自転車の単独事故、謎の急増 7年で3.5倍、専門家「普通でない」

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山崎啓介 中山美里
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 自転車の人身事故で、単独事故の届け出が急増している。自転車で転倒したり、壁にぶつかったりといった単独の事故は、自転車事故の総数が減っているにもかかわらず、2023年までの7年間で3.5倍になった。正確な理由は不明だが、あるサービスの広がりが一因の可能性があるという。

 警察庁や交通事故総合分析センターのまとめでは、自動車やバイクを含む人身の交通事故の総数は23年に全国で約31万件発生。そのうち約7万2千件が自転車の事故だった。

 このうち、最も多かったのが自動車や自転車とぶつかった事故で約6万4千件。次いで単独事故が5497件、人とぶつかった事故が3208件だった。

 人口減の影響もあり、交通事故の発生は減っている。

 自転車事故も例外ではなく、23年までの10年間で発生数は3分の2になったほか、死者も14年の540人から23年には346人になった。

 ところが、自転車事故のうち、単独事故の発生が16年を境に一転して増え始めたことが、警察庁などのデータから分かった。

 発生数は、09年の4372件から16年に1559件まで減っていたのに、17年に1626件と増加に転じ、20年には2958件、23年には5497件になった。7年間で3.5倍になった計算だ。

 ただ、増えているのは軽傷の事故ばかりで、用水路に転落するなどして死亡したり重傷を負ったりした重大事故は09年の1249件から23年の482件へと減っている。

 交通事故総合分析センターの河口健二主任研究員は「人口減で自転車の利用者数が減るなか、単独の、しかも軽傷の事故ばかりがこんなに増えるのは普通ではない。コロナ禍による一時的な現象かと思っていたが、その後も増え続けていることに驚いている」と話す。

単独事故の届け出が増えた要因、現場の見立ては

 また、単独事故の発生は、東京都に6割強が集中していた。

 特に増え方が著しかった江東…

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この記事を書いた人
山崎啓介
デジタル企画報道部
専門・関心分野
データ分析、オープンデータ、GIS
中山美里
デジタル企画報道部
専門・関心分野
データ分析、働き方、ジェンダー、環境
  • commentatorHeader
    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2025年2月23日8時0分 投稿
    【視点】

    興味深い。確かにウーバー自転車の事故増加というのは時節柄いかにもありそうだけど、街中を歩きながらの個人的印象として、彼らは(もちろん全部ではないが)操縦技量が高めで事故回避能力が高そうだ。むしろ、歩道での子供乗せママチャリ運転の強引さが最近

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    明石順平
    (弁護士・ブラック企業被害対策弁護団)
    2025年2月23日22時9分 投稿
    【解説】

    調べてみたが、記事が指摘しているとおり、ウーバーイーツが原因であろう。 ウーバーのウェブサイトを確認したところ、「配達パートナー向けサポートプログラム」というものがある。 https://www.uber.com/jp/ja/drive

    …続きを読む