なぜリベラルは人気がないのか 斎藤幸平さんが指し示す未来への道筋

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聞き手・真鍋弘樹
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朝日地球会議2025」リアル会場のセッションから

 「あなたと考える 激動の世界と地球の未来」をテーマに10月下旬に開かれた「朝日地球会議2025」のセッションの一つ、「斎藤 幸平の目に映る世界と日本 右傾化、ポピュリズムと脱成長」では、東京大学准教授で思想家の斎藤幸平さんが、各国に広がる複合危機を「脱成長」というキーワードで巧みに読み解いた。前半の斎藤さんによる講演に続き、後半では読者代表として記者が質問をぶつけた。

「朝日新聞のようなリベラルがどうして人気がないのか?」

 「朝日新聞のようなリベラルがどうして人気がないのか。それを乗り越えるために脱成長が必要なんです」。冒頭のあいさつで斎藤さんは刺激的な言葉を投げかけた。

 その真意について、世界の現状を解説しながら解き明かしていく。いま各国であらわになっているのは、「弱者を切り捨て、極右と資本主義が合体して一部の人たちの利害関心を守るような社会」であり、気候変動が進んで自然災害が多発し、資源をどう確保するかという自国優先、排外主義的な右派ポピュリズムが台頭しているという。

 「複合危機と言われますが、資本主義が作り出している危機が世界の分断、格差を加速させている」。そこで、人権や民主主義を重視するリベラル思想が力を失っている理由は何か。斎藤さんは、「再分配の政治をやめてアイデンティティーポリティクスを重視する姿勢」が反発を受けていると読み解く。例えば米国では、グローバル化を背景に民主党が自由競争や規制緩和を志向し、「労働者ではなくエリートのための政治になってしまった」という。「見捨てられたと感じている人々を利用したのがトランプ氏でした」

米国で生まれつつある進歩的なポピュリズム

 そんな状況を打開する道とし…

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この記事を書いた人
真鍋弘樹
オピニオン編集部|フォーラム編集長
専門・関心分野
人口減少と移民、民主主義、メディア、沖縄
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    金暻和
    (韓国在住メディア人類学者)
    2025年11月21日10時26分 投稿
    【視点】

    タイムリーで興味深い議論だったと受け止める。ただ、「朝日新聞のようなリベラルが不人気」である現象が世界的傾向であることは確かだとしても、その原因についてはより多様な視点が必要と思った。少なくとも日本では、アメリカのようにマスメディアや大衆文

    …続きを読む