昨今、企業が顧客とつながるチャネルが大幅に増えたことにより、
顧客に一貫したメッセージとサービスを提供することが難しくなってきている。
加えて、AIを本格的に活用する時代となり、CRM(Customer Relationship Management)の役割も変化してきている。
dentsu Japan(国内電通グループ)は、CRMを企業の競争力を左右する
「経営アジェンダ」として位置付けることで課題解決につながるケースが多いことから、
CRM起点で事業や組織の変革を支援する 「Biz CRM For Growth」を提供している。
AI時代の今、よりリアルタイムに、感情までも理解し、パーソナライズされたデータに基づき
顧客と良好な関係を築いて自社の成長につなげるために、企業に求められる変革とは何か。
dentsu Japanのキーパーソン2人に訊いた。
「今、多くの経営者が自社のCRMに危機感を抱いています。その理由は、主に3つあります」と、電通 第2ビジネス・トランスフォーメーション局の魚住氏は言う。
1つ目は、「顧客接点に関わる組織が複数存在し始めたこと」だ。従来の顧客接点は、営業部門(店舗)や広告部門などに限られていた。しかし、デジタル化が進んだことで、それ以外の顧客接点が増え、管理するための組織も増えた。それらの組織ごとにバラバラのKPIで顧客接点を運営すると、顧客体験もバラバラになる。その結果、ブランドメッセージの一貫性喪失が起きているのだ。
2つ目は、「ブランドマネジメントの難易度が上がっていること」だ。従来は、広告によってブランドイメージをある程度コントロールできた。しかし、広告以外の顧客接点が増えてくると、広告以外の影響力も無視できない。「あらゆる顧客接点を一気通貫でマネジメントしなければ、ブランドを維持できなくなっています」(魚住氏)

電通 第2ビジネス・トランスフォーメーション局
変革パートナー6部長
魚住 高志 氏
3つ目は「顧客データの分断が起きていること」だ。顧客接点が増え、それを管理する組織が個別にデータを持つようになった。全社的に見ると、データ基盤への重複投資とデータの分断が起きている。AIを使おうにも、データを横断的に生かせない環境ができつつある。
「全社の顧客接点を、統合的にマネジメントする重要性はこれまで以上に高まっています。今後の経営に大きく影響するAI活用の差別化の源泉の1つは顧客データ活用であり、顧客データを経営のコンパスとするにはCRMを『経営アジェンダ』と捉える必要があります」と話すのは、電通コンサルティングBX連携最高責任者の宮下剛氏だ。現在、事業や部門ごとにAI導入を検討しているケースも散見されるが、Customer Experience、Employee Experienceを鑑み、全体を俯瞰した経営視点で最適な機能配置と一元的なデータマネジメントをはかることがAIの価値をより活かすこととなり、その仕組みづくりが経営の大きな課題になっている。
こういった背景から、CRMの再構築に関するdentsu Japanへの相談が増えている。なぜ、dentsu Japanが選ばれるのか。最大の理由は、戦略を提案するだけでなく、その実行までを支援できることだ。「戦略を立て、その企業に合わせた形で実現可能な経営計画に落とし込みます。その実行を支援し、一定の成果が出るまで伴走します」(魚住氏)。コンサルタントが事業目標に沿った事業モデルを描き、プランナーが顧客接点を生かすアイデアを出す。そして、クリエイターやプロデューサーがそれを実現する。コンサルティングの枠を超えた実効性の高さが特徴だ。
加えて、dentsu Japanのステークホルダーマネジメント力への期待も大きい。具体的には2つある。
1つは、社内外のあらゆるステークホルダーに戦略を説明し、意見や利害の調整ができることだ。企業は組織ごとに縦割りになりがちであり、その各々の組織に様々なパートナー企業が入っている場合も見られる。それが理由で、横連携のコミュニケーションがうまくいかず、プロジェクトの障害になることがある。dentsu Japanが間に入って潤滑油となり、組織間を横につないでプロジェクトを成功へ導く。dentsu Japanは、複数の企業・団体が関わる大きなプロジェクトを数多く成功させてきた。利害の異なるステークホルダーを調整し、合意を取り付け、全員参加でゴールを目指すためのノウハウと経験を持っている。
もう1つは、組織を動かすためのコミュニケーションを支援できることだ。効果的なインナー施策によって経営陣の考えを従業員に伝えて理解を促し、組織を動かす。
宮下氏は、キャリアの中で大手コンサルティング会社をいくつか経験してきた。「社会の変化や、AIをはじめとするデジタル技術の進化がますます早くなる状況では、プロジェクト期間中にも様々な変化やバージョンアップが起きることにもなります。そのため、クライアント様と伴走し、実行する活動の重要性がより高まると感じています。また、顧客の感情を理解し、メッセージを届けるクリエイティブの重要性も高まると感じています。こうした伴走力や、クライアント様の課題に応じてコンサルティング、テクノロジー、クリエイティブをテーラーメイドでミックスして解決を図ることが、CRMの新たな価値を生み出すために必要と考えています」(宮下氏)。左脳(コンサルティング)と右脳(クリエイティビティ)の両方を備えるdentsu Japanならではの強みが、多くの顧客に理解され始めていると述べた。

電通コンサルティング
BX連携最高責任者
シニアパートナー
宮下 剛 氏
そうした企業の期待に応える形で、CRMに関するコンサルティングをパッケージ化したのが「Biz CRM For Growth」だ。電通、電通総研、電通コンサルティング、電通デジタルの4社が連携して支援する。各社からクリエイティブ、テクノロジー、コンサルティング、データ分析などの専門家を選抜してプロジェクトチームを組む。「未来予測および現状をふまえた戦略の策定・ビジュアライズ」「心を動かし、行動を生むエモーショナルな体験設計」「伴走×アジャイルのアプローチでの支援」「ビッグデータ・AIによる業務高度化」の4つの柱でCRMの戦略立案から実行までを支援する。もちろん、顧客企業のニーズに合わせて機能ごとの支援を行うこともある。

「Biz CRM For Growth」には4つの柱があり、未来予測に基づくCRMの戦略立案から、その実行、AI時代のKPIマネジメントまで一気通貫で支援する
「Biz CRM For Growth」は、これまで述べてきた3つの課題、「①複数存在する顧客接点組織とKPI」「②個別最適化された顧客体験が起こすブランドメッセージの一貫性喪失」「③重複投資される顧客基盤と分断される顧客データ」の解決にもつなげる。
①の課題を中心テーマに進めた耐久財メーカーの事例では、商品企画部が担っていた「商品企画」、宣伝部が担っていた「プロモーション」、各事業部が行っていた「データ分析」、営業部が担っていた「セールス」のマネジメント機能を1つの統合マーケティング組織に集約した。すべての要素を全体戦略の観点で統合的に運用できるようにし、一連の顧客体験を最適化することで、LTV(顧客生涯価値)を高めている。
②の課題解決を中心に支援したある保険会社の事例では、カスタマー対応組織を中心に変革した。契約後の顧客に対して追加営業を行わずに有益な情報やサービス提供のみを専門とする組織を立ち上げることで、日常の中で信頼の土台をつくった。それによって、従来の保険会社に対するイメージを「保険を売る会社」から「Life全般の相談ができる会社」に再定義し、新たなブランディングを実現している。
③の課題を中心に支援した自動車会社では、営業企画部、デジタル開発部、サービス企画部を舞台に組織横断型のDX変革を進めた。当初はデジタルマーケティングの常駐支援から始まったが、組織横断によるプロジェクトマネジメント力や企業内のキーパーソンやシステム環境に対する理解を高く評価され、プロジェクトはやがてDX支援へ広がった。現在では全社横断のDXプロジェクトに発展し、データを横断的に活用している。
dentsu Japanは、広告・マーケティングを起点に、現在では幅広い領域で企業や社会の変革を支援している。そうした実績を背景に、必要に応じて多彩なパートナーを巻き込み、プロジェクトを進めていく。クライアントにとっても、多様な企業や人との共創プロジェクトのプロデュースやマネジメント支援を受けることで新たな価値を生み出せる可能性がある。
またもう1つの特徴は、生活者に関するデータと知見を豊富に持っていることだ。「どのような形態のビジネスをしているクライアント様でも、バリューチェーンの先には生活者がいることが多いです。dentsu Japanには『最終顧客は生活者だ』という哲学があります。顧客により良い体験をしていただくことを起点に、CRMのマネジメント体系を設計していくのです」(魚住氏)
この「生活者を起点とする視点」を持つことで、企業がどうあるべきかをフラットに提言できる点も、dentsu Japanならではの強みである。「B2Cに加えて、B2B企業においてもD2C(Direct to Consumer)ビジネスを行うこともあります。顧客体験は、局所的な顧客接点だけでなく、支払いや配送など一連の体験を通じた企業との関係性が期待されます。そのため、生活者を起点とした視点で顧客体験を作り上げていく姿勢は、より多くの企業、機会で重要となってきています」(宮下氏)
さらに、同社がCRMにおいて最も重視しているのが「R(リレーション)」だ。「過去のCRMの在り方を振り返ると、短期的な利益追求によって顧客との関係性が損なわれるケースも見られました。これからは、長期的な信頼を築きながら利益を追求するという、難しい両立が求められます。その際、鍵となるのが『リレーションの再定義』です。我々は、長期視点でクライアント様に寄り添いながらサポートしていきたいと考えています」(魚住氏)
CRMの変革が企業にもたらす価値は大きい。「Biz CRM For Growth」によって、変革への第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。
