【10月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は29日、スーダン西部の北ダルフール州ファシェルの病院で、患者と付添人合わせて460人以上が銃殺されたとの報告に、「衝撃を受け、深く憤っている」と表明した。

ファシェルは26日、約1年半に及んだ包囲の末に陥落し、国内で政府軍と戦闘を繰り広げる準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」によるダルフールの支配を決定づけるものとなり、民族的動機による暴力への懸念が高まっている。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、ファシェルの産院で460人以上が殺害されたとの報告に「衝撃を受け、深く憤っている」とし、「医療へのあらゆる攻撃は、即時かつ無条件に停止されなければならない」と述べて停戦を呼びかけるとともに、患者や医療従事者、医療施設の保護を求めた。

WHOによると、この産院は市内で唯一部分的に機能していた病院だったという。

病院では26日に「ここ一月で4度目の攻撃」を受けて看護師11人が死亡し、医療従事者3人が負傷。さらに28日には医師4人、看護師1人、薬剤師1人の計6人が拉致された。

WHOは、この新たな悲劇は「ファシェルで急速に悪化する危機の中で起きており、暴力の激化、飢餓と疾病の蔓延により、子どもを含む民間人が命を落とし、もともと脆弱だった医療体制が崩壊しつつある」と警告している。

WHOは医療機関への攻撃を記録・検証するものの、責任の所在を特定することはない。(c)AFP