井上孝司の「鉄道旅行のヒント」

会員登録なしでも使える鉄道ネット予約サービスの話

「えきねっと」で予約・発券したきっぷの例。自宅に居ながらにして手配ができるのは便利なものだが、「えきねっと」は会員登録が必須である

 さまざまなサービスがインターネット上で提供されるようになったが、旅行の分野も御多分に漏れない。自宅に居ながらにして「足」と「宿」の手配ができてしまうのだから、これがお出かけの敷居を下げたといって差し支えないであろう。

会員登録しなくても利用できるネット予約サービスもある

 ただ、どこの業界もそうだが、ネットサービスを利用するためにいちいち「会員登録してユーザーIDとパスワードを取得」となると、その管理がめんどうなことになってくる。日常的に、頻繁に利用するものならともかく、単発で利用するためにいちいち会員登録を求められるのは、あまりありがたい話ではない。

 もちろん、利用頻度が高い利用者のためにポイントサービスを用意するのであれば、会員登録は必須だ。しかし、そういう利用者ばかりとは限らない。

 単発の利用なら、ポイントサービスのメリットはない。また、紙のきっぷを券売機で受け取る形であれば、その際に現金やクレジットカードを用意すれば済む話で、事前に決済手段を登録しておく必然性は低下する。

 実際、スウェーデン鉄道(SJ)を利用したときには、以前書いたように「チケット購入はネットでどうぞ、券売機すら廃止します」という状況だったが、そのネット予約は会員登録しなくても利用できた。会員登録が必要なのはポイントサービスを利用する場合だが、短期訪問の外国人にはメリットの薄い話である。

会員登録なしで利用する場合の基本的な考え方

 会員登録不要で利用できるネット予約サービスには、いくつかのパターンがある。

 まず、乗車前に窓口や券売機で紙のきっぷを受け取る前提になっている場合。すると、個々の予約を照会・確認するための固有情報があればよいので、メールアドレス、電話番号、予約番号といった情報を入力する。予約情報の通知・照会・変更を行なうために、メールアドレスと電話番号の情報は不可欠となる。

 しかし時代は、チケットレス化の方向に進んでいる。そうなると、予約だけでなく購入・決済までネット上で完結させる必要があるので、クレジットカードの情報も不可欠になる。スウェーデンのSJは、このパターンだった。

 チケットレス化のメリットは、窓口や券売機に並ぶ必要がない点にある。日本では現在、チケットレスサービスに誘導するためなのか、チケットレス割引を設定している事例が多いから、これもメリットに含めてよいだろう。

私鉄特急では会員登録不要の事例が多い

 小田急ロマンスカーには「e-Romancecar」というネット予約サービスがあるが、これは会員登録なしで利用できる。「予約のみ」なら、必要な情報は電話番号とメールアドレスだけだ。その場合、乗車前に駅の券売機できっぷを受け取る必要があるが、その際に予約番号と電話番号の情報で照会する。

 このほか、クレジットカードの情報を入力して購入・決済まで済ませる方法も用意されている。ネット上で決済まで済ませると「チケットレス割引料金」を利用できる。

小田急ロマンスカーの「e-Romancecar」画面例。まず列車を検索するところは通例どおり
選んだ列車に対して、「購入」だけでなく「予約のみ」という選択肢がある
「予約のみ」の場合、電話番号とメールアドレスの入力が必要。券売機での受け取りが必要になる

 京成スカイライナーも、会員登録なしでの予約・購入が可能。電話番号とメールアドレスの入力が必要になるのは小田急と同じだ。チケットレスサービスの用意もある。

 東武鉄道の「トブチケ!」でも、特急列車の特急券、それとSL大樹・SL大樹ふたら・DL大樹の座席指定券を、会員登録なしで購入できる。手順に特徴があり、まず電子メールで「認証コード」を受け取ってから、クレジットカードを用いて決済まで済ませる方式。

 西武鉄道の「Smooz」も、会員登録なしで利用できる。これはチケットレス専用なので、メールアドレス、電話番号に加えてクレジットカードも必須となる。特急だけでなく、「S-TRAIN」や「拝島ライナー」も対象になっている。

 南海電鉄の特急もネット購入が可能。ここでは「予約のみ」の選択肢はなく、クレジットカード決済までネット上で行なう仕組み。また、名前と生年月日の入力が求められるところに特徴がある。

京成スカイライナーの場合、「会員登録せずに購入」という選択肢を用意している
電話番号やメールアドレスの入力が必要
「トブチケ!」も同様に、「会員登録せずに購入」の選択肢を用意している
西武鉄道の「Smooz」も会員登録不要の選択肢があると謳っている。ただしここはチケットレス専用なので、クレジットカードの情報も必須
「会員登録不要」を謳っているのは南海電鉄も同様
南海電鉄の場合、氏名と生年月日の入力が必要になるのは、他社と異なるところ

 近鉄特急でも、「近鉄アプリ」あるいは近鉄のWebサイトから、会員登録なしで特急券を仮予約あるいは購入できる。仮予約のみ行なった場合には、駅の窓口や券売機で紙のきっぷを受け取る仕組みとなっている。

 近鉄における注意点として、乗車当日の仮予約ができない点が挙げられる。また、支払い・受取に期限があり、「予約日を含めて8日以内(乗車7日前以後の申し込みでは乗車前日まで)となっている。

 すると、乗車当日まで近鉄の駅に行く機会がない場合には、使いづらい選択肢ではある。その場合にはチケットレスサービスを選んで、事前に購入・決済まで済ませるのが現実的であろう。

近鉄特急でも、会員予約不要の選択肢を用意しているが、購入しない「仮予約」の場合、いくつかの制約がある

 ここでは有料特急を運行している大手私鉄各社の例を示したが、あまり細かい手順までは書かなかった。それには理由があって、こうしたネット予約サービスは内容・仕様の変更が起こり得るからだ。

 そのとき、そのときの最新情報は、各社のWebサイトを見るのが最善である。自信があればいきなり予約・購入に行ってもよいが、不安があれば、まずは利用の手順を確認する方がよいだろう。

JRグループは?

 では、JRグループはどうか。現在、JR東日本とJR北海道は「えきねっと」、東海道・山陽・九州新幹線は「EX予約」、JR西日本とJR四国とJR東海の在来線特急は「e5489」、JR九州も自前のネット予約サービスを運用している。

 このうち筆者が会員登録しているのは、「えきねっと」「EX予約」のふたつ。もっとも、「えきねっと」はJRグループの大半をカバーしているので、例えば東京に居ながらにして長崎方面の指定券を買うこともできる。

 ただし、JRグループのネット予約サービスでは、購入できる列車や設備になにかしらの制限があったり、紙のきっぷを受け取れる場所に制限があったりする。会員登録して日常的に利用するサービスであれば、そういう制限についても知る機会があるが、会員登録なしで利用する一見さんは事情が異なる。制限事項については、予約・購入を始める前に確認しておくべきであろう。

 実はJRグループのうち、「e5489」には、会員登録なしでも利用できる道が用意されている。列車を検索してから、利用する列車と設備(普通車またはグリーン車など)を選択、次の画面で商品を選択すると、名前、電話番号、メールアドレスの入力を求められる。

 ただ、こういう操作手順になっているので、その先まで進んでから「やっぱりやめた、別の列車にしよう」となったときに、またぞろ、名前、電話番号、メールアドレスの入力を求められてしまう。

「e5489」で日付と区間を指定して、列車を検索した画面の例
「e5489」の特徴として、会員登録なしでも購入できる点が挙げられる。その場合、氏名、メールアドレス、電話番号の入力が必要
JRグループでも、紙のきっぷの受け取りには指定席券売機を使用する。これはJR西日本のもの

 なお、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州の各社は9月19日に、ネット予約サービスの連携構想を発表した。「えきねっと」「EXサービス」「e5489」「JR九州インターネット列車予約サービス」が対象で、いちいち個別にログインする手間を省くのが主な狙い。その内容は以下のとおり。

・異なるJRのネット予約サービスに遷移できるようにする
・異なるJRのネット予約サービスで購入した商品の予約情報を確認できるようにする

 ただしこれは会員登録が個別に必要で、かつ予約サービス同士で会員情報を紐付ける処理が必要になる。裏を返せば、会員登録することで異なるサービス間の遷移が可能になる、ともいえる。