抄録
本研究では複雑な地形を持つ韓国東南沿岸を対象に,歴史台風による高潮の追算を行い,数値モデル結果の精度を評価し,地形複雑度を考慮したバイアス補正手法を提案した.高潮偏差の計算誤差は台風と観測所の距離と地形の複雑度と関係があり,地形複雑度を考慮したバイアス補正手法は,系統的なモデルの誤差を約14%~23%軽減させることが明らかになった.ついで,大規模アンサンブル予測実験に基づく高潮の大規模計算を行い,本研究で提案するバイアス補正法を適用して高潮の長期評価を行った.その結果,韓国東南沿岸における再現期間100年に対する高潮の再現確率値の変化量は,台風の将来特性変化につれ一様に増大するのではなく,場所によって増減の大きな変化があることがわかった.