［ニッポンの米］新潟など記録的少雨　渇水深刻〝まるで災害〟　穂肥も効果なし

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　新潟などの日本海側を中心とした広い範囲で、記録的な少雨が続き、田のひび割れや葉の枯れ上がりなど稲作で被害が目立ってきた。水源のない山間部が特に深刻で、収穫を断念した田もある。東北や北陸、山陰にも広がり、産地は懸命な対策を続ける。

　白くなってひびが入った田。黄色い葉の弱弱しい稲が並ぶ。

　「根がやられたのでもう収穫は無理。ため池も空っぽで、地域の棚田や天水田は全滅だろう。今年の稲作はどうなってしまうんだ」

　新潟県上越市の「ファーム直峰」の代表・高波澄男さん（７４）が途方に暮れていた。同法人は水田１６ヘクタールで水稲を栽培。出穂期を迎える前だが、枯れた株の多い一部の水田では収穫を断念した。

　ＪＡえちご上越頸北わかば営農センターの滝澤新営農指導員は「近場の川や池、水路からポンプアップして田に水を入れるよう呼びかけているが、対策には限界がある。まるで災害だ」と話す。管内では穂肥の散布時期を迎えたが、粒状の肥料は水に溶けなければ効果が出ない。ひびが入った田には水を入れても肥料も水も浸透しにくい。

行政と連携　ＪＡも対策懸命

　上越市は７月中旬に３１年ぶりに渇水・高温の対策本部を設置。ＪＡでは水をくみ上げるポンプの燃料費を助成するなど行政と協力し対応を続ける。現時点では収穫できなくなった田は限定的で、ＪＡは丁寧な営農指導を続けながら被害の把握を進める。

　近年、県内では２０１８年、２３年も渇水傾向だった。ただ、今年はより深刻で、被害は過去を上回る恐れがある。ＪＡは「このまま雨が降らなければ不稔（ふねん）となり、品質、収量ともに影響が大きい」と懸念する。

　県内の他の地域でも、渇水の影響が出始めている。「ドローンで液肥を葉面散布するなど対策を取るが、そもそも水がなければ打つ手がない」（ＪＡ佐渡）、「ため池の水がなく用水に回せず葉が枯れ上がった田もある」（ＪＡみなみ魚沼）などの声が上がる。

日本海側の産地でも苦慮

　水不足は日本海側を中心に、全国広い範囲に及ぶ。懸命な対策を続けるが、どの産地も「限界がある」と対応に苦慮する。

　長野県北部のＪＡながのみゆき営農経済センターによると、飯山市、栄村などで渇水傾向だ。「田にひび割れが出ている。これから出穂期に水がないと品質も収量もダメージが大きい」とする。富山県西部のＪＡとなみ野は「山側でため池が枯れつつあり、対策をするが、水源がない地域は深刻だ」、ＪＡ鳥取いなばは「山間部の組合員から困ったという声が上がっている。出穂期は節水にも限界がある」とする。山形県でも最上川の水位が下がり、渇水傾向だ。

　気象庁によると、８月下旬まで、日本海側は降水量が少ない状況が続き、気温は全国的に高くなる見通しだ。

（尾原浩子）

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