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理系職で学んだエンタメ業界がブラックすぎる理由を書かせてほしい

最近、人に会うたびに言うてるネタとして
「理系は意外とホワイトだぞ」
と連呼してます。

なぜ理系が意外とホワイトかというと…独断専行できない職種だからです。

文系のお仕事と違うところとして、
「少しでも危険が伴う仕事は、国や大手企業の許可が必要。」
許可を出す国や大手企業が危険な働き方全般を嫌がる。そのため、中小企業に勤める場合でも、ホワイトな労働衛生に努めるように求められる。」
という基本があるのです。

そのため、「こき使われる」なんてイメージとは裏腹に
緩めの納期にしておいたから、定時基本でやってね。(キツキツ納期だと、色んな負担がこっちにも来るし、危ないから定時で納まるようにしような)」
ちゃんと休憩を取って元気に仕事するんやで(労災を国やマスコミに嗅ぎつけられて、叩かれたらそっちのほうがヤバいんだよなぁ…)」
という親切設計になっています。

そのため、「肉体労働だけど、ルール自体はホワイト企業のそれ」という職場が多いのが理系のお仕事です。
(逆にブラックだったら、大手企業や国の信頼に関わるから、綱渡りになっちゃうのです…)

…ただし、相手が基本的に国や大手企業。なので、
「関係が悪くならないように、しっかりコミュニケーションを取ってね」
「ルールを守っていたとしても、大きな損害やコミュニケーションエラーは許さないよ」
という難しさもあります。
(ここに慣れられるか、わかってることが伝わるかが最初の難関)

一方のエンタメ業界は「お前らの労働環境なんか知るか!とにかく俺達が納得するものを作るまで死ぬ気で働け!」だから、ブラック労働が消えない。

それこそ、製造業・ケミカル・建設などの理系の大企業はだいたい老舗です。
分野によっては、「施設も元請けも下請けも戦前からのキャリアがある」という業種だってあるでしょうね。

野蛮な時代の教訓から規制が敷かれ、
「規制に則った安全な仕事をしよう」
というスタンスを取っているのです。

この教訓がないのが、エンタメ業界です。
エンタメ業界は規制しようとするとファンと業者がヒステリーを起こして暴れ狂うため…テレビも、マンガも、アニメも、YouTubeもブラック労働だらけの地獄と化しています。
(ゲームは業界自体が秘密主義過ぎてあまり情報がないけど…ホワイトなイメージもないんだよなぁ…。)

カバーも上場企業ですし?
アニメだって、納品するのはテレビやNetflixなどの大手企業のはず。
ところが、大手企業が【ちゃんと定時を守ってね。労災は起こさないでね】と言わないから、ドス黒ブラックと化してます。

「エンタメはボツがたくさんできるから、時間通りじゃいいものができないんだ」
まるで理系でボツが出ないような言い草ですね😇

理系の現場仕事なんて、トラブルだらけですよ?
外仕事なら天候で日程がずれ込むこともたくさんありますし?
天候のトラブルがなくても、連絡違いなどの他セクションのミスから(専門性の高い、設備が必要な成果物を)作り直しすることだってありますよ?

命かけて仕事してる以上、一般人なら「そのぐらいのことで」と思うことでも仕事が中止になることはごまんとあります。
それでも「定時を守るやりくりをしてね/安全第一でお願いしますよ」でやってるのです。

だから、エンタメ業界を取り仕切る大手企業全般に
「何甘えたこと言ってんの?」
一緒に働く人も幸せにできねぇやつが、お客様を幸せにできるとホンキで思ってる?ならお前たちこそ大バカだ
と理系に入ってから思うようになりました。

そういえば、最近管理職になった東大法学部卒の人が
「ホワイト企業は時間内にかっちりやらないといけないから企業にブラックな部分は必要」
みたいなこと言ってたけど…オフィスで働いていると人の痛みとかわからなくなるんですかね?

…理系や物流など「労災が命に関わる分野」なら絶対ありえない認識です。命に関わる労災がないと、業界単位での規制が入らない分だけブラック労働が撲滅できないのかな?
地位の高い人でさえこんな感じなの、文系でオフィスに居る人の方が実はブラックな仕事に当たるリスクが高いんじゃないですかね…??

理系職で感じた「規格化と講習は大事」を文系職に持ち込みてぇ…

理系の仕事は
「ほとんどの仕事は資格取得・講習を受けてないとできない」
という性質を持ってます。

そのため、仕事の進め方は規格化されていて、まともな企業同士ならばどこに行っても共通するルールが存在します。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000075092.pdf

一例として「KY(危険予測)」みたいなやつがありますね。
これは人がケガするような事故が起こる現場なら、どこの職場でもやられてる安全教育の基本です。
予測できる危険をあらかじめ書いて、ゆるい職場なら掲げるだけ。
熱心な職場なら毎朝みんなで復唱しあって「今日も安全作業でお願いします」とやってます。

ところが…エンタメ業界の場合そうでもないんですね。

理系の世界なら
「仕事に関わる書類は濃淡こそ職場によって違えど、ある程度統一しろよ」
「書かないと法律的にヤバい書類がいくつか存在するから、絶対にあるんだよ」
というものが…エンタメや文系だとないんです。

アニメ「SHIROBAKO」でも
「平岡くんの連れてきたアニメーターは全然使えない」
「それどころか、連絡もつかないし、進捗管理もめちゃくちゃじゃない!」
みたいな話がでてきました。
(結局、矢野さんというベテラン制作進行が出向することで、問題を解決したけど…これ理系な仕事だったら「こういうことになる前に、労働管理されとる」「そもそも業界単位で資格や講習をちゃんと作ろうよ」って話なんです。)

「絵柄だってその人が積み上げてきた個性なんだから、資格や講習にしたら没個性的になっちゃう」
と反発する人もいるかも知れないよ?

だけど、自分の絵柄で勝負したい人が目指すべきはアニメーターよりイラストレーター・マンガ家じゃね?
人の絵をアニメに落とし込みつつ画風を再現するのがアニメーターな時点で、再現する能力がないならアニメーターではないのでは??

そして、「過度に規格化したら個性が死んでしまう」というなら事例紹介が中心の講習だっていいんです。
ヤバい現場、事故を減らす工夫に気づくきっかけ程度でもいいんです。

日本の高等・大学教育は「働くために必要な労働の知識」を全く教えません。
文系的には「ブラック企業だと気づかないで就職してくれる方が搾取できる」のかもしれませんが…理系的には大迷惑です!

無知なやつが勝手に死ぬならまだしも…巻き込み事故で優秀な職人が再起不能の怪我や死亡事故になってしまうことだってあるのです。

だから、理系なら「教育教育教育」の精神で講習します。

挙句の果てに
「クリエイター系の企業は確定申告のやり方とか教えない。」
「でも、タイミーは確定申告のセミナーをきちっとやってる。」
↑なのに、ネットではタイミーこそが最底辺と決めつけて叩いてる人が多い。

納期管理についても
「大阪万博は納期ギリギリで遅い。無理なプロジェクトだ」
とかくだらないこと言うてるのですが…私にいわせりゃ
「時間がかかってるのは安全第一でやっとるからや。安全第一でやっても事故ることがある(実際事故った)んだから、ギリギリであることを文句言うのは違うだろ」
と内心腹が立ちました。


理系職の業界歴が長くない私でさえこの顔になりましたわ。

わかったうえでの批判ならまだいい。
だが、なんでも反対・なんでも噛みつくの人ほどネットに頭ごなしな意見を書くから
「マジで言うてる!?」
となっちゃうんですよ…。

そら、エンタメ業界側にもぼくの言い分に「素人は黙っとれ」があると思います。
ただ…40年50年ぐらいアニメや芸能といったテレビに関わる業界がブラックで、全部ダメになり始めてる現状を見ると
「改善できてる業種から学べば?」
ぐらいのことは思います。

最近ずっと、言いたくて仕方なかったことだから書きました。
需要があれば、次回もあるかもしれません。
(需要はいいね・シェア・投げ銭を見て判断します。)

ではでは〜

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