【国会 6/5】 暗号資産と中央銀行|参政党・神谷宗幣
令和7年6月5日、
参政党の 神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
今回の質疑のポイントは以下の3点です。
トランプの暗号資産戦略を注視し、日本も突破口を
税制を見直して暗号資産投資へアクセルを
「政治と暗号資産」問題に備えて法整備を
動画はコチラから視聴できます。
https://www.youtube.com/live/9kkxTkIrKIw

トランプの暗号資産戦略を注視し、日本も突破口を
神谷議員は、
「資金決算に関する法律の一部を改正する法律案」
に関連し、
暗号資産をテーマに質問を行いました。
特にトランプ政権の暗号資産戦略を注視し、
日本も突破口を探すことを要望するとともに、
暗号資産に対する税制見直しの必要性を
訴えました。
冒頭では、暗号資産は
「マイニング」と呼ばれる手法で生み出され、
実体がない資産であり、価格変動が激しい
という特徴を説明。
「何事も経験だ」と
数年前に購入した暗号資産が、
約10倍の価値にまで膨れ上がったという
自身の経験を紹介し、
以下のように現状を整理しました。
暗号資産市場は世界で500兆円に達し、
日本の株式市場900兆円の
半分以上の規模となった。国内の口座数は1,200万件を超え、
国民の10人に1人が口座をもっている計算。取り扱われている暗号資産の種類は
5,000種類以上。アメリカがトランプ政権になってからは、
価格上昇が特に激しくなっている。
こうした状況をふまえ、
次のように質問を投げかけました。
「このアメリカを中心とした
暗号資産の値上がりはなぜ起こっていると
認識されているか?」
「トランプ政権が暗号資産を活用して
何をやろうとしているのかについての
日本政府の認識をお聞かせいただきたい」
金融庁の 油布 企画市場局長は
次のように答弁しました。
2024年11月の米大統領選挙前後から
ビットコインなど暗号資産の価格が急上昇し、
現在も高水準を維持、
2025年1月には大統領令が出され、
暗号資産やステーブルコインに関する規制の
検討を行う方針が示された
と認識を述べました。
「ステーブルコイン」とは、
価格の安定性を実現するように設計された暗号資産のこと。
裏付け資産がないため価格変動が激しく、決済手段としての活用が進んでいない暗号資産の普及を促し、実用性を高めるために設計された。
質問された
暗号資産の価格上昇の要因、
米国政府が暗号資産の戦略的意図については、
金融庁としての回答を避けました。
一方で、米国議会では
ステーブルコインに関する法案や
暗号資産の監督権限に関する法案が提出され、
制度整備が進められていることに
「動向をしっかりと注視してまいりたい」
と高い関心をもっている姿勢を示しました。

神谷議員は
金融庁の見解を得られなかったとはいえ、
「非常に注視しておく必要がある」
という認識で一致していることを確認。
そのうえで、
トランプ政権の暗号資産戦略について、
3つの側面から独自の分析を述べました。
1.中央デジタル通貨(CBDC)の禁止
FRBをデジタル資産規制の作業部会から除外。
財務省主導の新しい枠組みを確立。
FRBによるCBDCの開発を禁止。
という経緯から、
単なるデジタル金融技術の推進を超えた
FRBの影響力を削ぐ構造改革、
FRBの伝統的な金融政策運営の手法への挑戦
と捉えられる。
「中央デジタル通貨」(CBDC)とは、
中央銀行が自らの債務として発行する、円などの法定通貨建てのデジタル化された通貨。
「FRB」(連邦準備制度理事会)とは、
アメリカの中央銀行にあたる組織で、日本の日本銀行と同様の役割をもつ機関。
2.ステーブルコインの推進
トランプ政権が推進する
ドルペッグ型ステーブルコインは、
FRBの通貨発行権を間接的に弱める戦略
が感じられる。
FRBの量的緩和に依存せずに財政資金を調達する手法
として、この暗号資産を使って、
中央銀行の金融政策の独立性を相対化する狙い
があると捉えられる。
「ドルペッグ型」とは、
米ドルと価値が1:1の割合となるようにペッグ(レートを固定)された暗号資産。
3.戦略的ビットコイン準備金の設立
2025年3月に設立された
戦略的ビットコイン準備金は、
FRBが管理する従来の外貨準備とは異なる
独自の資産ポートフォリオの構築という、
金準備に代わる価値の保存手段を模索する実験
と捉えられる。
「ポートフォリオ」とは、
ひとまとめになっていて、中身を状況によって変更ができるもの。
金融系では、「色々な資産の組み合わせ」を指す。
これら3つのトランプ政権の暗号資産戦略は、
FRBの権限を段階的に縮小し、
大統領直轄の新たな金融インフラを構築する
試みであるという見方を紹介しました。
さらにアメリカの歴史に触れ、
アメリカは中央政府と地方銀行の覇権争い
が繰り返されてきて、
実際に地方銀行が廃止されたり、
政府紙幣の導入を試みた大統領が暗殺されたり
した過去から、
「政治や金融のルールチェンジを模索している
のではないか」
とトランプ大統領の戦略を評価しました。
こうした背景を念頭に、
6月3日の質疑で次のように提言したと説明。
「国債も積み上がっていて状況は厳しく、
日本も今の金融ルールを守るだけではなく、
日銀との関係の見直しも含めた
新たな枠組みを考えてもらいたい」
あらためて神谷議員は、
アメリカの戦略を参考にしながら、
日本も新たな金融資産をつくっていくために、
国民の金融資産を国内で活用していくために、
暗号資産の可能性を検討するよう求めました。

税制を見直して暗号資産投資へアクセルを
次に神谷議員は、
日本人の暗号資産への投資が進みにくい状況
に関して課税制度を取り上げ、
以下の事例を紹介しました。
知人から聞いた事例:
亡父が購入したビットコインは、
購入時500万円だったが
相続時には20億円に値上がりしていた。
その結果、
相続税が20億円にかかり約9.4億円、
譲渡所得税が19.95億円にかかり約11億円、
課税額は計20.4億円で
4,000万円の赤字に陥った。
これは事実上の二重課税であり、
このままでは暗号資産の市場ができたとしても
日本人が投資に踏み出せないと訴えました。
「税率を含めた税制改正
というものは議論されているのか、
現状をお聞かせ下さい」
堀本審議官は
暗号資産取引に関する課税について、
令和7年度与党税制改正大綱において
見直しが検討されていることを
次のように紹介しました。
1.
一定の暗号資産を、
広く国民の資産形成に資する金融商品として
業法の中で位置づけること。
「業法」とは、
業種ごとの基本的な事業要件を定める法律。
公共の福祉を保つ観点から事業の参入・退出や許認可制度といった形で、営業の自由に一定の制約をかける。
銀行法や放送法、建設業法などがある。
2.
投資家保護のための規制等の
必要な法整備を行うこと。
3.
取引等による取引内容の
税務当局への報告義務の整備をすること。
規制のあり方については、
2024年からの検証結果を
ディスカッション・ペーパーとして公表済み、
税制については、
所得税における申告分離課税の適否も含めて
検討していく方針であると説明しました。
神谷議員は、
暗号資産の流通と総量が急増するなかで
法律が追いついていない状況や
リスクがあることへ理解を示しつつ、
「アクセルを踏むのであれば、
税制も含めてしっかり検討いただきたい」
と便宜性向上や利用者保護の必要性を
強調しました。

「政治と暗号資産」問題に備えて法整備を
質疑の最後に神谷議員は、
暗号資産が政治献金として利用される可能性
についても指摘しました。
政治資金は非課税で政治家の利益が大きい。
しかし、暗号資産は「資産」であり、
現金同様に収支報告書に記載すべき対象。
「知りませんでした」「現金ではないので」
と言い逃れを防ぐためにも、
政治資金規正法に「暗号資産」の明記が必要。
そう主張し、
「政治とカネ」の問題として、
「政治と暗号資産」の問題が
将来的に議論されかねないと懸念。
早急な法整備を要望し、
神谷議員は質疑を締めくくりました。
詳細は動画をご視聴下さい。
