3Dプリンターを使ってみて学んだことを振り返って書いてみようと思いました。
1.前書き(飛ばしてもろて)
僕は、とある企業のフロントエンドエンジニア、いわゆるプログラムを書く人です。物理的なプロダクトを作る仕事ではありません。
元々、在宅ワークが始まって自宅の仕事環境をより良いものにしようとデスク界隈にヌルヌルのまれていった1人です。
その一環で、3Dプリンターが意外にも安く買えるということを発見し、導入に踏み切りました。
ただ、その時は「こんなものを作ろう、ここをこうしよう」みたいなアイデアは本当に1,2個くらいしかなく、3Dプリンターを手に入れたあとで様々なアイデアが浮かんでは印刷して、みたいな日常になりました。
何が言いたいかっていうと、別に何が作りたいからといった理由がなくても、導入する価値が3Dプリンターにはある、ということを伝えたかったんです。

2.モノを買う基準が変わったこと
で、本題の「学んだこと/変わったこと」の一つ目なんですが、まず変わったなと思うところはこれですね。
みなさん、たとえば家の戸棚の中がごっちゃごちゃし出したとき、何を考えますか?
おそらく、「戸棚に入る収納ケースを買いに行こう」と少なからず思うはずです。そして戸棚の寸法を調べてホームセンターに駆け込むことでしょう。
で、ついでにあれやらこれやらを買っていたら想定より多いお金が飛んでいきます。
さらに、大体「戸棚に入る収納ケースを買おう」と思うのは、別の用事でホームセンターや100均に寄ったときに思い出すんです。でも寸法調べてないから、大体で買うと入らなかったり、思ったより小さかったりします。
3Dプリンターを導入してから、家の課題を見つけたとき、
「こういうものを作れば解決しそうだな」と思うようになりました。
精密機器や特殊な素材でないと成立しないものに関してはその限りではありませんが、大体のことは3Dプリンターで解決したりします。
最終的に、購入におけるプロセスの一番最初に「これは3Dプリンターで解決するか?」という項目が追加されました。

3.世の中の製品は案外よく考えられていること
自分で設計して、印刷していざ使ってみようとすると、「ここが当たって痛い」だとか「ここの出っ張りが逆に使いづらい」と感じて設計し直す、みたいなことは日常茶飯事です。
それを考えると、やはり世の中に溢れている全てのプロダクトはよく考えられていると思います。
絶妙に角が丸められていたり、穴のサイズが大きすぎず小さすぎずだったりと、3Dプリンターを使い出したからこそ、世の中のプロダクトと設計者に対する尊敬の念が絶えません。
「デザインとは、どう見えるかではなく、どう機能するかである」
よく言ったものです。
グッドデザイン賞を受賞した製品を使っているとそれがより顕著です。普段だと見えなかった"デザイン"というものの解像度が上がった気がします。
4.値段には値段相応の価値があること
前項に続きますが、だからこそこの値段なのだな、と値段に納得することが増えました。
販売されているプロダクトのコストとは思っている以上にいろーんなものがかかっているのだなと身をもって知ることができます。
原材料費、人件費、加工費、電気代、このデザインになるまでの試作品の数々、アイデアに対する値段などなど、ほんまにめっちゃかかってると思うのですよ。
だから、世のプロダクトを見た時に、ただ原材料だけを見て高い/安いを判断するではなく、多角的な視点でプロダクトを見ることができるようになったなぁと自分で勝手に思ってます。
よくいるじゃないですか、「ラーメン一杯に2000円は高い」みたいな。
いや実際高い場合もあるんですけど、その味になるまでにどれだけの試行錯誤を重ねてきたかとか、仕込みにめちゃくちゃ時間がかかるとか、店内の雰囲気が良いとか、そういう作り手の努力が見えやすくなったといえばわかりやすいでしょうか。

5.なんか知らんけど"60mm"のものが結構多いこと
すごいざっくりしたことを書きます。
自分の手持ちのものを計測して、設計に落としこもうとしたとき、なんか60.0mmやそれに近い値を多く見る気がするので、これも基準として入れました。
車のカップホルダーに入れる灰皿、トラックボール、エスプレッソマシンのポルタフィルター、MagSafeアクセサリー、低温調理器、推し活で使う缶バッジ(正確には少し小さいですが)……身の回りの“円形の何か”って、気づくとこの60mm前後に集まってるんですよね。
実はこの60mm前後って、想像以上にいろんな業界で使われている“定番サイズ”らしく、手で持ちやすい、人が扱いやすい、棚に並べやすい、金型コストも安い……と、複数の条件をうまく満たす“おいしい寸法帯”なんだとか。
結果として、僕の設計でも自然とこの辺りを基準にすることが増えています。

6.iPhoneのRは異常だということ
最後に豆知識的なことを書きます。
以前、iPhoneのマグネット背面パネルを作った記事を書きました。
その際、参考にとApple公式のアクセサリーガイドライン資料を読んでいて気付いたことなんですが、iPhoneの四隅の角丸(R値)の記載がすんごいことになっていました。

つまり単純な半径ではなく複数の半径の違う弧で表現されているんですね。辺と曲線の繋ぎ目をより自然にするためだと想像するんですが、ここまでやる…?とAppleのデザインの素晴らしさに改めて気付いた点でした。
そしてこのRがiPhoneだけに留まらず、他の様々な製品やUIにも使われていること。これがApple製品なのだと言われている気がします。デザインが言葉を放っていると感じましたね。

7.まとめ
書いてみて、読み返して、なんか、かっこいい記事になっちゃった。
あと最後の方めっちゃ細かくなっちゃった。
まとめると、3Dプリンターを手に入れてよかったな、ということです。
かのトニースタークも言っていました。
「ジャービス、時には歩くより、まず走れだ」
吹き替え版ですが。
何を作るか考える前に、まず手に入れることが重要なこともあります。
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