こっちはこうさ どうにもならんよ
ずっと書斎が欲しかった。
しかし、これが45歳の私のリアルな執筆風景である。
この6畳の和室は夫婦の寝室も兼ねている。愛読書をずらっと並べられるわけもなく、蔵書の大半は実家に置いてきた。妻が先に寝る時は部屋を暗くして打鍵音を鳴らさぬよう細心の注意を払う。
今まで誠実に、一生懸命に生きてきた結果がこれか?私の書斎はどこに行っちゃったんだ?
ゲーミングチェアに座っているように見えるパネル
友人がゲーミングチェアを導入したら、信じられないくらい身体が楽になったそうだ。自分だけの書斎を持つのは無理でも、安い座椅子をゲーミングチェアに変えるくらいなら…。
そう考えて部屋を見渡し、再び絶望が襲ってくる。賃貸なので畳をへこますのは避けたいし、そもそもスペースに余裕がない。ゲーミングチェアすら夢のまた夢。
いかん。DPZに書きたいのはこんな後ろ向きでつまらない話ではない。持たざる者が創意工夫で人生を切り開いていく。いつだって読者の目に焼き付けたいのはそんな姿だ。
私は自分の手で人生を変えるべく、作業に取り掛かった。
いざオンライン会議へ
手始めにゲームのコントローラーを握ってみる。
これが先ほどまで己の人生を嘆いていた男の顔だろうか?自信に満ち満ちている。椅子(のようなもの)ひとつでこんなに変わるとは。この勢いでDPZのオンライン編集会議に出席してみよう。
狭い和室に一筋の光が射しこむ。やはり誠実に一生懸命生きてきたことは無駄ではなかった。理想の人生に近づくアイディアと、それを実行に移す行動力。そういったものが45年間でちゃんと備わっていたのだ。
悲鳴を上げる腰
だが、しかし。約2時間のオンライン会議が終わると、私の体に意外な変化が起きた。
スチレンボード製のパネルを割らないよう、常に腰を浮かせていたのが原因のようだ。
ネットでもう一度ゲーミングチェアの画像をよく見てみる。な~んだ。私としたことが、枕だけでなく腰にもクッションが設置されているのを見落としていたのだ。
さあ、これでどうだ?

