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2025年は,「セガガガ」の舞台となった年。“ゲーム開発の理想と現実”を,きわどい表現で熱く描いた名作について,10のポイントを通して再確認
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印刷2025/11/27 08:15

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2025年は,「セガガガ」の舞台となった年。“ゲーム開発の理想と現実”を,きわどい表現で熱く描いた名作について,10のポイントを通して再確認

 本日(2025年11月27日)は,セガのゲーム機であるドリームキャストの27回目となる“誕生日”だ。

 同機向けのタイトルには数々の名作があるが,2001年リリースの「セガガガ」が印象に残っている人は多いだろう。「ゲームを開発するゲーム」というユニークな内容に,奇抜な世界設定が加わっていたことから,今なお“怪作”として話題になることも多い。

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 だが,「セガガガ」の本質は少年の成長物語だ。それに加えてゲーム開発の普遍的な問題や,「娯楽を作るとは何か」という大きなテーマにまで踏み込んだ作品でもある。

 そんな「セガガガ」の舞台となったのは,“2025年のゲーム開発”だった。現実の時間がゲーム世界に追いついた今,同作を10のポイントから改めて見直してみたい。

純朴な少年・瀬賀太郎(上)と謎の少女・羽田弥生(下)は,窮地に追い込まれたセガが,新たな人材にソフト開発を任せるべく立ち上がった「プロジェクトセガガガ」のリーダーとなって奮闘する
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「セガガガ」のここがすごい! 10のポイント



「セガガガ」のここがすごい!(1)

ゲームの舞台はなんとセガ!


 本作の舞台となるのは,本作をリリースしたセガだ。2001年当時,現実世界のセガがあった羽田に非現実な巨大ビルがそびえ立つのは,なんとも疑似リアルかつ幻想的な光景。その開発室はダンジョンのようになっており,中では開発者たちがストレスからまるでモンスターのように変貌している。

 当然ながら社内はまとまっておらず,3つの開発室が好き勝手にソフトを作っている有様だ。いくらゲーム内のこととはいえ,ムービー偏重のチームと,RPGを偏愛するチームと,格闘ゲームを至高とするチームが争っていたり,プログラマーとデザイナーが対立していたり,階級制が敷かれたディストピアがあったり……という設定を,自社の名前が付いた会社で展開するのは,なんとも度量が広い。

 セガには熱心なファンが多いが,だからこそ過激な設定でも誤解されるようなことはない,という信頼関係の上に成り立ったゲームなのではないだろうか。

羽田には巨大なセガのビルが建つ。画像の左に描かれているのは,当時実際にセガがあった羽田(大鳥居)の街並みで,現実とフィクションが入り混じった風景だ
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開発室の中には,階級社会で統治されているものも存在する。上層部は貴族のような暮らしをしているが,下のメンバーは専門化された作業に忙殺されつつ,下剋上を狙う
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別の開発室では,ムービー派とRPG派と格闘ゲーム派が争っている
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開発者たちは,ゲーム開発のストレスで人外と化しつつある
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中央は,セガガガプロジェクトを立ち上げた人交(ひとまじり)社長。現実のセガで社長を務めた入交(いりまじり)昭一郎氏の名前をもじったと思われる
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「セガガガ」のここがすごい!(2)

ゲーム機戦争の末,セガが陥落寸前という自虐設定


 作中のセガは,2025年においてもドリームキャストを販売し続けており,業界シェアわずか3%という窮地に陥っている。現実のセガは1998年からドリームキャストを展開していたが,本作が発売される2か月前の2001年1月31日,家庭用ゲーム機事業からの撤退を発表した。

 とはいえ,ゲーム機の価値はシェアの数字で決まるものではない。現実世界のドリームキャストは本体だけでインターネットを使える先進的な機能を有し,「ファンタシースターオンライン」「シェンムー」「サクラ大戦3」などの名作がリリースされた。生産終了後も,2007年の「カラス」までソフトの供給は続き,セガ自身も2004年に「ぷよぷよフィーバー」を発売するなど,ハードウェアホルダーとしての責任を果たしている。現実でもゲームの中でも,セガは戦い抜いたのだ。

ライバルとなる「ドグマ社」は,ゲーム界の支配をもくろむ巨大企業。怪人のような開発者たちを揃えている
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ドグマ社はドリームキャストに露骨な比較広告をぶつけてくる
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セガはとことん追い詰められており,業界シェアはわずか3%。自虐にもほどがある
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「セガガガ」のここがすごい!(3)

バトルは説得という名の口げんか


 前述したように,作中におけるセガのゲーム開発は混乱の極みとなっているので,ゲームを開発するにはまず開発者たちを説得する必要がある。その説得がバトルとなっており,開発者の心に刺さる言葉で精神ダメージを与え,HPをゼロにしなければならないのだ。

 どんなセリフが出るかはランダムなのだが,その絶妙な噛み合わなさが本当の口げんかを思わせる。瀬賀太郎が「何もしてないのに仕事をした気になってますね」「芸能人気取りのクリエイターって多いですね」と吠えれば,開発者たちも「思い付きを仕様書にまとめる身にもなってみろ!」「抱き枕の数は勲章じゃないからな!」と返す。

 筆者は本稿を執筆するため久しぶりに本作をプレイしたが,当時は特に何も感じなかったセリフも,今になると胸に突き刺さるものになっているなど,普遍性の高さを感じられた。

説得バトルでは,心に突き刺さるセリフ(暴言?)を投げつけ合う
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回復技の「イス寝」からは,当時の激務ぶりや,開発室の雰囲気が伝わってくる
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「セガガガ」のここがすごい!(4)

説得の次は雇用。好感度を上げた後に値切れ


 充分な精神ダメージを与えて開発者の説得が成功すれば,プロジェクトに加えるための交渉がスタート。制限時間内に「好感度」を稼がなければならない。

 開発者たちの考え方は多種多様だ。プレイしているこちらもゲーム好きなので,自分と好みが合う開発者なら交渉はスムーズに進むが,そうでないと難航しがち。そして,この手の交渉で重要になるのは,いつの時代も賃金交渉だ。当然ながら賃金を上げれば好感度もアップするが,毎月のコスト管理が厳しくなる。かといって値切ると好感度が下がってしまう。交渉では意識して人たらしとなりつつ,中長期的な影響を考えて人を雇わなければならない。実にリアルだ。

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「セガガガ」のここがすごい!(5)

リストラを切り抜けるには? 社会人のリアルがここに


 より有能な開発者を雇えるようになれば,ゲームのクオリティは上がっていくが,制限なく人を雇えるわけではないので,リストラの必要性も出てくる。“誰を切るか”の決断も,リーダーにとっての仕事だ。

 また,チームの開発者に他社からの引き抜き工作が発生することもある。昇給して引き留めるか,“去る者追わず”の姿勢を見せるかもリーダーの判断となる。

 これは当然のことだが,結局のところ,高い能力を持った開発者は手放したくないし,その一方で例え能力があっても,それに見合わないほどの高い給料になると,整理対象になってくる。

 「セガガガ」をプレイしていると,組織(経営者)と人(開発者)は情でつながっているわけではないこと,給料が上がるということは,それに見合った仕事を要求されることである……ということを再認識できるのだ。

リストラされるか,昇給で引き留められるか。両者を分けるのは,ひとえに能力
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「セガガガ」のここがすごい!(6)

ゲーム開発は,夢だけではなくお金も大切


 「セガガガ」の開発パートでは,開発者たちを「ディレクター」「プログラマー」「デザイナー」の席に配置すれば,時間経過で「開発状況」(完成度)がアップしていき,それが一定以上になれば,ソフトを発売できる。

 瀬賀太郎の仕事は,投資による後方援護だ。設備投資をすれば開発スピードが上がるし,宣伝すれば「期待度」が上がり,ソフトの売り上げも伸びる。

 だが,何をするにしても先立つものが必要だ。同じ宣伝でも,無償でできる「掲示板への書き込み」から,結構なお金がかかる「有名声優の起用」「渋谷駅の巨大看板」までとさまざまで,派手なほど効果も高い。

 しかし,ソフトを完成させないとお金が手に入らないため,計画性が必要だ。近年はゲームメーカーが売り切り型ソフトより速いペースで収益を得られるソーシャルゲームに力を入れているが,本作をプレイすると,その理由もなんとなく分かってくる。

 そして本作では,基本的にソフト発売のペースを上げれば上げるほど儲かるし,売り上げには発売時期が大きく影響する。特に夏はソフトが売れるため,何とかしてこの時期に間に合わせたい。

 こうした計画の障害になるのが,ソフトに問題点が発覚する「緊急ミーティング」イベントだ。これが発生すると,「ロードが長い」「操作性が良くない」「安定性が低い」といった問題点が見つかる。時間をかけて品質を高めるか,発売スケジュールを守るために妥協するかを選ばなければならない。

 筆者を含む多くのプレイヤーが「それは当然品質優先だろう」と思うような選択なのだが,実際に本作をプレイすると,あっさりと妥協している自分に気付く。二番煎じのゲームはもちろん,未完成のベータ版を発売することにすら罪悪感を覚えなくなっているのだから恐ろしい。

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「セガガガ」のここがすごい!(7)

ゲーム開発に限らず起こりそうな,リアルなイベント


 「セガガガ」でのゲーム開発では,開発者たちが意気投合してパワーアップしたり,喧嘩を始めたり,悩んでいる者が瀬賀太郎に相談を持ちかけてきたりといった,さまざまなイベントが起こる。それらにどう対応するかで,開発者の「やる気」「協調性」「才能」が変化するのだ。

 特に心に刺さるのが相談イベントで,その内容は「やりがいが持てない」「アイツが気に入らない」「別の仕事がしたい」「自分に自信が持てない」など,どこの職場にもありそうな,聞く方も胃が痛くなるものばかり。まだ若いのに,こういった相談に乗らなければならない瀬賀太郎の心も心配だ。

良きにつけ悪しきにつけ,職場ではさまざまなイベントがつきもの
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「セガガガ」のここがすごい!(8)

セガの実在ソフトを開発できる


 本作で開発するソフトは,実在するセガの過去作。どのソフトが出てくるかは完成するまで分からないため,開発が進むのが楽しみになってくる。売り上げや評価はソフトの完成度や期待度によって決まるので,時には有名ソフトに低い評価が付くことも。現実を超える売り上げを目指したくなる仕組みだ。

タイトル名だけでなく,パッケージも実物そのまま
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「セガガガ」のここがすごい!(9)

ゲームの発売がなぜ延期されるか,その内幕があらわに


 楽しみにしていたゲームの発売日が延期されるたび,「なぜそんなことになったのか?」と首をひねる人は多いだろう。本作では,そんな延期劇の内幕を体験できてしまう。

 筆者が「セガガガ」で大作ソフトを開発したときのことは忘れられない。設備投資を行ってハワイに研究支社を設立し,デザイナーやプログラマーも腕ききをスカウト,要となるディレクターには,新人ながら能力値が最も高い者を抜擢して,準備を整えた。

 しかし,この新人ディレクターが曲者だった。スランプに陥って数週間姿を消す,無断欠勤して放浪した出先で失恋してくる……といった事件を何度も起こし,開発は停滞。なんとも歯がゆいが,こちらができるのは宣伝費をつぎ込んで期待度を上げることぐらいだ。

 結果,アニメ化やゴールデンタイムのCM,CDシングル発売などの施策にユーザーの期待は爆上がりしたが,肝心の開発が進まない。なんとか外注を使って形にはしたものの,当初予定していた発売日からは大きく遅れてしまい,売り上げは散々だった。これはパラメータとイベント運が偶然悪い方向に噛み合った結果ではあるが,なんともリアル。

ディレクターの度重なる失踪で開発は遅れ,開発室では「協調性」が尽きたスタッフたちが喧嘩を繰り返す。まさに地獄絵図
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「セガガガ」のここがすごい!(10)

夢を追いかけていた少年が,挫折を乗り越える熱い物語


 本作は世界設定こそかなり独特だが,物語としては,夢を追いかける主人公の少年が,さまざまな現実に直面して傷つきつつも,そこから立ち上がって成長していくという,王道的なものだ。

 ゲームの前半は熱意だけで戦い続ける瀬賀太郎だったが,やがてプレゼン相手に合わせた企画の通し方や,説得もなしに「ハッタリ技」で人材を確保するやり方を覚えていく。それは無垢さを失っていく過程であり,人が成長するうえでの通過儀礼でもある。

しゃにむに突っ走るだけでなく,相手に合わせた企画の通し方を覚える
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 セガをまとめるべく,プロジェクトを進める瀬賀太郎は,あるとき意図せずして,親友を蹴落とすような形で自分の企画を通すことになってしまう。後味の悪さを感じる瀬賀太郎だが,今度はその親友にはめられるような形で窮地に陥り,決着をつけるべく,対峙することとなる。仕事のせいで友人関係さえも壊れかねないという,現実の厳しさだ。

企画プレゼン対決で親友と対決して勝利を収めるが,それはプロジェクトセガガガという後ろ盾があってこそで,実力を評価されたものではなかった
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 やがて,陰謀に巻き込まれた瀬賀太郎はセガから追い出されることになり,田舎に帰ることもできず,ゲーム屋でバイトをして糊口をしのぐ日々を送る。

 しかし彼は夢をあきらめることなく再びセガに入り,ゲームセンターの店員やゲーム機の配送といった現場仕事を通して,開発への情熱を再確認する。自分の原点を見つめ直し,再びゲーム開発に挑もうとする姿には,ゲーム好きとして共感と尊敬を感じるはずだ。

 実際のセガでも,当時の新入社員はまずゲームセンターなどの現場を経験していたと聞いたことがある。現在開発チームで働く社員も,かつては瀬賀太郎と同じように店舗研修をこなしつつ,早く開発に参加したいと願ったのだろう。そういう意味で,本作はまさにセガの理想を体現しているゲームと言えるのかもしれない。

瀬賀太郎はバイト先のゲーム屋で,元はゲームキャラクター,今はゲーム屋の店長であるアレックスキッドと出会い,自分の目指すべき道を再確認する
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本作の世界では,ゲームキャラが俳優のように活動している。アレックスキッドはかつて人気を博したが,徐々にお呼びがかからなくなったという,少し悲しい設定だ
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 2001年の発売から24年が経った「セガガガ」を改めてプレイして感じたのは,題材のユニークさとゲームとしての面白さ,そして物語の普遍性だ。

 現在はインディーゲームの隆盛から無数の開発現場が生まれており,ゲーム開発を描いた「セガガガ」のゲームと物語は,今の視点でも評価されるべきではないかと感じる。

本記事の制作にあたって,セガが所有しているグッズのいくつかを撮影させてもらった。こちらは作中のユニフォームのレプリカで,近年イベント用に製作したものとのこと
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「セガガガ」のプロデューサー,ゾルゲール哲氏が当時のプロモーションなどで着用したマスク
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 本作のとある章でクローズアップされる「萌え」の解釈も特筆すべき点だろう。当時はゲームにおける萌えについて,推進論から有害論まで,さまざまな議論が巻き起こっていた。

 本作では萌え=心が動くこと,遊びを作り出す原動力という解釈を加え,「ゲームを作る者は,美少女キャラクターなどの“個人の萌え”に終始するのではなく,人々に夢と希望を与える“大規模な萌え”を目指すべき」という結論を出しており,創作論として興味深いものがある。

 このように,「セガガガ」で描かれたものには,今の時代にも通じるものが多い。「セガガガ」は,2025年というゲームの未来をしっかり見据えていたのかもしれない。

「似たような売れ線を量産して数字が稼げればいい」「自分の身を削らずに物を右から左へ流せ」などと語る開発者たちも現れる。反面教師的な存在ではあるが,ゲーム内に登場させたのは英断だ
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