【ボン(ドイツ西部)=三井美奈】ドイツのボンにある女性博物館で28日、慰安婦像の除幕式が行われた。付近の都市ケルンで期限付きで公開されていたものが移転され、恒久設置されることになった。在ベルリン日本大使館によると、ドイツには計5つの慰安婦像があり、日本は撤去を促してきたが、地元の政局も絡み、難航している。
「性奴隷になるよう強いた」
女性博物館の慰安婦像は、入り口前の庭に碑文とともに展示された。碑文は、第二次大戦中にアジアや欧州で多くの女性が性暴力の犠牲になったことに触れ、「日本軍は大勢の女性や少女を誘拐し、性奴隷になるよう強いた」と記している。除幕式には関係者約50人が集まった。
女性博物館は民間施設。像は3月から期限付きでケルンの市立博物館の企画展で公開され、ベルリンを拠点とする韓国系市民団体「コリア協議会」が恒久展示の受け入れ先を探していた。女性博物館のマリアンネ・ピッツェン館長は、「第二次大戦中の慰安婦は性奴隷であり、戦争犯罪。被害者の声が裏付けている。像は過去の記憶を風化させない場所になる」と述べ、展示を正当化した。さらに、日本について「歴史を認めず、論議を封じようとする。かたくなな姿勢が国際的注目を集め、かえって問題をこじらせているのではないか」と批判した。
公有地にも慰安婦像
ピッツェン氏によると、女性博物館では2018年ごろにも慰安婦像を設置しようとした。当時は博物館の敷地は市から借用しており、実現できなかったという。当時のボン市長は保守系、キリスト教民主同盟(CDU)出身で、像設置に反対していた。
ドイツでは5カ所の慰安婦像のうち、ボンへの移転で公有地にあるのはベルリン市ミッテ区だけになった。中部カッセルでは州立大学にあった像が23年に撤去され、近くの教会に移転されている。
ベルリンの像を巡っては昨年5月、CDUのウェグナー市長が上川陽子外相(当時)と会談した際、「一方的展示は好ましくない」という立場を表明し、地元自治体が撤去に向けて動き出した。コリア協議会は「恒久展示に向けて、法廷闘争を続ける」としている。
「記念碑求める」背景
欧州で慰安婦像はイタリアにも設置されたが、ほとんどがドイツに集中する。日韓関係史に詳しいボン大学のラインハルト・ツェルナー教授は、「ドイツでは第二次大戦中の女性への暴力について公的な論議がなく、歴史に向き合う記念碑が求められている。だが、慰安婦像は日韓問題に焦点を当て過ぎており、普遍的なシンボルとしては適切ではない」と話す。




