ソフトウェアエンジニアを辞めてYouTuberとして独立します
タイトル通り、この度ソフトウェアエンジニアとして勤めていた企業を退職しまして、YouTuberとして独立します!実際のところYouTubeの稼ぎだけでは全然食べて行けないので、それ以外にも色々やっていくのですが、あらゆる活動の主軸となるのでYouTuberと名乗っていこうと思います。
運営しているのはこちらのAIでサボろうチャンネルで、開始から9ヶ月経った現在、登録者数は3.3万人!AIというホットな話題に乗っかってるからではありますが、かなり速いペースで成長できています。

AIの活用方法を非エンジニアをターゲットに(たまに若干開発に近い内容も混ざってますが)分かりやすく発信しているので、ご興味ある方は覗いてみてください。
チャンネルの成長速度は速くはあるのですが、なんだかんだ独立を考え始めてからすでに一年が経ちまして、ようやく始めることができました。
という訳で、この記事では独立を考え始めたきっかけや、YouTubeを始めたきっかけ、今後やっていきたいことを語っていきます。
ちなみに、この記事では私のキャリア的な側面のみについて語りますが、具体の技術や制作プロセス寄りな話は明日のQiita Conferenceにて話します。11/6(木) 17:35〜からです。オンライン開催なのでぜひお気軽に見にきてください!
なぜYouTuberとして独立するのか
これは独立したいという気持ちと、YouTubeを成功させたい、より具体的に言うと「人生で一回は銀盾を取ってみたいな〜」という気持ちがあったためです。
独立を考え始めたきっかけは「ソフトウェアエンジニアとして正社員で働く or 業務委託で働く」という選択肢しか持てていないと、自分の特性上、将来選べる働き方の選択肢が先細っていってストレスがすごくなりそうな予感がしたからです。
こう考えるきっかけになったのは、ご想像ついているかもしれませんがAIです。独立しようと決めたのは昨2024年の11月なのですが、その頃には既にCursorがある程度浸透していたり、Clineが登場してガンガン開発していくコーディングエージェントが話題になっていました。
今後数年で、一気に仕事がなくなるまではなくとも、これまでのソフトウェアエンジニアの働き方からはかなり違った動きが求められるようになってくるだろうと感じざるを得ませんでした。
大雑把に言うと、AIが作業部分を代替してくれるようになるため、仕様をしっかり書くことや、品質保証、AIが働きやすい環境を整える(ドキュメント、lint、テスト)ことなどへの比重が高まってきます。
そのため、今後は中途半端なプロダクトへの意識、技術力では活躍できる環境が少なくなっていき、強くプロダクト志向で働けるか、ものすごい一点突破の技術を持って独自の価値を提供できるか、他にもAIによって開かれた新しいルートもあるかもしれませんが、大きくはそのあたりの二つのルートで活躍していく必要があるんだろうなと感じました。
別に上記は今までもそうだったかもしれませんが、最低限として求められる強度が上がっていく & 組織として必要な頭数が減るイメージです。
というのを考えたときに、まず技術力尖らせるルートについてですが、正直私は何かの技術を極めたいという欲求はそんなに持っていません。 開発自体や技術を極めることを楽しむというよりは、今回の独立の軸となったYouTubeのように面白いメディアや企画を打ち出す方に楽しみを覚えます。
というわけで、このルートは考えないこととする。
続いてプロダクト志向で頑張るルートですが、今後数十年をそのルートでソフトウェアエンジニアとして働いていくことを想像した時に「自分でビジネス作りたいな〜」という気持ちが芽生えてきました。
と表現すると、ポジティブに聞こえるかもしれませんが、どちらかというと漠然とした不安でした。より具体的に言い換えると「誰かが作った会社、もっと広く言うと他の人が決めた目的に協力する形の働き方しか選択肢を持てていないこと」への不安です。
組織の中で働く上では、当然のことながらその会社が目指すビジョンなり育ててきた事業の方向性に合わせて働きます。もちろん私のWillなどもある程度は汲み取っていただける訳ですが、大枠(ビジョンや事業)を変えることは基本できません。
そして、私はおそらく平均より他の人の目的に自分を合わせるのが苦手です。別にコミュニケーション面ではそこまで社会不適合でもないと思うのですが、ちょっと自分のこうしたい!とズレた時に、ちゃんと組織に働きかける胆力がないというか。
なので、半ば組織の一員として働くことへの逃げとか諦めみたいな気持ちがあったりします。
そんな背景から、私は今までサラリーマンとしてしか働いた経験がなく、ビジネスへのコミットメントがより求められるようになってくるであろう未来、「他の人が立てた目的に自分を合わせる」という働き方しか選べない状態だと、選択肢が狭まり辛い状況が発生しそうだ、そんな不安を抱きました。
であれば、もちろんリスクや責任は全部自分で負うことにはなりますが、独立して自分がやりたいと思ったことを元にやることを決めて働いていく方が、そういった選択肢を持てるようになる方が自分は幸せになれそうです。
今まで10年間働いてきて、組織で色んな人と一緒に働く楽しみももちろん感じてはきたのですが、ちょっとAIでドンドン世界の状態が変わっていく今、独立という働き方を一回挑戦してみるかと決めました。
なぜYouTubeを始めたか
次に、独立を決めた後では何をやっていくかというのを考え始めました。
そこでやると決めたのがYouTubeです。
ものすごく正直に言うと、すごい深い思考があったわけではなく、冒頭に言った「人生で一度は銀盾を取りたい」と思っていたのと、「とりあえずSNSを伸ばしておけば、あらゆるもののマーケに活躍しそう」という想定で始めました。
たまにスタートアップドラマで見かける「MAU伸ばせば後からなんとかなる」的な思考と同じだと思います、今なら気持ちが分かります。
この頃は先々のマネタイズとか一切考えていなくて、率直に言うとアホでした。ただ、YouTubeがかなり順調に伸びている現状の結果論としては、伸びてなかったらあり得なかったようなチャンスがやってくるのであながち間違いでもなかったのかなと思います。
ただ、AI活用という先々のビジネスに繋がる題材にしていたのは怪我の功名でした。猫の雑学を教えるチャンネルとかも検討してたので、AI活用に切り替えてマジで良かったと思います。

テーマをAI活用にしたのは、まず自分がこの3年ほどはLLMを使ったプロダクト開発に従事していて、それなりに知見を持っているので、それを活かそうと思ったのが1点。あとシンプルに今世間的に一番ホットな話題というのもありますね。
そして、純粋にAI活用を広めたいという気持ちもありました。弊チャンネルでは「自動化の民主化」を掲げているのですが、背景にはAIが登場して以来、身近でもPdMやマーケの方がどんどん自動化をするようになって感動したという経験があります。なので、ちゃんと想いを持てるテーマとしても良いだろうと感じました。
また、一応軽い市場調査はしまして、既にAI活用について情報発信をされている方々のチャンネルを見て、カテゴリー的に大体登録者2-30万人くらいは目指せそう、という規模感が掴めたのと、先達の方々は新しいAIのニュースのみを取り扱うことが多く、基礎をしっかり伝えることをやっていくことで差別化ができるのでは?と考えました。
この「基礎をしっかり伝えることをやっていくことで差別化ができるのでは?」という仮説については、結論おそらく合ってるというか、今私のチャンネルのコアなファンになってくださっている方々は、この側面に価値を感じてくださっていると思います。
ですが、色々葛藤もあったというか、今でも「伸びる企画と伝えたい企画の乖離」のようなテーマは悩んでいます。より詳しいチャンネル運営初期での悩み・辛みなどは下記記事をご覧ください。
そんな感じで1月末にYouTubeを始めたのですが、最初は微塵も見られなくて本当に地獄だったのですが、なんやかんや伸びてきまして、6月末には登録者一万人を突破しました。そして、実際にチャンネル経由でお仕事の話もいただけるようになり、「最悪どうにか生きていけるやろ」という自信が湧いてきたので7月に退職を決めました。
今後やっていきたいこと
大分端折りはしましたが、以上が私がYouTuberとして独立するに至った背景です。最後に今後やっていきたいことを語って締めようと思います。
したいことはいろいろありまして、とりあえず来年中にチャンネル登録10万人を達成して銀盾を取りたいというのが1個あります。
それ以外にも3つぐらい大カテゴリがあるので語っていきますと
メディアの多角化
今、私はメインに活動しているのはYouTubeの動画メディアしかありません。ですが、AI時代はコンテンツの原石を磨けば、様々な形に展開することができます。

記事、書籍、ポッドキャスト、ライブ配信、様々な形へ情報を編集して、もっとファンの方々、AIを使うことで恩恵が受けられる方々に、効率的という機能性も提供しつつ楽しさもある体験を提供していきたいです。
特にやりたいのがライブ配信で、今のAIでサボろうチャンネルでは動画しか出していないのですが、このサボルちゃんというキャラクターがニュースを解説しつつ、ユーザーからのコメントにも反応する、そんなインタラクティブな体験を作っていきたいと考えています。あとLive2Dとかでもっとしっかり動くようにしたいですね。

ただ、直近では記事や書籍などのテキストメディアをしっかり伸ばしていけるよう注力していきます。
AIを使ったメディア運用の自動化支援
これは明日のQiita Conferenceの登壇でも具体的に話していくのですが、私は動画制作のプロセスの多くの部分をAIとプログラミングで自動化しています。
この動画や音声の編集を自動化するというのは結構ユニークなスキルセットで、この分野の自動化を生業としている人は0ではないにせよそこまでいない印象です。また、この大コンテンツ制作時代、求めている人も多くいるだろうということで、受託で個別カスタマイズの自動化を作ったり、もうちょっと汎用的な形でツールの提供などをしていきたいなと考えています。
ただ、こちらは順番としては上記のメディアの多角化をある程度進めた後でやっていく予定です。
これはもうつい3日前まで悩んでいたのですが、正直売上を立たせるなら、おそらくこちらのサービスをしっかり用意して営業・マーケを頑張った方が良いでしょう。
なのですが、まず前提として、私がマルチタスク苦手 & キャパ的に同時並行は難しそうという現実があり、また、気持ち的な話として、このメディア自動化事業もやっていきたいのですが、どちらかというと今は自分のメディアを伸ばす方がワクワクしているし、既存のファンの方々により喜んでもらえるのでモチベーションが高くなっています。
ちょっと自分の仕事の遅さが歯がゆいですが、 こういった仕事の順番とかを組み立てていくのは結構シミュレーションRPGっぽくて、新しい仕事の楽しさを感じているなという感覚もあります。
また、こういう悩みがあると私もいつか組織を自分で作りたくなる日が来るのかな〜とか最近ぼんやり考えていました。
あとめっちゃ赤裸々な話をすると…今年YouTubeを始めてからほとんど休んでないので休みたい!
今この記事を書いている週が正にピークでして、この記事でも告知しているQiita Conferenceを含め様々な締め切りが…。
なので、少なくとも年内は自分の好きな、動画を作るであったり、記事を書いたりするだけで過ごそうかなと考えています。
ただ、無料相談的なものは今もいたしますので、もし動画編集などの自動化にご興味ある方がいらっしゃれば、「それだったらこの範囲はこんな感じで自動化できると思いますよ。ちょっと自分で無理そう or 他に引き受けられる人がいなさそうだったら来年またお話しさせてくださいね〜」という話の流れになるのでよければ、下記フォームよりお問い合わせください。
札幌で地域貢献
私はつい最近、北海道は札幌に引っ越してきました。
そこで、謎のこの地域社会に貢献したいという気持ちが湧いてきています。
東京いた時は何も感じなかったのに。
具体案は特に何もないのですが、YouTubeの活動を絡めて安直に思いつくつのは、生成AIの効率化を広める勉強会を開くとか、そういった形でしょうか。最初は飲み会とかからで良いのでコミュニティ作っていきたいですね。
何はともあれ、そもそもこの札幌という地域にいる方々と知り合っていかなければ何も始まらないので、北海道にお住まいの方で、お話してもいいよ!という方は、XなどでDMいただけると大変嬉しいです。
人生で初めての独立、サラリーマン以外での働き方というところで、もちろん不安も結構いろいろあるんですが、さっき言ってたような自分で大きな方向性からバンバン決められる楽しさは既に感じています。
この記事を通してAIでサボろうチャンネルを知ってくださった方、そしていつも見てくださっている方々、 今後も質の高い、そして楽しい情報発信をしていくので、AI活用に関心のある全ての方はぜひご期待ください。
それでは!
