米国が支えるセブン&アイの事例から読む持続可能な未来のためのフードシステム 米国が支えるセブン&アイの事例から読む持続可能な未来のためのフードシステム

セブン&アイ・ホールディングスは、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を掲げ、“持続可能な調達”に注力している。その取り組みを支えているのが米国産のサステナブルな農水産物だ。この度、米国農務省 貿易・海外農務担当次官、アメリカ大豆輸出協会、アラスカシーフードマーケティング協会の面々が、同社を訪問した。その様子を紹介する。

米国が支えるセブン&アイの事例から読む持続可能な未来のためのフードシステム

セブン&アイ・ホールディングスは、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を掲げ、“持続可能な調達”に注力している。その取り組みを支えているのが米国産のサステナブルな農水産物だ。この度、米国農務省 貿易・海外農務担当次官、アメリカ大豆輸出協会、アラスカシーフードマーケティング協会の面々が、同社を訪問した。その様子を紹介する。

和瀬田 純子氏 セブン&アイ・ホールディングス執行役員 西山 英樹氏 イトーヨーカ堂執行役員
 ルーク・リンドバーグ氏 米国農務省 貿易・海外農務担当次官 ジム・サター氏 アメリカ大豆輸出協会(USSEC)CEO 家形 晶子氏 アラスカシーフードマーケティング協会トレード・レプレゼンタティブ 和瀬田 純子氏 セブン&アイ・ホールディングス執行役員 西山 英樹氏 イトーヨーカ堂執行役員
 ルーク・リンドバーグ氏 米国農務省 貿易・海外農務担当次官 ジム・サター氏 アメリカ大豆輸出協会(USSEC)CEO 家形 晶子氏 アラスカシーフードマーケティング協会トレード・レプレゼンタティブ

セブン&アイの環境宣言
持続可能な調達を積極推進

 セブン&アイ・ホールディングスの本社を訪れたのは、米国農務省 貿易・海外農務担当次官のルーク・リンドバーグ氏、アメリカ大豆輸出協会(USSEC)CEOのジム・サター氏、アラスカシーフードマーケティング協会の家形晶子氏ら7名。彼らに対し、セブン&アイ・ホールディングス執行役員の和瀬田純子氏が、同社グループの事業活動について紹介した。

 「私共は、お客さまをはじめ、取引先、株主、地域社会、社員、すべてのステークホルダーから信頼される誠実な企業を目指しております。2025年2月期の店舗数は、国内約2万2000店、海外約8万6000店。1日の来店者数は、日本が約2000万人、全世界では約6030万人となっています」

 また和瀬田氏は、同社グループが社会の持続的な発展と企業の持続的成長に向けて特定している重点課題の中から「地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する」を取り上げ、次のように説明した。

 「当社グループは、19年5月に環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を公表。“脱炭素社会”“循環経済社会”“自然共生社会”を当社グループが目指すべき姿として掲げ、CO2排出量の削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達にかかわる2030年の目標および2050年の目指す姿を定め、達成に向けて取り組みを推進しています」

 続けて和瀬田氏は、同社グループの“持続可能な調達”の方針についてこう述べた。「サプライチェーン上のコンプライアンスの重視、人権の尊重、環境・生物多様性の保全、生産地までのトレーサビリティの確保などを内容とする『セブン&アイ・ホールディングス持続可能な調達原則・方針』を22年4月に改定し、取り組み目標として、30年までにセブンプレミアムを含むオリジナル商品で使用する食品原材料の50%を、50年に100%を持続可能性が担保された原材料にすることを定めています」

米国産のサステナブルな大豆を
豆腐バーや納豆に採用

 同社グループが採用している持続可能な原材料調達の一例が、サステナブルな“アメリカ大豆”だ。

 大豆は、健康志向や大豆ミートの開発などで世界的に需要が高まっている一方で、農地拡大のための森林破壊や生態系の破壊、農薬による土壌汚染、農園で働く生産者の人権問題など多くの課題を抱え、欧州森林破壊防止規則(EUDR)の対象にもなっている。こうした背景を踏まえ、同社グループでも、調達量の多い大豆を重要原材料に特定。生産者までのトレーサビリティの確認、環境保全、生物多様性保全、労働者の人権への配慮などの視点から基準が設けられている、アメリカ大豆輸出協会(USSEC)の“SSAP(サステナビリティ認証プロトコル)認証大豆”の使用を推進している。

 また水産品においては、天然水産資源が育まれる生態系を損なうことのないよう資源管理・漁業管理などを徹底している “アラスカ産のサステナブルなシーフード”を使用している。

 懇談の場では、アメリカ大豆とアラスカシーフードを使った商品展開について、説明があった。

 「若い世代をターゲットに、気軽に手で食べられることをコンセプトに開発したセブンプレミアムの『TOFU BAR』は、SSAP認証大豆を使用しています。USSEC日本副代表の立石雅子氏と一緒に考え、SSAP認証マークを入れることでよりシンボリックな商品となり、非常に好評を得ています」(イトーヨーカ堂 西山英樹氏)。

 「『TOFU BAR』の24年の販売実績は年間1300万個です。またセブンプレミアム『極小粒納豆』にもSSAP認証マークを付けて販売しています」(セブン&アイ・ホールディングス 芳賀正延氏)。

 「アラスカシーフードは、22年11月からセブン-イレブンで販売している手巻きおにぎりの具材である“紅しゃけ”と“辛子明太子”の原材料に使用しています。包材にロゴマークを表示し、その価値をお客さまに伝えています」(セブン-イレブン・ジャパン 張継原氏)

持続可能な原材料調達の一例。サステナブルなアメリカ産大豆を使った『極小粒納豆』と、アラスカシーフードを使った『紅しゃけ』おにぎり

米国産の農水産物が支える
持続可能な未来

 プレゼンテーションを受けた米国農務省 貿易・海外農務担当次官のルーク・リンドバーグ氏は「米国産のサステナブルな農水産物を活用いただいていること、私たちがお役に立てていることを大変うれしく思います。我々は御社グループの国内外における目覚ましい成長と革命的な事業モデルを心から称賛しており、今回の視察および懇談は大変貴重な機会となりました」と述べた。

 また、USSEC CEOのジム・サター氏は「米国に55万ある大豆農家は、多世代にわたる家族経営でサステナブルな農業を実現しています。我々は、SSAP認証マークが、御社グループおよび米国の大豆農家に対するステークホルダーからの信頼確立につながるものと信じており、御社グループとのパートナーシップを誇りに思うと同時に、大変感謝しております」と挨拶。

ルーク・リンドバーグ氏は、セブン&アイ・ホールディングス本社に隣接するセブン-イレブン千代田二番町店を訪れ、SSAP認証マークのついた商品を視察した

 アラスカシーフードマーケティング協会の家形晶子氏は「持続可能なアラスカ産の水産物を長年にわたりご活用いただいていること、またロゴの積極的な使用など、アラスカの水産業界全体、当協会本部一同、感謝を申し上げております」と語った。

 そして最後に和瀬田氏が「今後も米国産のサステナブルな農水産物を活用し、持続可能な調達を推進していきます」と述べ、懇談会は終了した。