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 ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとゲラチェックしているので、頭の中が同じナラティヴの部位しか働かなくなり、小1時間、何でも良いので違うことを書いて、脳をマッサージしてみる。

 

 今は政治の季節だ。なので、今から書くことが、悪目立ちの大ポップになる可能性は、いかなここの会員諸氏相手であろうと免れ切れないだろうというリスクは承知している上で現総理について書く。

 

 第一に、何かを書くというからには自分の立場というものを表明しないといけない、今、あらゆる立場は、政治的な立場にしかあり得ないぐらいになっているだろう、それが政治の季節というものであって、流行現象とまでは言わないが、一種のフェノメノンであるのは間違いない。

 

 僕はご存知の通り、音楽の

  蟄居に入って1週間が過ぎた。今、自分自身に明確なのは「ゲラは上手くいっていて、本はかなり面白い」「アドレナリンが出過ぎて、体を痛めつけている」という2点だけだ。今は気が違ったようにデリケートな社会だから「体を痛めつけている」等と、適正極まりないことを書いても過敏に反応されると思うので、内訳を書く。

 

 新宿通り沿いの都内であれ、人里離れたノーWi-Fiな山の中であれ、蟄居がもたらすものはそんなに変わらない。食欲、性欲、睡眠欲、と、こんなに「欲」まみれにするのは余りに宗教的すぎるので、普段は滅多に使わないアドレナリン理論みたいなものに変換すれば、単一労働をして暮らしてれば、基本的には誰であろうと、自分の内面の分泌状態を覚知できるだろう。

 

 一度分泌されたアドレナリンは止めることができない。そして今は、自分が投げ込んだ膨大な(今やっている「中巻」は、既出の「上巻」の、何と2・5倍の量=厚さなのである。これを削ってゆかなければならない=並べた時に厚さを均一にしたいので)原稿、それがAdobeのファイル「刑事コロンボ研究(中)_ゲラ07まで_1.pdf」と「刑事コロンボ研究(中)_ゲラ08以降pdf」併せて142101243486頁しかも行間ほぼなしで紙の上下左右文字でギッシリ。だけが、バランスを大きく失して、アドレナリンを過集中的に分泌させるので、まあ要するにドラッギーなわけだ。 

 

最初の妻と暮らしていた頃、友人の西村くんとその息子が来て、部屋で楽しく話している。

 

突如、「しまった今日はイベントだ」と気がつき、時計を見ると、開演の1時間半前だった。やばいやばい。行かなくちゃ。ホームパーティーしている暇はない。

 

西村くんと一緒にタクシーに乗って、歌舞伎町のマンションまで戻る、マンションは手放してしまったが、すぐ隣のビルに前の事務所があって、そことはまだ契約しており、物置になっているのだが、そこに、今日使う機材が全部置いてあるのだ。

 

旧事務所の手前でタクシーを降りて歩いていると、もう夜中だった。

 

突如として、という感じで、道端に見慣れた黒いバックが置いてある。ペラッペラな布地のやつで、同じものを3つぐらい持っているうちの1つだ。西村くんとはどうやら離れて離れになってしまったが、まあ、良い。明らかにアレは僕のものだ。事務所のまどか何かから落ちたのだろう。

 

それを拾い、袋を開けると、<いつか取り出そうと思って、とりあえずしまってあったもの>がぎっしり入っている。

 
ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

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菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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