日経サイエンス  2025年7月号

特集:どうなる暗黒物質

有力粒子WIMPが見つからない ダークホースは どこにいる?

T. R. スラティエ(マサチューセッツ工科大学) T. M. P. テイト(カリフォルニア大学アーバイン校)

宇宙に存在する物質の大半は目に見えない。しかし,この「暗黒物質」の重力が星や銀河の軌道に及ぼす影響は測定できる。暗黒物質の近くを通る光の経路が曲がる様子を観測することや,高温のビッグバンで生じた原始プラズマの残光に及ぼす影響を検出することも可能だ。これらのシグナルは既に高い精度で測定されてきた。暗黒物質が宇宙に遍在すると信じるに足る十分な理由がある。しかし,私たちはまだ暗黒物質の正体を知らない。

暗黒物質の検出を目指した実験は数十年にわたって続けられてきたが,うまくいっていない。もしかしたら初検出は目前に迫っているのかもしれない。しかし,待つ時間が長くなるにつれ,暗黒物質ハンターのなかには探す場所や探し方が間違っているのではないかと考える人も出てきた。多くの実験家は,物理学の他の問題を同時に解決できる可能性が高い,比較的少数の暗黒物質候補に狙いを絞ってきた。だが,そうした他の謎が暗黒物質の難問に関連しているという保証はない。可能性がある候補をもっと幅広く探す必要があると考える物理学者も増えてきている。この問題の幅広さには怖くもなるが爽快でもある。

続き2025年7月号の誌面でどうぞ。

著者

Tracy R. Slatyer / Tim M. P. Tait

スラティエはマサチューセッツ工科大学の理論宇宙素粒子物理学者。暗黒物質の性質を研究している。テイトはカリフォルニア大学アーバイン校の理論高エネルギー物理学者。素粒子物理学と宇宙論,暗黒物質探索を研究テーマとしている。

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もっと知るには… 「暗黒物質の正体 天体観測で絞り込め」,C. プレスコッド=ワインスタイン,日経サイエンス2023年4月号。

原題名

What If We Never Find Dark Matter?”(SCIENTIFIC AMERICAN September 2024)

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