【ラーメンは芸術だ!】札幌の「弟子屈ラーメン」で丸ごと北海道を味わう、摩周湖の水にほれ込んだ社長が作った豪華な一杯

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 札幌にやってきた。北の大地、北海道からこのラーメンシリーズを約半年ぶりに再開しようではないか。北海道といえば、ラーメン。札幌で約70年前に誕生したとされ、今も北海道を代表する食である。6月下旬、歴史ある「元祖さっぽろラーメン横丁」を訪れ、インバウンドの外国人客らに人気の「かがラーメン」を取材した。
70年以上の歴史がある「元祖さっぽろラーメン横丁」

丼からはみだすチャーシュー、客の6割がインバウンド

 ラーメン店17軒が連なる札幌市中央区の横丁は、前身の「公楽ラーメン名店街」から70年以上の歴史がある。その中の一軒、弟子屈ラーメンにランチタイム終了の午後3時半に到着すると、菅原憲一社長が笑顔で出迎えてくれた。北海道を中心に弟子屈ラーメン9店舗などを経営する菅原さんは、「外国人のクチコミ評価が非常に高く、観光名所ということもあって、この店のお客さんは6割が外国人なんですよ」と話した。
券売機は、五つの言語に対応している
中華鍋で野菜を炒める際に勢いよく上がる炎は、外国人客に大人気だ
 一番人気の「チャーシュー味噌コーンバターのせ」(1330円、2025年7月中旬から1480円)を注文すると、丼からはみ出す巨大な豚バラチャーシュー1枚がドーンとのった一杯が運ばれてきた。「うちのこだわりはオール北海道」と菅原さんが自負するように、阿寒ポーク、北海道産コーンとバター、函館のマコンブ、北海道産小麦100%の中太ちぢれ麺など、北海道がてんこ盛りの豪華な一杯だ。
北海道がてんこ盛りの「焼豚味噌コーンバターのせ」
炭火であぶって提供される大きなチャーシュー
丼からはみ出すサイズのチャーシュー

まろやかで深みのあるスープ、もちもちぷりぷりの麺

バターや辛味が溶け込んだ味噌スープ

 スープは、大変まろやかで非常においしい。深いコクがあり、しつこくない。北海道産の4種類の味噌をブレンドし、魚介しぼりしょうラーメンのたれの製造過程で生まれる絞り節を加えて魚介のうま味も引き出しているそうだ。ほかにも野菜や香辛料、赤ワインなどを使い、脂やニンニクのうま味に頼らない和だしのたれとなっている。たれは、北海道弟子屈町にある総本店のセントラルキッチンで製造され、店に運ばれてくる。
手間暇かけて作られた自慢の味噌たれ

 店では、豚のゲンコツ、鶏ガラ、野菜を24時間低温で煮込んだスープを作り、たれと合わせる。手間暇と、原材料費のかかったスープである。バターを溶かしながら、無料でついてくる辛味も溶かしながら、味の変化を楽しんだ。
北海道産小麦100%の中太ちぢれ麺

 多加水の中太麺は、もちもちでぷりぷりの食感。「これが北海道ラーメンだよな」と、妙に納得させられる。スープがよく絡んでおいしい。店舗数拡大によって麺の使用量も増えたことから製麺会社と交渉し、2015年から北海道産小麦100%の特注麺になったという。

「たれには、水を一滴も使いません」

 スープも最後まで平らげ、おなかがいっぱいになったところで、菅原さんから「醤油ラーメンもぜひ食べてください」と薦められ、酔客の締めに人気の「魚介しぼり醤油」の小サイズ(800円、7月中旬から900円)をいただいた。少し濁りのあるスープは、濃厚ながら優しい味わいが広がる絶品だった。魚介の香りが漂い、焦がし醤油のような風味は、くせになる味だ。
魚介と醤油の風味が素晴らしい「魚介しぼり醤油」の小サイズ
豊かな風味が広がる醤油スープ

 「たれには、水を一滴も使いません」と菅原さん。やはりセントラルキッチンで製造されるたれは、オホーツクのホタテ貝柱やカツオブシ、大量の白菜などの野菜を炊き込み、裏ごしで絞り上げたものだ。このラーメンは、日本醤油協会などが主催する2007年度の「醤油名匠」を受賞している。

 味噌と醤油。どちらも北海道を丸ごと味わう唯一無二の一杯だった。

企画経営からラーメン事業に転身

 菅原さんは、もともとは企画会社の経営者として、大手スーパーが手掛ける飲食事業にかかわっていた。だがこのスーパーが経営不振に陥り、ちょうどその頃、JR札幌駅前にできたラーメンのテーマパークの仕事をするようになった。北海道のラーメン業界に詳しく、本も出版していた菅原さんは、スタッフの一員となり、北海道中から出店店舗の選定などをしていた。そうしているうちに、やがて「自分で店をやってみよう」と思うようになり、札幌中央卸売市場の近くに2003年、小さなラーメン店を開店した。
店内は、コの字形のカウンターとテーブル1卓がある

 菅原さんは、「弟子屈ラーメンにしたのは、弟子屈に何度も通っていて、摩周湖の伏流水にほれ込み、将来、弟子屈町に総本店を作りたかったからです」と話した。

味の玄人に認められ、総本店に年間10万人

 現在は移転したこの1号店には、プロの料理人たちが市場に来たついでに立ち寄るようになった。いわば味の玄人に認められた。自信を得た菅原さんは、2005年、元祖さっぽろラーメン横丁に出店した。その後、目標にしてきた北海道東部の弟子屈町に総本店を出店。セントラルキッチンを備えた40の客席があり、大型バスも駐車できる総本店は、道東の国立公園巡りを楽しむ観光客らに人気で、今では年間10万人が訪れるという。
「北海道の詰まったラーメンを味わってほしい」と話す菅原憲一社長

 「味噌ラーメンは、北海道が一番です」。菅原さんの言葉には、北海道愛があふれる。「北海道のおいしさが詰まったラーメンを、もっと多くの人に味わってほしい。10店目となる次は、東京を目指します」

英語版はこちら

■弟子屈ラーメン札幌ラーメン横丁店
 札幌市中央区南5条西3丁目 元祖さっぽろラーメン横丁。平日昼は、午前11時から午後3時半、夜は午後4時半から午前1時(金曜は午前2時)。土日祝の昼は、午前10時から午後3時半、夜は午後4時半から午前2時(日祝は午後11時)。詳しくは、公式ホームページ(http://www.teshikaga-ramen.com/)へ。



Profile プロフィル


森太さん


森 太(もり・ふとし)


 読売新聞編集委員。ロンドン駐在中に日本のラーメンの魅力を再発見。アフリカ、欧州、社会部、国際部、運動部を遍歴し、読売新聞の英字新聞「The Japan News」デスク。The Japan NewsでRAMEN OF JAPAN を連載しているほか、Delicious Beautiful Spectacular JAPANを担当している。







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