トピック

来春発売のスタイリッシュなBMX風(?)の電アシ見てきた シンプルシルエットのミニベロ

ヤマハ発動機は、電動アシスト自転車の新型モデル「PAS CRAIG ALLEY(パス クレイグ アリー)」を発表しました。車名からわかるとおり「PAS」シリーズのドライブユニットを活用したモデルで、スポーツタイプのドライブユニットを搭載するe-bikeではありませんが、シンプルな造形でスポーティなシルエットに仕上がっています。2026年3月27日発売予定で、価格は138,000円。

138,000円という買いやすい価格も魅力といえる「PAS CRAIG ALLEY」
他のPASシリーズと同じくバッテリーをモーターの後部に装着する2軸タイプのドライブユニットを採用
バッテリー容量は15.8Ahと大きめで最大128km(オートエコモード)のアシスト走行が可能

「PAS CRAIG ALLEY」は前後20インチのタイヤを採用したミニベロタイプ。フレームはスチール製で、細身のパイプを使った直線的な造形が特徴です。ヤマハには2024年に発売された「PAS CRAIG」と「PAS CRAIG PLUS」というクロスバイクタイプの電動アシスト自転車がありますが、その兄弟モデルという位置付けです。といっても「PAS CRAIG」の発売以前から、ミニベロタイプの構想はあったそうで、派生モデルではなく独自の企画で生まれたそうです。

タイヤサイズは前後とも20×2.125インチと太め。エアボリュームがあって乗り心地が良さそう。フェンダーも標準装備
砲弾型のヘッドライトを装備し、フロントブレーキはVブレーキを採用する
変速はシマノ製内装タイプの3速で、操作はグリップを回すタイプなので慣れない人でも操作しやすい

見た目はスポーティな印象ですが、少しグリップ部分が上に持ち上がったセミライザータイプのハンドルを装備しているので、ライディングポジションは前傾がきつくありません。ハンドルにはBMXのようなブリッジが入っていて、ちょっとヤンチャな雰囲気。ハンドルを支えるステムの部分は、ロードバイクなどと同じアヘッドタイプとされていて、見た目にも太さがありしっかりしています。乗った際に目に入る部分がスポーティな印象なのはいいですね。

ブリッジの入ったハンドルバーはアップライトな乗車姿勢も作り出す。見た目もスポーティ
PASシリーズのミニベロとしては初採用となるアヘッドタイプのステム。スペーサーを入れ替えてカスタムも可能
「スマートクロックスイッチ」と呼ばれる時計や消費カロリーも表示できるディスプレイ。シンプルな造形も好印象

フレームは直線を組み合わせたダイヤモンドタイプ。シンプルなシルエットを作り出すためにも細かい部分まで手が込んでいます。バッテリーの収まるリア三角の部分は、1本のパイプで支えるモノステーを採用し、バッテリーの取り外しをしやすくするとともに、スッキリした見た目に。この部分のフレームを真っ直ぐ伸びた形状にするため、リアエンドも上側にオフセットされています。

クラシックなロードバイクなどに採用されるモノステーとすることで、バッテリーの脱着をしやすくなる効果も
リアエンドを上側に伸ばすことで、リア三角部分が台形のようなシルエットになっている

また、ドライブユニットを装着するハンガー部分は既製品の流用ではなくオリジナルで設計されています。これによって、細身のパイプがBB(ペダルの車軸部分)で結合しているようなシルエットに。クロモリ製のロードバイクなどで馴染みのあるシルエットで、遠目で見た際にも違和感がなく、印象に残りやすいという効果もあるようです。シンプルな造形ですが、そう見えるためにデザイン的な工夫が凝らされていることが感じられます。

オリジナルで作られたハンガー部分。このモデルのためだけに作られているところにこだわりを感じる
シンプルに見えるフレームのシルエットだが、想像以上に手間がかけられている

カラーは「メルティグラファイト」と「カーキジェイド2」「マットエクリュ」の3種類。どれもユニセックスな色で、適応身長も155cm~と小柄な女性でも気負うことなく乗れる設計のため、家族やカップルでのシェアもしやすそうです。フロントのキャリアやバスケット、リアキャリア、両足スタンドなどの純正オプションも充実しています。

個人的には、フェンダーを取り外してステムの部分をカットしてハンドルを下げたり、BMX用のライズの大きなハンドルを付けたりしても似合いそうだと感じています。残念ながら、今回は展示のみでしたが、ぜひ試乗もしたいところ。気軽に街乗りできるミニベロを探しているけどデザインにもこだわりたい人にはちょうど良い選択肢になるでしょう。e-bike Watch的には、これでアシストがあると自由度が広がることを体験し、ゆくゆくはe-bikeに乗りたくなるゲートウェイ的なモデルとなってくれることを期待しています。

増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。