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「医療費控除」「セルフメディケーション税制」、どちらがお得なの?

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1年間の医療費の負担が多かったり、市販薬をたくさん購入したりした場合、「医療費控除」または「セルフメディケーション税制」の制度を利用することによって節税ができます。ただし、利用できるのは、毎年どちらか片方だけです。今回は、「医療費控除」「セルフメディケーション税制」の概要と、どちらを使うのがお得なのかを解説します。

どちらも確定申告で節税

医療費控除は、1年間に10万円を超える医療費を負担した時に、確定申告をすることで節税できる制度です。税金の計算のもとになる所得を差し引く「所得控除」の一種で、所得控除が大きいほど所得が減るため、所得税や住民税が節税できます。

医療費控除の控除額は、次の計算式で求められます。
◇所得200万円以上の場合
(1年間の医療費の合計額-保険金や公的給付の 補塡(ほてん) 金額)-10万円
◇所得200万円未満の場合
(1年間の医療費の合計額-保険金や公的給付の補塡金額)-所得額の5%
控除額の上限は、どちらの場合も200万円です。

一方、セルフメディケーション税制は、薬局やドラッグストアで、対象となる市販薬(OTC医薬品)を購入した時に、確定申告をすることで税金が節税できる制度です。

セルフメディケーション税制の控除額は、次の計算式で求められます。

年間の対象市販薬の購入額−1万2000円
控除の上限は8万8000円なので、購入額は10万円までとなります。
OTC医薬品の購入費用が1万2000円を超えた場合、その超えた分が控除されます。購入費用が10万円の場合に、控除額は上限の8万8000円になります。

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品には、外箱に「税控除対象」などと書かれた識別マークが付いています。また、レシートを見ると、対象の医薬品のところに★などのマークが記され、「★印はセルフメディケーション税制対象商品です」と記載されているため、対象の医薬品をいくら買ったのかが分かりやすくなっています。

セルフメディケーション税制を利用するには、人間ドックなど所定の健康診断を受診している必要があります。以前は、確定申告の際に健康診断の証明書を提出する必要がありましたが、2021年分の確定申告からは提出不要になっています。

ただし、確定申告の期限から5年間はレシートや領収書、一定の健康診査等を受けたことを証明する書類を保管する必要があるので、捨てないように注意してください。

18万8000円超は医療費控除がお得

医療費控除とセルフメディケーション税制は、併用することはできません。そのため、医療費控除を使った方が良いのか、セルフメディケーション税制を使った方が良いのか迷う人も多いでしょう。「年間の所得が200万円以上」の人のケースで、使い分けを考えてみます。

〈1〉1年間の医療費の合計額が10万円以下の場合
年間の医療費が10万円以下の場合は、そもそも医療費控除が利用できないので、セルフメディケーション税制を利用しましょう。

〈2〉1年間の医療費の合計額が10万円を超え、18万8000円以下の場合
医療費控除とセルフメディケーション税制の控除額を計算して、控除がより大きい方を利用しましょう。

●例:保険金や公的給付の補塡金額を引いた1年間の医療費合計が15万円(うち対象の市販薬の購入費が5万円)の場合
◇医療費控除:15万円-10万円=5万円
◇セルフメディケーション税制:5万円-1万2000円=3万8000円
→医療費控除の方がより節税できて得

●例:年間医療費合計が17万円(うち対象の市販薬の購入費が9万円)の場合
◇医療費控除:17万円-10万円=7万円
◇セルフメディケーション税制:9万円-1万2000円=7万8000円
→セルフメディケーション税制の方がより節税できて得

〈3〉1年間の医療費が18万8000円超の場合
年間の医療費が18万8000円を超えても、セルフメディケーション税制での控除は8万8000円までです。医療費控除ならば最大200万円まで控除が受けられるため、この場合は医療費控除を受けた方がより節税できて、お得になります。

家族の分も合算して高所得の人が申告を

医療費控除もセルフメディケーション税制も、同一生計の家族の分もまとめて申告できます。家族全員分の医療費のレシート・領収書を集計し、税金をより多く取り戻せる方法を選んで、家族の中で一番所得が多い人が申告すると良いでしょう。

たとえば、生計を一にする2人家族の1年間の医療費を合算したところ、30万円の医療費控除が受けられるとします。この時、家族の所得税率が夫(10%)、妻(5%)だったとします(住民税率は所得税率にかかわらず一律10%)。

30万円の医療費控除によって減らせる税額は、
夫:所得税30万円×10%=3万円、住民税30万円×10%=3万円 計6万円
妻:所得税30万円×5%=1.5万円、住民税30万円×10%=3万円 計4.5万円
となり、夫が確定申告した方が節税できることが分かります。

なお、レシート・領収書は提出不要ですが、5年間保存しておかなければなりません。税務署から求められた時は、提示または提出しなければならないからです。ですから、なくさないように注意しましょう。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)

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