タケルンバ卿ブログ

世界の片隅でだらだら生きる貴族の徒然帳

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中国の訪日自粛要請を恐れていないホテルマンの独り言

 どうも、現役ホテルプライスコントローラーのタケルンバでございます。

 さて、中国の話題で持ち切りであります。中国政府から出されている日本への渡航自粛の話。ホテル関係者としてちょっと書いてみたいと思います。

 まあまずは正直な感想です。

正直気にしてない

 理由。そういう国だから。非自由主義国では国家の方針転換などなどにより、影響を受けることは珍しくないので。実際に中国関連のお話ですと、2012年尖閣諸島国有化の際も同様の経緯がありましたしね。何か起きると何かある国なんですよ、あそこは。それに一喜一憂してちゃ体が持ちませぬ。

訪日外客数 月別推移


出典:訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局) 時系列推移表より作成

 どの国も基本的には右肩上がりに増加していますが、中国だけ2012年に減少しています。あからさまですね。

 とはいえ1年も経てば「あれ? なんかあったっけ?」みたいになりましたし、2年も経てば元通り。気分で止めて、気分で始める。まあそういう国であります。

インバウンド頼りってどうなのよ

 そもそもホテルの立場としてインバウンド頼りという時点でアレです。脆弱です。そもそも宿泊者の大多数が国内居住者によるもので、大を捨てて小に行くメリットがない。

 詳しくは宿泊旅行統計参照。

○日本人延べ宿泊者数は、8月は、5,214万人泊(前年同月比-1.5%)であった。
また、9月は、4,198万人泊(前年同月比-1.6%)であった。
○外国人延べ宿泊者数は、8月は、1,385万人泊(前年同月比+3.8%)であった。
また、9月は、1,302万人泊(前年同月比+4.9%)であった。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001966545.pdf

 こんな感じ。インバウンドの市場が大きくなってきたのは事実ですが、しかしそれでも国内需要のほうが大きいので、国内需要を脇においておくメリットがない。

インバウンドは中国だけじゃない

 しかもこれね。インバウンド=中国というわけじゃない。人口14億人とも言われる中国と、約5200万人の韓国、約2300万人の台湾で比較してもそれぞれ肉薄している現状を考えれば、中国を特別扱いする理由がない。もちろん14億人という市場の大きさ、潜在需要に目を向ける向きもあります。とはいえ先述したように非自由主義国特有のあてにならなさ、商慣習の違い、マナーの違いによる迷惑行為などのリスクなどを考えると、中国に期待するのはリスクでしかない。

韓国・台湾を大事にしましょう

 より安定した市場である韓国・台湾を大事にしたほうが効率的かと思います。中国より不安定要素が少なく、費用対効果が高い。声が大きいクレーマーに対処するより、いつもおとなしいお得意様に注力したほうがいいんじゃないですか? ということだ。中国以外のインバウンドを大事にしたほうがいい。中国からのインバウンドがすごいのは事実だが、コロナ前の水準にやっと戻った程度ですし。なんなら韓国・台湾はコロナ前よりも訪日者が増えておりますから。コロナを境にますますお越しいただいているお客様がいらっしゃるなら、そのお客様を大切にすりゃいいわけで。

国内リピーターを大事にしましょう

 そしてそもそもとして、日本の国内市場が大きいわけなので、国内リピーターを大事にしていけばいい。特別な対応なども必要もなく、ここが一番費用対効果が高い。風が吹けば来なくなるツアーのことを考えるより、繰り返し来てくれる国内のお客様にどう利益を還元するかを考えたほうが、よっぽど売上の増加につながる。

 既に国内の市場は飽和状態で、空室がないという声もおるわけであります。そこに中国からの訪日キャンセルがあれば、客室に空きが出て、そこに泊まれる人も出る。空きがあれば誰かが埋める。短期的には集中キャンセルの影響は出るが、そこで別の需要を取り込めば、結果的に問題ないんじゃないかというのが私の考え。

 いずれにせよ年内はともかく、本格的な影響は来年。2026年の3月~5月あたりの動向を注視しておりますが、このあたりは春で桜の時期。日本の桜を楽しみに来ていただける他の方をお迎えすればいいんじゃないかと思っております。中国の動向に一喜一憂しちゃいけやせん。ベテランは既に尖閣のときに学んでいる。若手は今回学んで、次に活かしてください。干支ひとまわりしたら、どうせ同じようなことが起きるので。