【特集】大学入試多様化の中で確かな目標を見つける「針路プログラム」…共立第二
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共立女子第二中学校高等学校(東京都八王子市)は、「針路プログラム」と名付けた体系的な進路指導を中高6年間にわたって実施している。大学入試の多様化に応じるとともに、生徒たちが早い時期から自分の目標を定め、「針路」を基に大学とその先を見据えた行動を起こせるようにすることが目的だ。「針路プログラム」を通して自らの適性を見極め、今春、目標の大学に合格を果たした2人の卒業生に話を聞いた。
中1から始まる体系的な進路指導

「『針路プログラム』は、単なる『進路』ではなく、航海に使用する羅針盤のように、人生の指針となる道筋を立ててほしいという思いから設計しています。学年ごとに目標を設定し、職場体験や外部から講師を招く進路講演会、外部模試、大学のオープンキャンパス訪問などを体系的に実施し、探究活動や文化祭・体育祭などの学校行事も、『針路』を開拓する一環としてとらえています」と、入試広報部主任の戸口
中1から中3まで、「自分理解」をテーマとして「主張大会」という発表会を行っているほか、中2で、社会を理解するために家族への職業インタビューなどを行う。さらに中3では、自分で受け入れ先を探して職場体験を行うとともに、高校進学への意識を高める。
高1では適性研究のため夏休みに大学のオープンキャンパスを訪問して3学期までに文理選択を行い、高2では学部学科研究を進めて志望校を選択する。そして高3では、多様化した入試方式に対応して、第1志望合格を目指す。この間、外部の学力テストや模試を定期的に受験し、担任や進路指導担当教員によるガイダンスを受ける。
「大学合格をゴールとするのではなく、その先のキャリアの構築を意識した指導を行っています。自分なりの軸を立てて人生への価値観を養い、自己肯定感を持って『自分の人生では、自分が主人公』と納得できる生き方を見いだしてほしいと考えています」
国際経済学を学ぶために東京女子大学へ

「針路プログラム」を経験して、4月から希望した大学に通っている卒業生たちに話を聞いた。東京女子大学現代教養学部国際社会学科に進んだ神保杏奈さんは、高校では生徒会副会長を務めた。生徒会主導で行ったボランティア活動での経験から、途上国支援に関心を抱くようになったのが志望の背景にあるという。
「国際NGOのプログラムに参加し、バングラデシュの女の子たちに手紙を書く活動などをしました。英語が好きで将来は海外に関わる仕事がしたいと思っていたため、国際経済学を学んで途上国のビジネス発展に貢献したいと考えるようになったのです」
中3の職場体験では近隣のインターナショナルスクールに自分で電話をかけ、英語でアシスタントを務めた。高1からさまざまな大学のオープンキャンパスを訪ね、大学研究を始めたそうだ。「中高と共立女子第二で、大規模校とは異なる環境で先生方からきめ細かく指導していただいたので、大学もできればアットホームな雰囲気を持つ女子大を、と考えていました。その中で、国際関係の中でも特に『経済学専攻』がある東京女子大を選びました」
同校には、併設校特別推薦制度があり、共立女子大への内部推薦資格を保持したまま、他の大学に思い切ってチャレンジすることができる。神保さんはそれを活用し、東京女子大の指定校推薦枠による合格を目指した。指定校推薦では、高校での成績や在学中の活動実績、面接などによって判定が行われる。「出願の際はボランティア活動や生徒会役員・文化祭実行委員としての活動をアピールしました。先生方には面接練習の相手をしていただき、経済学について基本的なことが話せるようにしておきました」
同校では、教員らが各大学の受験要件を研究し、生徒の希望に応じて面接の練習相手を務める。大学のアドミッションポリシーと生徒の志望動機が合致するよう指導を行っているそうだ。
「本当に指定校推薦で東京女子大に行けるのか、ある程度不安もあったのですが、先生方は『やりたいことが実現できる道を目指したほうがいい』と応援してくださいました。その結果、年末までに合格が決まり、より英語力を高めるための勉強に3学期の時間を充てることができました」
部活や委員活動に注力しながらも一般受験で目標を果たす

神保さんは、国公立大や難関私大を目指す「特別進学コース」から指定校推薦で合格を決めたが、同コースには、一般入試で希望の大学を目指す生徒も多い。今春、東京女子大学現代教養学部の心理・コミュニケーション学科に進んだ峰尾怜さんも、その一人だ。
「私は中学受験しか経験していませんでしたから、大学の一般入試に挑戦し、自分にどれだけの力があるか試してみたかったんです」
高校ではバトントワリング部と、学校説明会でパネルディスカッションや受験相談、キャンパスツアーを行うPR委員の活動などに注力した。「高1の時から大学調べをしていたのですが、部活などで忙しく、なかなか目標を定めることができませんでした。その分、高3になってから頑張って勉強に専念しました」
「針路プログラム」では、「共立手帳」に日々の学習や生活の記録をつけるとともに、「Myバトンノート」に模試での成績や課外活動の記録をまとめ、ポートフォリオ作りを行った。自分の適性を見極めて目標を絞り、志望理由書作りなどに役立てるためだ。
峰尾さんは多方面で活動した自分の学校生活を振り返り、「多くの人と出会って、日本の魅力を海外に伝えるような仕事がしたい」と考えるようになり、グローバルなコミュニケーションを学ぶことができる東京女子大の心理・コミュニケーション学科を目指すことにした。将来は、旅行関連の仕事に就きたいと考えているそうだ。
「東京女子大はリベラルアーツを学ぶ大学で、入学してからもさまざまな可能性を模索することができます。その点にも魅力を感じました」
元々人前に出るのは苦手だったが、中学に入ってから変わったという。「女子だけの中で、自分から積極的に委員活動などに手を挙げられるようになりました。先生たちはいつでも親身になって相談に応じてくれました。安心して自分の個性を発揮することができる環境だったと思います」
同校を卒業後、共立女子大学・同短期大学へ進学する生徒は全体の4割程度で、6割は他大学へ進学する。従来は文系志望者が多かったが、近年、医療・薬学・建築など、理系分野への進学も増えてきているそうだ。昨年度は津田塾大学の高橋裕子学長の講演会などを実施しており、今後、他大学との連携を強化していく方針だ。
「大学入試は多様化しており、偏差値で比較するのではなく、自分の適性を見極めて目標を設定することが不可欠となっています。その中で『針路プログラム』はますます重要な役割を果たすようになっていると考えます」と、戸口先生は言う。
「将来への意識を高めることでその後のキャリア形成に役立て、本校の教育目標であるセルフリーダーシップを養い、広く社会に貢献できる女性として羽ばたいていってほしいと考えています」
(文:足立恵子 写真:中学受験サポート)
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