『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』プレミアで、吉田栄作が熱唱!“ボス”との出会いやライブの思い出を語る
「一流シェフのファミリーレストラン」のジェレミー・アレン・ホワイトが主演を務め、ロック界で50年以上にわたって活躍を続け、“ボス”の愛称でリスペクトされているブルース・スプリングスティーンの若き日を描いた『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(11月14日公開)。本作のスペシャル・ファン・プレミアが11月11日に109シネマズプレミアム新宿にて開催。スプリングスティーンから大きな影響を受けたと公言する俳優の吉田栄作がゲストとして登壇した。
伝説の名盤「ネブラスカ」が生まれた1982年。キャリアの岐路に立つブルース・スプリングスティーンは、名声の影で深い孤独と葛藤に揺れていた。ロックスターとしての喧騒を離れ彼が向かったのは、誰もいない荒野のような“どこでもない場所”。4トラックのレコーダー一台と、曲になりかけた断片だけを手に、恋人との時間や幼き日の母との思い出、そして父との確執に苛まれながら、静かに魂を刻みはじめる。
名曲「Born in the U.S.A.」をBGMに、スプリングスティーンをイメージしたデニム衣装で登場した吉田は「高校1年生の時にテレビ神奈川を見ていたら、星条旗を背中にテレキャスターをぶら下げて拳を突き上げる姿を見て、『おおおっ!』と思いました」と、スプリングスティーンとの運命的な出会いを振り返る。その後、20歳で歌手デビューを果たし、あらためてスプリングスティーンのアルバムを聴いて熱烈なファンになったと明かす。
「特に『ネブラスカ』は、それまでと毛色が違っていて、人を殺めた人物を主人公にした曲が多い。『どういうこと!?』と思いながら、でも僕はその音が好きで、車で聴くには気持ちのいいサウンドだったから大好きなアルバムとなりました。それから時が過ぎて、この映画の製作にあたってスプリングスティーン自身が『ネブラスカ』を作ったころの自分を題材にした作品ならばいいと承諾したと聞いて、がぜん興味が湧きました」。
また、26歳で単身渡米した際に、現地でスプリングスティーンのライブを鑑賞したという吉田。「アルバム『ゴースト・オブ・トム・ジョード』をリリースしたあと、ギター1本で2時間!初めて生で観てしびれました。ステイブルズ・センターのこけら落とし公演がスプリングスティーンで、そのライブにも行きました。Eストリート・バンドと久々にやった公演で、ステイブルズ・センターが壊れるくらい盛り上がっていました」と興奮気味に語った。
本作の見どころのひとつが、スプリングスティーンと父親との関係。「男には、父親の身長を超えるとか、歳をとったなあと思う瞬間があるわけです。本作を通して成長過程のなかでブルースも父との複雑な関係があったことを垣間見ることができました」としみじみ。そんな吉田自身、今年9月に妻である内山理名との間に第一子が誕生したばかり。「オールドルーキーです!」とはにかみながら、「この歳になっての子どもですから、自由に。スポーツでも音楽でもなんでも好きなことを追求してくれればいいな」と父親としての表情をのぞかせた。
そんななか、壇上に登場したのはスプリングスティーンをはじめ多くのロックスターが愛用してきた超高級ギター“ギブソンJ-200”。すると吉田はそれを構え、スプリングスティーンが1980年に発表した「ハングリー・ハート」を弾き語りで熱唱。会場からは手拍子と合唱が巻き起こり、さながらライブ会場のような熱気に。
そして「ギター弾いちゃったよ。いまちょっと手が震えています」と照れ笑いを浮かべ、「今年はいろいろなことがありました。私生活でも命の大切さや儚さを感じざるを得ないようなことがありまして、生きていること、一度きりの人生を燃やし続けるんだと。憧れのスプリングスティーンが76歳になってもまだ現役で、すばらしい歌声で活躍されているので、そんな70代を目指したいです」とスプリングスティーンへのリスペクトを捧げながら、生涯現役を誓っていた。
文/久保田 和馬
