【詳報】長嶋茂雄さんお別れの会…王貞治さん「長嶋茂雄さんは永久です」松井秀喜さん「私をジャイアンツに導いてくれた」

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「お別れの会」写真特集はこちら
【動画更新中】「ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会」

 今年6月に89歳で死去した長嶋茂雄・読売巨人軍終身名誉監督の「ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会」が21日に東京・文京区の東京ドームで行われた。

「長嶋茂雄お別れの会」の祭壇。同心円状に広がる形状は「太陽」をイメージ。人々を明るく照らした天真爛漫でポジティブな長嶋さんの人柄を表現した。3万3333本の花々で彩られている(21日、東京ドームで)=片岡航希撮影
「長嶋茂雄お別れの会」の祭壇。同心円状に広がる形状は「太陽」をイメージ。人々を明るく照らした天真爛漫でポジティブな長嶋さんの人柄を表現した。3万3333本の花々で彩られている(21日、東京ドームで)=片岡航希撮影

→【写真特集でしのぶ】長嶋さんの通夜・告別式

 午前10時30分から行われた「関係者の部」には野球界をはじめ、各界の約2800人が参列、応募者の中から選ばれたファン約6800人が2階スタンド席から式を見守った。参列者を代表して王貞治さん、松井秀喜さん、北大路欣也さんが「お別れの言葉」を述べた。どなたでも参列ができる午後3時からの「一般の部」は、予定を30分早めて午後2時30分に開場し、午後7時過ぎの受け付け終了までに約2万2800人が訪れた。国民的スポーツとなったプロ野球を通して日本中を魅了したミスターとのお別れ会の模様を詳報する。(デジタル編集部)

午後の「一般の部」にご参列される方への詳しいご案内→こちらから

ニュース映像で振り返るミスターの軌跡→こちら

【時代の証言者】「ミスター」の天性の明るさに、だれもが夢と希望を見いだした。プロ野球の代名詞でもある長嶋さんが、野球との出会いから、あのとき、この場面の思い出と時代を語り尽くした。→こちら

世紀の天覧試合を長嶋さんが振り返ったインタビュー→こちら

午後の「一般の部」で、お別れに訪れた参列者(東京ドームで)
午後の「一般の部」で、お別れに訪れた参列者(東京ドームで)

一般の部には2万人を超す来場者

 長嶋さんに最後のお別れをするために、2万人を超す人たちが東京ドームを訪れた。祭壇前では長嶋さんの生前の上映映像に向かって静かに手を合わせるユニホーム姿の女性も見られた。

 千葉県船橋市から来た80歳代の男性は、「4番サード・長嶋 誕生秘話」と見出しがついた10年前の読売新聞千葉県版の記事の切り抜きを手にしていた。「みんなに感動を与えてくれた人。テレビで見ていた天覧試合、それから金田投手から4打席連続三振の場面も印象に残っています。天才って言われますけど、努力の人だったと思います」としみじみと語っていた。

 埼玉県草加市から小学2年生の息子と訪れた40歳台の男性は親子そろってオレンジユニホーム姿。「選手時代は知らないけれど、巨人の象徴だった人。祭壇の前に来てみて、改めて、すごい人なんだなと思った」と話した。午前中の「関係者の部」も2階スタンドにおり、「子どもも野球をやっていて、きょうは王さんや松井さんを見ることができて、そういう意味でも良かったです」

関係者の部(午前10時30分開始)

参列者の献花が始まる

 お別れの会の「関係者の部」が終了し、参列者の指名献花が始まった。

→指名献花者の一覧はこちらから

 お別れの言葉を述べた王貞治さん、松井秀喜さん、北大路欣也さん。

 政財界から菅義偉・元首相、燦燦会会長の御手洗冨士夫・キャノン代表取締役会長兼社長CEO、プロ野球の榊原定征コミッショナーら。

「お別れの会」で献花する(右から)張本勲さん、中畑清さん、原辰徳さん、高橋由伸さん、吉村禎章さん、水野雄仁さん、松本匡史さん
「お別れの会」で献花する(右から)張本勲さん、中畑清さん、原辰徳さん、高橋由伸さん、吉村禎章さん、水野雄仁さん、松本匡史さん

 不滅の9連覇を達成したかつてのV9戦士たち。堀内恒夫さん、柴田勲さん、城之内邦雄さん、末次利光さん、高田繁さんら。

 他球団ОBの方々。山本浩二さん、平松政次さん、福本豊さん、掛布雅之さん、栗山英樹さん、野茂英雄さんら。

 スポーツ界から、川淵三郎・日本サッカー協会相談役、室伏広治・前スポーツ庁長官、八角信芳・日本相撲協会理事長など。

 その他、親交のあった方々としてコシノジュンコさん、萩本欽一さん、さだまさしさんらが登壇し、最後のお別れをした。詩の朗読を行った松嶋菜々子さんも献花を行った。

 指名献花者以外の、アリーナに着席していた参列者の献花も行われた。( →プロ野球のOB・現役選手、およびアマチュア球界関係者の一覧はこちら

松嶋菜々子さんが詩の朗読

 俳優の松嶋菜々子さんが登壇し、サトウハチロー作「長嶋茂雄選手を讃える詩」を朗読した。

<疲れきった時/いらいらした時/すべてのものが いやになった時/ボクはいつでも/長島茂雄のことを思い浮かべる/長島茂雄はやっているのだ/長島茂雄はいつでもやっているのだ/どんな時でも/自分できりぬけ/晴れやかな顔をして/微笑さえたたえて/グラウンドを走りまわっているのだ/ボクは長島茂雄のその姿に拍手をおくる/と同時に/「えらい奴だなァ」と心から想う/ひとにはやさしく/おのれにはきびしく/長島茂雄はこれなのだ>

大型スクリーンに映し出された大谷翔平選手の追悼メッセージ(21日午前、東京ドームで)=西孝高撮影
大型スクリーンに映し出された大谷翔平選手の追悼メッセージ(21日午前、東京ドームで)=西孝高撮影

イチローさんからのビデオメッセージ

 続いて、日米通算4367安打で日本人初の米国野球殿堂入りを果たしたイチローさん(本名・鈴木一朗)の映像とメッセージが会場に流れた。「長嶋さんにお会いするたびに、野球に対する真っ直ぐな思いとあふれでる品格に、感銘を受けていました。その姿はいつもキラキラと輝き、オーラとはこういうものかと驚いたことを鮮明に覚えています」

ドジャース大谷翔平選手からのビデオメッセージ

 ドジャースの大谷翔平選手の映像とメッセージが会場に流れた。「長嶋さんがこれまで歩んできた道のりを改めて振り返ると同時に、僕たちにつないでいただいたバトンを次の世代につないでいくのが、私の、そして私たちの使命だと今は強く思っています」

高市首相からのビデオメッセージ

 3人のお別れの言葉に続いて、高市早苗首相の映像とメッセージが会場に流れた。「政界では、党派を超えてと言う言葉がありますが、長嶋さんは野球界の“G党”“虎党”を超えて多くの方々を魅了されました」

お別れの言葉を述べる北大路欣也さん(21日午前、東京ドームで)=片岡航希撮影
お別れの言葉を述べる北大路欣也さん(21日午前、東京ドームで)=片岡航希撮影

北大路欣也さんのお別れの言葉

 3人目は、生前の長嶋さんと親交のあった俳優の北大路欣也さん(82)。自身が12時間ドラマで「宮本武蔵」を演じた放映後に長嶋さんから届いた手紙を披露。「学生時代から武蔵に興味をいだき、野球の参考になればと『五輪書』を愛読してきました。武蔵を演ずるに北大路さんをもって白眉とする」などと、文面を紹介し、「長嶋さんへの感謝の思いは永遠です」と語りかけた。

お別れの言葉を述べる松井秀喜さん(21日、東京ドームで)=西孝高撮影
お別れの言葉を述べる松井秀喜さん(21日、東京ドームで)=西孝高撮影

松井秀喜さんのお別れの言葉

 巨人や大リーグで活躍した松井秀喜さん(51)が登壇。1992年のドラフト会議で長嶋さんが入団交渉権を引き当てて巨人に入団し、マンツーマン指導などを通じて球界を代表するスラッガーとなった愛弟子で、2013年に長嶋さんとともに国民栄誉賞を受賞した。

 松井さんは「1992年秋のドラフト会議で私をジャイアンツに導いてくれたあの日からちょうど33年、監督が私の守備位置として指定し、いつも守っていたこの東京ドームのセンターからお別れの言葉。そんないくつかの偶然さえも、必然の運命ではないかと感じるほど監督とのご縁はかけがえのないものでした」と語りかけた。

お別れの言葉を述べ、祭壇を後にする王貞治さん(21日午前、東京ドームで)=横山就平撮影
お別れの言葉を述べ、祭壇を後にする王貞治さん(21日午前、東京ドームで)=横山就平撮影

王貞治さんのお別れの言葉

 参列者を代表して深く親交のあったゆかりの方々が長嶋さんに語りかけた。まず登壇したのは現役時代に長嶋さんと「ON時代」を築いた盟友、王貞治・福岡ソフトバンクホークス会長(85)だ。1958年に巨人軍に入団し、65年からの9年連続日本一「V9」達成でチームを支えた。2人で記録したアベック本塁打は106回にのぼる。

 王さんは「長嶋さん、お元気ですか」と祭壇に向かって語り始めると「笑顔を見て、ほかに言葉はありません。我々の心の中には、明るい太陽のような長嶋さんが生き続けてくれると確信しています。長嶋茂雄さんは永久です」などとメッセージを送った。

特別映像の上映

会場内の大型ビジョンで特別映像が上映された。サザンオールスターズの楽曲「栄光の男」に合わせて、現役時代、監督時代の数々の栄光、そして病に倒れた後も懸命に生き続けた長嶋さんの姿を映し出した。「野球とは人生そのもの」という長嶋さんのコメントも紹介された。

開会宣言・黙とう

 開会にあたり、参列者が長嶋さんに30秒間の黙とうをささげた。

 東京ドームの人工芝のグラウンド、巨大スクリーンの手前に約50メートルの祭壇が設けられた。同心円状に広がる形状は「太陽」をイメージ。人々を明るく照らした天真爛漫でポジティブな長嶋さんの人柄を表現した。3万3333本の花々(ガーベラ、カーネーション、アルストロメリア、ヒマワリなど)で飾られた祭壇から、長嶋さんが微笑みかけている。

「長嶋茂雄お別れの会」の祭壇に飾られた現役時代のユニホーム、帽子、バット(21日、東京ドームで)=横山就平撮影
「長嶋茂雄お別れの会」の祭壇に飾られた現役時代のユニホーム、帽子、バット(21日、東京ドームで)=横山就平撮影

 会場内には、新人王のトロフィー(1958年)や天覧試合のホームランバット(1959年)、現役時代や監督時代のユニホーム、国民栄誉賞の表彰状など、長嶋さんにゆかりのある品々も多数、展示されている。( →主な展示品の詳細はこちらから

→長嶋茂雄さん年譜…89年の生涯

 祭壇前には関係者席が設けられ、野球界、政界、経済界、メディア界、スポーツ界、芸能界などからの招待者が着席。

 2階スタンドには、シーズンシートオーナー、「CLUB GIANTS」、「GIANTS ID」各会員を対象に、事前応募者の中から選ばれたファンの方々が着席し、会の進行を見守った。

「一般の部」を待つ多くのファンの姿も

 会場の外には午後に行われる「一般の部」に参列しようと、朝から待つ長嶋ファンの姿も多く見られた。

 東京都立川市の会社員吉沢良平さん(41)は、会場近くに設けられたグッズ売り場にオープン3時間前の午前6時から並び、タオルやキーホルダーを買った。父親の影響で子どもの頃からファンで、8月に行われた追悼試合も観戦したという。吉沢さんは、「亡くなったと聞いた時は、本当に悲しかった。とにかく華があり、長嶋さんがいなければ、野球に興味を持っていなかった。ファンの心の中でも永久に不滅です」と惜しんだ。

 京都市から訪れたパート従業員加藤久美さん(62)は選手時代からのファンといい、「明るくおちゃめなところが好き。今日は奇跡と感動をありがとうと伝えたい」と語った。

 仙台市から夜行バスで訪れたという会社員中家香織さん(52)は、「巨人と言えば、長嶋さん。天国からも、ずっと巨人を見守っていてほしい」と話した。

 

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7358128 0 プロ野球 2025/11/21 10:08:00 2025/11/21 23:19:33 /media/2025/11/20251121-OYT1I50037-T.jpg?type=thumbnail

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